ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第15話 ドワーフの実力

 夜が明け朝が来た。ドワーフ達はまだ芝生の上で寝っ転がっている。朝は弱いのだろうか? 寝床を大精霊に用意させようとしたのだが芝生の上でいい、と拒否されてしまった。なんとも申し訳ない。
 ディアンヌとディースはもう起きていて2人でおしゃべりしている。大精霊は精霊石からマナを吸っていた。アイネは未だに寝床でぐっすりだ。


 俺はMPがちゃんと10万まで回復しているこど確認し、マナ変換で朝食を準備する。今日の朝食は食パンとフルーツ盛り合わせと昨日の卵を使ったゆで卵だ。
 そういやドワーフって何食べるの? まぁ、俺たちと一緒でいっか。
 今日のフルーツはオレンジ、バナナ、小粒の種無しぶどうがぎっしり詰まったものだった。ゆで卵は6分ほど茹でて半熟に仕上げた。食パンは焼く方法が思いつかなかったので焼かずに出した。申し訳ない。 


 ゆで卵を茹で始めたところでアイネを起こしに行った。一応起きてくれたけど五回は蹴られた。めちゃくちゃ痛い。  
 アイネが起きるとドワーフ達も起きていてそのまま朝食の流れとなった。
 アイネは種無しぶどうを痛く気に入ったらしい。ドワーフ達も美味しそうに食べていたので問題ないと思う。ドワーフ達はゆで卵が気に入ったそうで幼女達は「もう一個!」とオネダリしてきたのでドワーフ全員に出してやるとぺろりと食べ切っていた。


 「移住許可、そして食事まで頂き感謝する。ワシらに出来ることなら何でもしよう!」
 

 ムガルはニカッと笑ってそういった。


 「うーん、やってもらいたいことは色々あるんだけどまずは家だな。俺達はアイネ以外必要ないんだが流石に雨が降ったりした時雨宿りできる場所がないのは辛いからできるだけ広めの家がいいかな。出来れば海に近い方の芝生に建ててもらいたい」


 「おう! 任せておけ! 木材は逃げる時にワシがアイテムポーチに大量に入れて置いたはずじゃ。木があれば色々便利じゃからのう。」


 アイテムポーチとは中が見た目以上に大きい巾着のことで、ムガル達が持っているそれだと縦、横、高さそれぞれ1kmに及ぶという。意外と安いらしい。そう言うとムガルは腰につけていたポーチからどんどん巨大な木材を出していく。それを他のオッサン4人が俺の指定した場所に運びこみ採寸したりしている。


 「よし、こんなもんかの。ミスラ!シャロ!お前らも手伝え! すまん、子供たちの面倒は見といてくれぬか?」
 

 「わかった。」


 「ありがとう。ミラ、チロ、サラ。この姉ちゃんの言うこと聞いて大人しくしておくんじゃぞ!」


 3人はそれぞれ肯定の意志を伝え俺の方に駆け寄ってきた。


 「お姉ちゃん、遊ぼ遊ぼ!!」


 ミラちゃんが袖をグイグイ引っ張ってくる。他の2人も目を輝かせて期待した目で見てくる。うっ、プレッシャーが俺にのしかかる! あとお姉ちゃんじゃなくてお兄ちゃんな?
 

 「いいよ、それで何をするの?」


 俺がそう聞くと3人はうーん、うーん、と唸っていた。いや、決めてなかったんかい! 結局あんまり思い浮かばなかったらしく、俺が島を案内することになった。
 3人は特に農場に興味津々で精霊達が畑で働いているのをじーっと見ていた。


 「勝手に土が動いてるー!すごーい!」とか「水がいきなり出てきたよー!」とか結構喜んでいた。しかし、島もそこまで発展していないので紹介することが尽きてしまった。


 「こんなもんかな。で、3人はいつも何して遊んでるの?」


 「えーっとねぇ、追いかけっことかかくれんぼとか! でもお姉ちゃん弱そうだから止めとくー。」


 ほう、言うじゃねぇかクソガキが! 確かに今の俺は走りにくそうな体をしているけど幼女3人に負けるほど落ちぶれてねぇよ! 


 ってことで追いかけっこをすることになった。まずは俺が鬼だ。さっきの言葉取り消させてやる!


 結果から言います。完膚なきまでに叩きのめされました。ドワーフの持久力半端じゃない! 速さはそれほどでもないんだけど追いかける時のしつこさが半端ない。それもこいつら俺ばっか狙いやがる! てかこの体動きにくい! 


 「ほらぁ、やっぱり弱いじゃあん!」


 ちっくしょー! こいつめ、、、いつか絶対にギャフンと言わせてやるからな! 覚悟しとけよ! うわぁぁぁん!


 まぁ確かに身体能力では勝負にならないことが分かったので俺は3人にだるまさんがころんだを教えた。これにはアイネも参加するみたいだ。ふっ! このゲームで大人と子供の格の違いを見せつけてやるぜ!


 結果。アイネの一人勝ち。
 アイネのフェイントがうますぎてお話にならないレベル。また、鬼じゃない時も相手のフェイントをちゃんと読んでくるのでまず捕まらない。
 

 ちなみに俺の戦績は幼女達と変わりませんでした。だるまさんがころんだにも飽きてきたところでムガルから声がかかった。


 「おーーい! できたぞい!」


 えっ?速くね?速過ぎない?


 呼ばれた方へ行ってみるとそれはそれは立派な木製の家が建っていましたとも。それも2つ。どちらも同じ造りをしていて二階建てだ。流石に水道はないがキッチンはあってなんかIHみたいなのが置いてあった。


 「これは魔道コンロといってな。ここのボタンを押すと溜め込んでいた魔力を使って鍋などを熱することが出来るんじゃ。たまたまアイテムボックスに入っとったんでの、付けさせてもらったわい。」


 どうやら異世界版IHコンロだったらしい。それにしても有難い。これでぐんと調理がしやすくなる。
 

 キッチンの他にはリビングとダイニング兼用の大きな部屋と小さな部屋が4つ、倉庫が1つという感じだった。ディアンヌがいうにはここまで早く家を建てれるのはひとえに魔法のおかげだという。特にドワーフ族の土魔法は半端ないらしく、この短時間で作った家がかなり強い地震でも倒れないらしい。スゴすぎるだろ。


 「ガハハ! ワシが家を作ったのはいつぶりかのう。いやぁ、それにしても我ながらいい出来じゃ! これなら何も無ければ200年は十分に使えるじゃろうなぁ。」


 「そうよのう、まぁワシらの命の恩人の家なんじゃから当たり前といえば当たり前じゃ!」


 いや、命の恩人とか重すぎるだろ、、、


 「よっしゃ! 今日は新築祝いじゃ! 飲むぞ飲むぞ! ワシのアイテムポーチの中の9割は酒なんじゃからのう!」


 「「「おう!!」」」


 そう言うとブラフムが樽にはいった茶色い酒をポーチから取り出した。それを幼女以外のドワーフ達は木製のジョッキにいれてカパカパ飲んでいる。少し舐めさせて貰ったところ舌がヒリヒリしたのでかなり酒精の高い酒なのだろう。
 幼女達が羨ましそうに見ていたので俺はMPを変換してオレンジジュースを与えてやると「あまーい!」とかいって嬉しそうにごくごく飲んでいた。


 その後ドワーフ達の宴は次の日の朝まで続き、その日一日は二日酔いやらなんやらでドワーフ族が一日寝込んでいたのは言うまでもない。


 


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