ぷかぷか孤島になっちゃった?

睡蓮

第8話 ディース再来2

 「あっ、そう言えば私もここに住むことになったんです!! よろしくお願いします!」


 んっ!? 今なんか聞き間違いだと思い込みたい言葉が聞こえてきたぞ?
 みんなも同じ気持ちらしく、揃って「えっ?」と聞き返していた。


 「だーかーら! 私もこの島に住むことになったんですぅ! パチパチー!」


 いや、パチパチー! じゃねぇよ! ふざけんな! おい! そこのちびっ子精霊達! つられてぱちぱち手を叩くんじゃありません!


 『えーっと、それって拒否権とかは?』


 するとディースは目に涙を貯めて訴えてくる。


 「私、もしかして迷惑ですか?」


 うん、迷惑だよ! 敵にドジってバフ撃ってピンチを作ったり、俺を英雄にしようとして孤島にしたりするやつは正直に言うと発展中のこの島にいるのは迷惑だよ!


 ・・・でも、そんなこと言えないよね。だって俺女性とコミュニケーションを取った経験なんて部活で尻に敷かれてたぐらいしか経験ないから、こんな涙目の美女にそんなこと言えないよね。


 はぁ。DTって辛いよね。


『あっ、いや、迷惑ってわけじゃないけど、ね?一応ディースって神なんでしょ? 神がこんな所にいていいの?』


 すると俺の言葉にみんなが首を傾げ出す。んっ? 俺なんか変な事言った?


 「あっ! そうでした! 陽斗さんがいた世界では神が特別視されていたんでしたね! というか人族にヒューマン以外居ないんでしたっけ?」


 『ん? どういうことだ? 1から説明してくんない?』


 「この世界では神もひとつの種族でしかないんです。人族はみんな平等なんです! まぁ、ヒューマン至上主義だったり、エルフ至上主義だったりする国もありますけど。あっ、でも確かにヒューマンは神を崇めている風潮はありますね。」


 ふーん、神ってのは単なる種族名でしかないってことか。てかやっぱり人間はこういう所でも自分達が選ばれた種族だって信じたがるんだな。


 「神は基本群れません。まぁ、確かにこの世界の害になるものに対しては団結して立ち向かいますが、基本的には自由気ままにすごしています。不老不死ですし、子供が産まれることもほとんどありません。ここ1万年は生まれてないんじゃないですかね? 加護も神が好き勝手して付けてるだけでみんながみんな受けれる訳ではありません。
 ちなみに神話というのも人間が編纂したものです。私たちの史実をまとめて何が楽しいんですかねぇ?」


 ディースの史実だけ集めて公開したら全世界が爆笑の渦に飲まれると思いますよ。いや、知らないけれども。


『こっちの世界の神の扱いについてはわかった。んで、なんでディースはここに住むんだ?』


 「アイネちゃんの様子も見ておきたいですし、なにより陽斗さんをこんな姿にした責任もありますしできる限りお手伝いしたいんです!」


 ええ子や! ディースさんものごっつぅええ子や! 邪魔になるとか思っていた俺を許してくれ!


 『わかった! ありがとう。ディース。これからよろしくな!』


 するとディースはものすごい笑顔を見せながら返事をくれた。


 「はい! よろしくお願いします!」


 その目にはほんの少し涙が溜まっていた。


 「あの? ちょっといい?」


 なんだ、大精霊。俺とディースがこんないい雰囲気になっているのに割り込んできやがって!


 「陽斗って誰? そいつのいた世界がなんだって?」


『あれ?言ってなかったっけ? 俺転生者だぞ?』


 するとディースと俺以外のみんなが一斉に驚きの声をあげた。まぁ、ちびっ子精霊たちはまねっこしてるだけだけどな。「はぁー?」って頑張って大きな口を開けて叫んでいるのが可愛い。


 「って、ことはこいつ元々ヒューマンだったの?? なのにこんな姿にされちゃったの?」


 「孤島さんってとっても不幸ですね。邪神の被害をここまで受けるなんて・・・」


 やめて! みんな哀れみの目で俺を見ないで!あと、ヤシの木は俺じゃないから! いい加減そのボケやめて! てかアイネがディースのこと邪神って読んでる。本当はちょっぴり恨んでたりしそうだな。


 「わっ、私だって! この人の人生があんまりだったからこの世界で報われて欲しかったんですよ!! ・・・でも、ちょーっと手先がくるっちゃって勇者にするはずが孤島にしちゃったんです。」


『まぁまぁ、俺も最初はぶん殴ろうと思ってたけど今はこんなに楽しくやれてることに感謝してるしさ。』


 これは俺の本音だ。浪人生活で身も心もやつれ果てていた俺には今の環境がとても幸せに感じられる。島であること以外は。


 「まっ、あんたが気に入ってるなら別に言うことなんてないわ。私もあんたと会えてよかったと思ってるし。」


 おい、大精霊。お前今すっげぇ恥ずかしいこといってんぞ? 俺、DTだから勘違いしちまうぞ、コノヤロー。


 「あらあらあら、まぁまぁ!」


 おい、ディース! 近所のおばさんみたいなノリはやめなさい。


 ん? 大精霊の顔が赤くなり始めたぞ? これは自分の言ったことの酷さに気づいた時の反応だ! あっ、ヤシの木に隠れた! ほんとヤシの木大活躍だな。
 まぁこのままあいつの話をほじくるのも面白そうだけど、可哀想だから話題変えてやるか。


 『おーい、ディース。なんかお前次来る時欲しいもんなんでもやるとか言ってたよな?』


 「あ、はい! 私に出来ることならなんでもOKです!」


 『じゃあ、俺が憑依しても問題ないようなヒューマンの体が欲しいんだけど。どうかな?』


 これはここ数日で思いついたことだ。だってアイネがめちゃくちゃ美味そうに野菜食うんだもん。俺だって食いたい!


 「それなら任せてください! 私が陽斗さんにぴったりな素晴らしいホムンクルスを手に入れてきます!」


 『ホムンクルスって?』


 「人造人間です! 生物の形を粘土で作ってそこにコアを入れたら出来るやつです! それで今回はコアの代わりに陽斗さんが入るってことです! あっ、粘土で作るからと言って甘く見てはいけませんよ! 私の作るホムンクルスは人間の質感や柔らかさまでしっかりと再現されてますから!」


 そう言うとディースはない胸をドン!と叩いた。そういや、この島ぺたん娘しか居ないんだった。目の保養に胸のおっきい人こないかなぁ。


 いってぇ! 誰だ? これのこと思いっきし踏んづけたの? あっ、大精霊! お前か!! 痛え! 地団駄踏むな! 


 「?? じゃあ作ってきますねー!」


 ディースはなぜ大精霊が地団駄踏んでるのか気づけなかったようでホムンクルスを作りにいってしまった。


 大丈夫かなぁ・・・


 



 



 


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