異能学園のアークホルダー
これは、真の特別が時代を変える物語――
「俺のアークを見てくれ、一度だけでいい。出来たんだ! ランクC相当の――」
「ランクC相当? なにを言っているんだね君は。ランクFにそんなこと出来るわけないだろう」
中にいたのはアークの結果を告げた時と同じ研究員だった。入ってきたのがランクFだと見るなり表情を顰める。
「ならここで見せてやる、俺のアークを!」
しかしかつては言い返せなかった錬司だが今は違う。
発動したのだ。
出来損ないだと誰もが蔑んだランクFのアーク、その可能性を。
この場に錬司のアークが発揮される。諦めない心が作り出した驚異的な異能(アーク)だった。
これなら出来損ないなど言わせない。ようやく報われる。孤独の中、たった一人で行ってきた努力がついに実を結ぶのだ。錬司は笑みを浮かべた。
なのに。
「どんなズルをしたんだね?」
「ズル?」
研究員の言葉に、錬司の熱が退いていく。笑みが、消えていく。
「何度も言わせるな。ランクFにこんなこと出来るわけがないだろう。どうせズルだろう? よくいるんだよ、ロウランカーには現実を受け止められない輩が。たまに我々を騙してまでランクを上げようとする者もね」
「違う! 俺は――」
「我々を騙そうとした罪は重い。君には停学三カ月相当の罰を与えるよう私から教師に連絡しておこう。おい、こいつを連れ出してくれ」
「待て! 俺の話を聞け! 俺は本当に!」
「は、往生際が悪い。これだからランクFはゴミ以下なんだ」
「待て! 俺は成したんだ! 俺の異能(アーク)はゴミじゃねえ! 待てぇえええええ!」
錬司は部屋にいた警備の人間に捉えられ部屋から追い出されてしまった。
それからこのことは職員会議で議論され、錬司の停学が決まった。
後日、錬司は廊下を歩いていた。この学園から去るためだ。
その際、ふと横を通る教室を覗いてみた。
「俺はランクCだぞ、図が高いぞランクE!」「相手はランクB? げっ、俺より上じゃねえか。おいお前ランクFだろ、お前行ってこい」「え、どうして僕が!?」「口答えしてんじゃねえぞランクFが! てめえら出来損ないは黙って従ってればいいんだよ!」「そうだそうだ! ランクFが!」「アッハハハハ!」「はっはっはっはっはっ!」
「…………」
錬司は顔を戻し、廊下を歩く足を再開させた。
停学二カ月という処分を負って、錬司はアークアカデミアに背を向ける。そのまま学園を後にした。
出来ないことなどなにもなかった。すべて才能と努力で達成してきた。
けれど、ランクがFというだけで誰も認めない。誰も聞いてもくれない。
アークアカデミはランク至上主義。
ランクが絶対の学園だ。
そこで、錬司は決意したのだ。
なら、他人にはもう頼らない。
己を証明できるのは己のみなのだから。
錬司は第一アークアカデミアの制服を脱ぎ捨てた。代わりに黒のコートを羽織りフードを被った。
そして出て行ったのだ。
己を証明するために。
ランクFの逆襲だ。
ハイランクの優越に浸る罪人よ震えるがいい。
生まれつきの才能に浮かれる愚者よ泣くがいい。
ランク至上主義の終わりの時だ。
これは、真の特別が時代を変える物語――
「ランクC相当? なにを言っているんだね君は。ランクFにそんなこと出来るわけないだろう」
中にいたのはアークの結果を告げた時と同じ研究員だった。入ってきたのがランクFだと見るなり表情を顰める。
「ならここで見せてやる、俺のアークを!」
しかしかつては言い返せなかった錬司だが今は違う。
発動したのだ。
出来損ないだと誰もが蔑んだランクFのアーク、その可能性を。
この場に錬司のアークが発揮される。諦めない心が作り出した驚異的な異能(アーク)だった。
これなら出来損ないなど言わせない。ようやく報われる。孤独の中、たった一人で行ってきた努力がついに実を結ぶのだ。錬司は笑みを浮かべた。
なのに。
「どんなズルをしたんだね?」
「ズル?」
研究員の言葉に、錬司の熱が退いていく。笑みが、消えていく。
「何度も言わせるな。ランクFにこんなこと出来るわけがないだろう。どうせズルだろう? よくいるんだよ、ロウランカーには現実を受け止められない輩が。たまに我々を騙してまでランクを上げようとする者もね」
「違う! 俺は――」
「我々を騙そうとした罪は重い。君には停学三カ月相当の罰を与えるよう私から教師に連絡しておこう。おい、こいつを連れ出してくれ」
「待て! 俺の話を聞け! 俺は本当に!」
「は、往生際が悪い。これだからランクFはゴミ以下なんだ」
「待て! 俺は成したんだ! 俺の異能(アーク)はゴミじゃねえ! 待てぇえええええ!」
錬司は部屋にいた警備の人間に捉えられ部屋から追い出されてしまった。
それからこのことは職員会議で議論され、錬司の停学が決まった。
後日、錬司は廊下を歩いていた。この学園から去るためだ。
その際、ふと横を通る教室を覗いてみた。
「俺はランクCだぞ、図が高いぞランクE!」「相手はランクB? げっ、俺より上じゃねえか。おいお前ランクFだろ、お前行ってこい」「え、どうして僕が!?」「口答えしてんじゃねえぞランクFが! てめえら出来損ないは黙って従ってればいいんだよ!」「そうだそうだ! ランクFが!」「アッハハハハ!」「はっはっはっはっはっ!」
「…………」
錬司は顔を戻し、廊下を歩く足を再開させた。
停学二カ月という処分を負って、錬司はアークアカデミアに背を向ける。そのまま学園を後にした。
出来ないことなどなにもなかった。すべて才能と努力で達成してきた。
けれど、ランクがFというだけで誰も認めない。誰も聞いてもくれない。
アークアカデミはランク至上主義。
ランクが絶対の学園だ。
そこで、錬司は決意したのだ。
なら、他人にはもう頼らない。
己を証明できるのは己のみなのだから。
錬司は第一アークアカデミアの制服を脱ぎ捨てた。代わりに黒のコートを羽織りフードを被った。
そして出て行ったのだ。
己を証明するために。
ランクFの逆襲だ。
ハイランクの優越に浸る罪人よ震えるがいい。
生まれつきの才能に浮かれる愚者よ泣くがいい。
ランク至上主義の終わりの時だ。
これは、真の特別が時代を変える物語――
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