異能学園のアークホルダー
いやじゃない
信也はエレメント・ロードの力で前方に魔法陣の防壁を張った。青白い紋様はゆっくりと回りながら錬司の攻撃を防ぐ。
その衝撃、身体が押され足が地面をすべる。防壁に全魔力を注ぐが防ぎきれない。
ついに魔法陣が壊された。信也は爆発の波に吹き飛ばされ壁に衝突した。
「ごは!」
背中から伝わる激痛。信也は床に倒れた。痛みに体が動かない。意識はまだあるのに、身体がまったく動いてくれない。
「錬司……どうして……」
見上げる先、そこには錬司が立っている。錬司はゆっくりと歩き信也に近づいてきた。
冷たい視線が、じっと信也を見下ろしてくる。
「悪いが信也、これは俺にとって必要なことだ。そのためにもお前は狩らせてもらう、ランクA」
そう言って、錬司は信也に右手を向けた。
「くっ!」
反撃しなければならないのに、身体が動かない。腕も足も動いてくれない。
信也は頑張った。
諦めなければ道は開けると。己を信じ、人間の可能性を信じてきた。
しかし。
錬司を前にして信也は――
(俺には、無理なのか……?)
この時、諦めた。
「アンチに言い訳、パンチにガード。そしてピンチに姫宮パーンチ!」
しかし、この場に声が響いた。
「なんだこいつ?」
「うわあああ! 避けられたぁあ!?」
しかも登場するなり錬司を殴りつけたかと思うと避けられ、信也の近くに盛大に転んできた。
「ぐべえ……。いててて」
「ひめ、みや?」
その突然の登場に信也は唖然となる。どうしてここに姫宮が? と思うが、すぐにハッとした。
「逃げろ姫宮。危険だ、早く!」
なんとか動く口だけを必死に動かす。自分の横で寝転ぶ姫宮が顔を上げた。
「逃げないよ! 友達見捨てて逃げるなんて、そんなのわたしがするわけないじゃん!」
「姫宮……」
けれど、姫宮は立ち上がったかと思えば信也に駆け寄り、膝をついたのだ。信也の顔を覗き込む可愛らしい瞳が心配そうに見つめてくる。
嬉しかった。自分のピンチに駆け付けて、こうして近くにいてくれること。
でも、彼女までは巻き込めないから、信也は叫んだ。
「気持ちは嬉しいけど、でも! それでも逃げろ! 姫宮が来てどうにかなる問題じゃないんだよ!」
「いやだ!」
反論された!
「いやじゃない」
さらに反論する!
「いやだ!」
「いやじゃない」
「いやだ!」
「いやじゃない」
「やーやー!」
「我がまま言わない、高校生でしょう」
「絶対にいやだぁ! おウチ帰りたくないいい!」
「なんだこれ?」
いつの間に変な空気になっていた。
「はっははは! なんだよ信也、お前も隅に置けないな~。第三アークアカデミアの入学式といえばたしか二日前だろ? 二日ですでに彼女持ちとかやるじゃねえか」
そんな二人を錬司が冷かしてくる。
「ちげーよ! 姫宮とはそんな関係じゃなくて!」
「そうだよ! 信也君とはお友達だよ!」
「はいはい、分かった分かった」
錬司は片手をひらひらと振った後、再び二人を見下ろしてきた。
「なんでもいいけどよ、女、そこどけ。俺はこいつを倒さなくちゃならない」
「姫宮詩音なんですけど!」
「知るか、いいからそこどけ」
「いやだ!」
「てめえごと吹き飛ばすぞ?」
「するならすればいい」
「んだと?」
錬司は飄々としていた表情をしていたが眉間にしわを寄せた。
その衝撃、身体が押され足が地面をすべる。防壁に全魔力を注ぐが防ぎきれない。
ついに魔法陣が壊された。信也は爆発の波に吹き飛ばされ壁に衝突した。
「ごは!」
背中から伝わる激痛。信也は床に倒れた。痛みに体が動かない。意識はまだあるのに、身体がまったく動いてくれない。
「錬司……どうして……」
見上げる先、そこには錬司が立っている。錬司はゆっくりと歩き信也に近づいてきた。
冷たい視線が、じっと信也を見下ろしてくる。
「悪いが信也、これは俺にとって必要なことだ。そのためにもお前は狩らせてもらう、ランクA」
そう言って、錬司は信也に右手を向けた。
「くっ!」
反撃しなければならないのに、身体が動かない。腕も足も動いてくれない。
信也は頑張った。
諦めなければ道は開けると。己を信じ、人間の可能性を信じてきた。
しかし。
錬司を前にして信也は――
(俺には、無理なのか……?)
この時、諦めた。
「アンチに言い訳、パンチにガード。そしてピンチに姫宮パーンチ!」
しかし、この場に声が響いた。
「なんだこいつ?」
「うわあああ! 避けられたぁあ!?」
しかも登場するなり錬司を殴りつけたかと思うと避けられ、信也の近くに盛大に転んできた。
「ぐべえ……。いててて」
「ひめ、みや?」
その突然の登場に信也は唖然となる。どうしてここに姫宮が? と思うが、すぐにハッとした。
「逃げろ姫宮。危険だ、早く!」
なんとか動く口だけを必死に動かす。自分の横で寝転ぶ姫宮が顔を上げた。
「逃げないよ! 友達見捨てて逃げるなんて、そんなのわたしがするわけないじゃん!」
「姫宮……」
けれど、姫宮は立ち上がったかと思えば信也に駆け寄り、膝をついたのだ。信也の顔を覗き込む可愛らしい瞳が心配そうに見つめてくる。
嬉しかった。自分のピンチに駆け付けて、こうして近くにいてくれること。
でも、彼女までは巻き込めないから、信也は叫んだ。
「気持ちは嬉しいけど、でも! それでも逃げろ! 姫宮が来てどうにかなる問題じゃないんだよ!」
「いやだ!」
反論された!
「いやじゃない」
さらに反論する!
「いやだ!」
「いやじゃない」
「いやだ!」
「いやじゃない」
「やーやー!」
「我がまま言わない、高校生でしょう」
「絶対にいやだぁ! おウチ帰りたくないいい!」
「なんだこれ?」
いつの間に変な空気になっていた。
「はっははは! なんだよ信也、お前も隅に置けないな~。第三アークアカデミアの入学式といえばたしか二日前だろ? 二日ですでに彼女持ちとかやるじゃねえか」
そんな二人を錬司が冷かしてくる。
「ちげーよ! 姫宮とはそんな関係じゃなくて!」
「そうだよ! 信也君とはお友達だよ!」
「はいはい、分かった分かった」
錬司は片手をひらひらと振った後、再び二人を見下ろしてきた。
「なんでもいいけどよ、女、そこどけ。俺はこいつを倒さなくちゃならない」
「姫宮詩音なんですけど!」
「知るか、いいからそこどけ」
「いやだ!」
「てめえごと吹き飛ばすぞ?」
「するならすればいい」
「んだと?」
錬司は飄々としていた表情をしていたが眉間にしわを寄せた。
「ファンタジー」の人気作品
-
-
3万
-
4.9万
-
-
2.1万
-
7万
-
-
1.3万
-
2.2万
-
-
1.2万
-
4.8万
-
-
1万
-
2.3万
-
-
9,711
-
1.6万
-
-
9,545
-
1.1万
-
-
9,448
-
2.4万
-
-
9,173
-
2.3万
コメント