詩集

あぷるえ

詩集「内面」

「刹那のあなた」
目を開けてみる。
目の前には広大な花畑。
鳥がさえずり、風が香りを運ぶ。
いつか、御伽噺で聞いたような世界。
いつか、自分が追い求めていた世界。
その世界に、今いるというのに。
どうしてだろうか、涙が止まらない。
どうしてだろうか、悲しくて堪らない。
ただ、刹那を、感じていたい。
この夢が覚めるまで。
いつかのあなたが消えるまで。

「積み木」
皆で積み上げた積み木は、私のせいで崩れた。
皆は私を非難した。私はそこから避難した。
次に積み木を崩すのはいったい誰だろうか。
はたまた、永遠に崩れることはないのだろうか。
そんなことは、私にはもう知る由もない。
私は二度と、そこに戻ることはないのだから。
強いて言うならば、崩れればいいな。
ただ、それだけ。

「楽園の果て」
ここに追放された者たちの楽園を作ろう。
そう言って彼は楽園を作り上げた。
追放された者たちは、彼に感謝をした。
ただ、楽園は結局、楽園ではなかった。
追放された者たちの中でも、再び追放されたものがいたからだ。
すべての者に対して楽園である楽園などないのだろう。
ユートピアを目指した結果、結局生まれるのはディストピア。
そもそも、楽園などあるはずがない。
もしあったとするならば、私が彼を殺めることもなかったのだから。

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