NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?
第19話C そして勇者はパーティを結成する。みたい!
「ど、どーなったんですか?マルマルさん??」
「わからん。でも、ここにいるんじゃないか?」
そう言って勇者は真っ赤なローブの端を触る。触った途端、ビリっと真っ赤な電気が走りローブの真ん中が膨れ上がる。
「「「うおおおぉぉぉ!!!」」」
今叫んだのは男性陣だ。何故叫んだのか?それは、真っ赤なローブから現れたのはとんでもないダイナマイトボディを惜しむことなくピッチピチのボディコンスーツで包んだ、まさに爆弾級の大柄な女性だった。ハックも中々背が高い方だが、もしかしたらハックよりも大きい。そして別の部分も大きい!!
「いや〜さっぱりしたぁ〜〜!!やっぱ『生』の身体は最高だねぇ〜!!」
「あ、あなたは一体?」
「何言ってんだ?ナユルメツだよ?ナユって呼んでおくれよ、ブレイブハート!」
そう言ってナユルメツは勇者にキスをした。もちろん口に。そして今度は女性陣(主にタリエル)が絶叫した。
「と、取り乱してしまったが、失礼、そなたは何者なのだ?」
「気になるかい?アルケミスト。私はナユルメツ。回復死体だ。もう何百年もフレッシュな身体を失っていたけど、ここの地方にとんでもなく強い回復エネルギーを感知してね。久しぶりに土から這い出てきたのさ。」
キスされた勇者は、とんでもない二日酔いにでもなったと言うような体調の悪さを顔前面に押し出して尻餅をついた。
「なんだぁ。めっちゃ具合悪い。力尽きそうだ。」
「ちょっとちょっとアンタ!!ウチのマルたんに何したのさ!?」
「いや何、復活させてくれたお礼をしたんだけど、ボウヤにはちょっと刺激が強かったかしら?ウフフ。」
「いや〜アレは人妻の私でも妬いちゃうぐらい、すんごい身体してますねぇ。ねぇアンジェラちゃん?」
「いや、私に振られても。」
「だ、大丈夫ですか勇者さん!なんて羨ま…いやいや、けしからん!」
「マルマルさんもヤンドさんも何鼻の下伸ばしてるんですかっ!!」
「お、おれはしてないぞ。グハァ。」
「あら倒れちゃった。」
「それで、ナユルメツ殿は…」
「ナユでいいよ。私もハックと呼ばせてもらう。」
「承知した、ナユ殿。単刀直入に聞くが、そなたはアンデットなのか??」
「んーちょっと違うけど、リビングデッドって言うんだ。まぁでも似たようなもんさね。」
「それで、先程ヒーラーと言っていたな。」
「あぁ、そうだよ?回復魔法の専門家さ。」
「不死に属する者は、一般的に回復魔法でダメージを負うのではないのか??」
「あー、私の事モンスターだと思ってるだろ?残念ながら人間だ。元はね。」
「人間なのに、アンデットなのか?」
「正確に言うと違う。大昔だけど、回復魔法を極めようと研究に研究を重ねて、ありとあらゆる実験をこの身体でしてきたんだ。そうして得たのが、この『死にながら生き続ける』身体だよ。そこのボウヤとは正反対って所かね。」
「成る程、勇者殿の生き返り続けるという能力に惹かれて現れた訳だ。」
「そう、その『情報』が欲しかったんだよ。おかげさまで元どおりとは言わないけど、久しぶりに生身の身体を手に入れれた。これでしばらくはこのまま活動出来る。」
「それで、ナユ殿はこの先どうするつもりだ?」
「別に?私はアンタ達と違って永遠の存在だから、特に大きな目的なんかないよ。強いて言えば暇さえ潰せたらなんでもいいね。」
「じゃあ、ナユ、俺達の仲間になってくれ…」
「いいわよ!もちろんそのつもり!だって永遠に生き続ける仲間を探してたんだもの。これからは同じ時を歩みましょ!」
「ちょいちょい待てーい!!さっきから聞いてれば!なんなのこのボインは!?マルたんは私のモノなんだからね!!」
「あら残念、先約がいたのね。じゃあ後ろに並んどくわ。たかだか80年ちょっと待てば私の番がすぐ来るだろうし!」
「ムキー!!なんなのこのボイン!!許せない!!」
「ちょっとタリエルさん落ち着いて!」
「勇者さん、モテるんですね。羨まし…いやダメだ!けしからんですよ!」
「とりあえず誰でもいいから助けて…めっちゃ具合悪い。」
「ごめんねぇ、私の体液って物凄い濃厚な回復魔法のエキスが流れているからさ。怪我してない健康な人には毒になるんだよ。」
「わかっててそれやったのか!チクショー!!」
「いいでしょ?どうせステータス異常にならないんだし。」
「な!?なんで知ってる?」
「だから、あなたの魂から情報を読んだんだってば!しかしこの『大陸』がゲームの世界ってのは流石に驚いたけどさぁ。」
「それも知ってるのか?!」
「まぁ今知ったばかりだけどね。普段は生命エネルギーを消耗しないように影の中に隠れてるから、用があったら呼んでね〜」
そう言ってナユルメツは勇者の影に消えてしまった。
「か、帰っちゃいましたね…」
「居るわよー肉体化してないだけ〜」
「あ、そ、そうですか…あはは。」
マリーナは笑ったが、最早笑うしかない状況ではあった。まさかのとんでもない味方に、一同騒然としていた。
「で、明日はとりあえずフィールド出るんだよね?ユーシャ?」
「あぁ、その予定、だ。」
「ちょっと確認したいんだけど、みんなメニューボード見せてくれる?」
アンジェラに促されて、冒険者登録をしていないマリーナ以外のみんなはメニューボードを取り出す。
「やっぱり。みんな紫だ。」
「何かやっぱりなんだアンジェラ?」
「今ここに居るの全員NPCだよね?プレイヤー1人も混ぜないでパーティ登録って出来る?」
「「「え?」」」
こうして、第2回目の賢人会議も、異常なくドタバタで幕を閉めるのだった。
第19話 END
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