NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?

激しく補助席希望

第18話B そして勇者は乾杯の挨拶をする。みたい!?




「え?そうだけど…」

 まさか自分も付いてくるなんて言い出すのかと思い警戒する。

「いや、とりあえず大体集まったからもう募集はいいかなーって考えてたんだよ。」

「その募集場所ってここにしたのか?」

(やべぇ、怒られるな)「仕方ないだろ?午前中はここに缶詰だし、午後は決まった場所に居ないから…」

「もうパーティは集めないって言ったな?」

「一応、その予定だけど…」

「…ならいい。店に迷惑かけるなよ?」

 ミンギンジャンはあっさりと話を終えて厨房に戻ってしまった。

「な、なんだったんだ??」

 その後も特に何かある訳ではなく、作業は進んで行った。午前の後段に差し掛かる頃にはマリーナとミンギンジャンも普通に接するようになっていた。






「失礼する。勇者殿はおられるか?」


「お!ハックじゃん。昼に出歩いてるなんて珍しいな。」

「これから鑑定局に新たな魔道書を売りに来たのだ。そのついでに寄らせてもらった。」

「ちょうど良かった。俺はもうちょっとで仕事上がるから、そしたら一緒に飯食ってそのまま昨日会った候補者の人の所回ろうぜ。」

「おう、錬金術師。よく来たな。」

「ミンギンジャン、俺もう上がりでいいか?ほらゴールド!ついでにこれでハックにも飯食わせてくれよ」

「わかった、金さえあれば別に文句は無い。」


「…なんだか今日はやけにミンギンジャンが大人しいんだよな。なんでだろう?」

「そうか?私にはいつもの店長殿に見えるが?」

「今朝もマリーナとケンカしてたみたいだし、それで凹んでたのかなぁ?」

「この店内で店長殿の頭が上がらない人物がいるというのも、面白いモノだな。」


「出来たぞ、スタミナ丼2つ。」

「店長殿自ら運んでくれるとは嬉しい限りだ。」

「あーマリーナはさっき配達行ったんだよ。多分タリエルの所に弁当持ってったのかな? …で、ミンギンジャン。後ろの人、誰?」

 ミンギンジャンは驚き振り返る。
そこには絶対に今まで誰も居なかったはずなのに、何者かが立っていた。昨日の『真っ赤なローブ』だ。

「!!!…テメェ…」

「勇者、死なない勇者。お前か?」

「え?まぁはい、そうだけど??」

「仲間、なる。私」

「え!パーティの希望者ですか?」

「そう。」

「…喉、大丈夫です?なんだか喋り辛そうだけど。」

「言葉、使ってなかった。話すの難しい。」

「あー長い事一人暮らしだとそうなりますよね〜」

「何普通に会話してんだ!コイツ今ここに『現れた』んだぞ!」

「まぁまぁ店長殿、そう熱り立たずに。せっかく立候補されてますので、そう無下にも出来ません。」

「しかしだな、昨日もコイツ、夜中突然店の中に現れたんだぞ!?」

「そうなの?夜中って何時ぐらい?」

「お前だろ午前中にウチの店に集合かけたの!コイツ午前零時を過ぎた瞬間に来やがったんだ!」

「時間、感覚、なかった。」

「あー一人暮らし長いとそうなりますよねぇ〜〜」

「なるかよッッ!!じゃなくて、俺にも存在が感知出来ないような奴だぞ?」

「まぁまぁ店長殿。このパーティに参加条件はありません。誰でも可と募集要項にありますから。」

「テメェまでどうしちまったんだ?マトモなのは俺だけなのか?」

「うるさいな〜いいからもうミンギンジャンは引っ込んでてくれよ!まったく!」

「ナユルメツ。名前。」

「はいナユルメツさん、私は勇者〇〇です。ハックも居るしこの後面接しよっか、ご飯食べるまで待っててね。」

「…ご飯、待ってる」

 そう言うとナユルメツと名乗る真っ赤なローブ姿は店の外に出て行った。


「あぁもういい!勝手にしろ!!」


(おいハック!わかってんのか?俺の鼻に引っかから無いってのがどう言う事か?)ヒソヒソ

(ええ、分かってます。薄々ですが感付いてました。ただし、敵意は全くありません。)

「チッ!付き合ってられん!!」


「なんだ?今日はずっと大人しかったのに急に怒り出して??」

「やはり虫の居所が悪かったのでしょう。ささ、冷める前に頂きますか」








 昼食を食べ終えて大魔道飯店から出た2人はナユルメツの姿を探す。真っ赤なローブは店から少し離れた石のある所に居た。

「どうもお待たせしました〜」

「墓。ここ。勇者の墓ある。」

「はい?墓??え?俺の???」

「おぉ!これは勇者殿が神殿に運ばれた時に手違いで作られたものだ!」

「ゲ!!まだあったのかよ!!ここで働いて何日か経つけど全く気が付かなかったぞ!?」

「墓ある、死なない。本当?」

「いやぁその墓は手違いですけど…
死なないって誰から聞きました?もしかしてあの店に出入りしてるゴロツキ共からですか?」


 ナユルメツはしばらく無言だった。


「仲間なる、条件。『情報』、欲しい。」

「え?情報??なんのですか??」

「…また来る、だって時は無限にあるから。」

 最後の言葉だけは嫌に流暢に話し、ナユルメツは去って行った。



「あらら、行っちゃったよ。」

「勇者殿、一つ聞きたいのだがあの者にどのような印象を持った?」

「イメージ?あの人って多分だけど、かなりの強キャラか神様みたいな感じじゃない?もしかして実はドラゴンか何かが変身してたとか?あれを逃したら勿体ないと思うぞ。」

「!ほぉ、そのような印象を受けたのか。」

「なんかちょっと現実離れした所あるし顔も全く見えなかったけどさ。パーティに立候補してきた他の人の中では1番強いと思う。かな?」

「ふぅむ。なるほど…一つ仮説が出来た。それを証明する為に、まずは鑑定局へ向かおう。」

「鑑定局?タリエルに用か?」

「そうだ。それで、出来れば今日の面接は私とタリエルで行いたい。」

「えー俺抜きかよ!?」

「確かめたい事があるのだが、確信を得る為にはNPC同士で話をしたい。」

「まぁ…わかったよ。」


Bパート終了→

コメント

コメントを書く

「SF」の人気作品

書籍化作品