NPC勇者〇〇はどうしても世界をDeBugしたい。みたい!?

激しく補助席希望

第21話A そして勇者はダンジョンを踏破する。みたい?


 あれからしばらく時が経ち、勇者達は体制と呼吸を整えた。ダンジョンの1階というのは基本、フロア状になっていて侵入した冒険者が進行の為に休息しミーティングを行えるようにされている。もちろんエンカウントも1階においては発生しない。

「さーて、落ち着いたし出口を探すか。」

「ここは2〜3階下に降りたらすぐ見つかる。」

「とりあえず目的のモンスターを退治しなきゃね。」



「じ、自分はどうすれば良いですか??」


 ヤンドが一際オドオドとする。さっきあんな事があったばかりでこれ以上迷惑をかけたくない一心であった。

「むしろヤンドは後ろにいるより1番前の方がいいんじゃないか?そうしたらそのまま敵に突っ込んでいくだろうから後ろには飛びかかって来ないだろうし。」

「わかりました!よろしくお願いしますリーダー!!」

「なんかその呼び方嫌だなぁ…」

「あら、パーティのリーダーなんだからそれで合ってるでしょ。よっ!パーティの大黒柱!…ウチの大黒柱は…ぁぁぁアナタぁぁ〜!うぇぇん」

「サイカさん自分で言っといて自爆するのやめてもらえます??」

「ユーシャ、またサイカ泣かした。」

「勝手に泣いたんだろっっ!」

 とりあえずの編成としては、先頭にヤンド、その後方に勇者、サイカ。最後に殿としてアンジェラの陣形を取った。






<地下1階>



「ここは初級のダンジョンで最下層も低いし、大したアイテムも取れないからさっさと行こう。」

「後ろから急かすなよアンジェラ。わかったよ、階段降りよう」

 階段を下りると、そこから建物内の雰囲気が本格的な遺跡チックな造りに変わった。階段を降りるまでは木造だったのが、角の削れた石造りの古くカビ臭い匂いが充満する空間になった。

「うわー急に遺跡って感じになっちゃったな。うっすらと寒気すらするよ。」

「地表面の敵よりは少し強い敵が出るぞ」

「え!アンデッドコボルドより強いのが出るのか!?」

「あのアンデッドコボルドは異常。もっと遠い墓地なら出現するけど、ファステからここまで近い所に出た事はない。」

「そーなの??」

「自分も初めて見ました。しかもあんな数が一気に出たのも初めてです。普通、アンデッドコボルドは多くても1度に2〜3体でしか出現しません。」

「さっき20体はいたんじゃないか?どーなってんだ??」

「勇者君、まさか敵を呼び寄せるような能力もってないよね??」

「いやいや、まさか…」

 勇者は黒いメニューボードを起動するが、特に目新しい項目は解放されていなかった。

(ホッ、良かった)「ホラ、何もないでしょサイカさん?」

「うーん。私達に見せられても元から読めないしねぇ。」

「あ、そうだった。」

「でもこの中で1番怪しいのはユーシャ。」

「なんでだよ!」

「リーダーはこの『大陸』で1番イレギュラーな存在ですからね。ハハハ。」

「俺だってこんな能力欲しくて…いや、結構便利だな。」

「そういえば、リーダーは魔法が得意なんですよね?」

「は?魔法??」

「ハック導師が言ってましたよ。なんでも勇者にしか使えない伝説の魔法を持ってるとか。」

「何の話…あぁ、アレか。それは魔法じゃなくてデバッグ能力だ。」

「何の話?」

「ウィンクだよ。聞いてないのか?」

「あー!!タリエルちゃんがメロメロにされちゃったってアレね!」

「メロメロって…でもまぁあながち間違っては無いのか。」

 アンジェラがスーっと勇者から離れて行った。

「オイ、何だよ?」

「…身の危険を感じて。」

「はぁ!?フザケンナよ!アレはタリエルが人の事バカにするからやったんであって!…ん?」

 アンジェラが前を指差す。その方を見ると、牙をむき出しにしたヤンドがいた。

「うわ!!!」

「ゴアアァァアァァ!!」

 叫び声を上げてヤンドは前に走り出し、曲がり角を曲がる。そこから凄まじいモンスターの悲鳴と血しぶきが飛んでくる。

「「「……。」」」


Aパート終了→


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