無邪気な少女の異世界冒険記

敷島楓

第55話 お爺ちゃんの家に長くお泊り【前編】

食卓に着くととても良い居心地がする。


何人かのお爺ちゃん達が、ご飯を作り始めている。


僕は、お姉様の手を離れて、作ってるお爺ちゃん達の所へと足を運ぶ。


「マリアちゃんこんばんは、と満面な笑顔で挨拶される」


「僕も、満面な笑顔で、お爺ちゃんこんばんは、と話しかける」


ここは、火があって、危ないから近づいたら駄目だよと言われる。


僕は、大丈夫ですとお爺ちゃんに言って、欲しい物を聞いてみる事にする。


「お爺ちゃん?」


「何だいマリアちゃん?」


「卵と砂糖てありますか?」


「あるけど何か作るのか、まだ幼いから危ないぞ?」


「大丈夫です、スキルに料理スキルあるので、怪我は、しないとおもいます」


「その歳で、料理スキルおぼえてるなんて凄いな!」


「作った事は、ないですけど?」


「本を読んで勉強したので、大丈夫です」


「なら、火の使い方だけ教えるから好きに、使うといい」


僕は、火の使い方と、フライパンを借りて、油を引いて、卵料理を作り始める。


昔の料理センスが残っているので、別に危険な事は、なく卵焼きを作り始める。


そして、綺麗な厚焼き玉子が、出来上がる。


僕は、久々の料理に嬉しさを感じる。


出来たの厚焼き玉子をお皿とお盆にのせて、ダイトカイトお爺ちゃんの所へと足を運ぶ。


お爺ちゃんは、僕の顔をみて、どうしたと聞いて来る。


「お爺ちゃんに、お礼がしたくて、僕の初めて作った料理食べて下さい!」


「はじめてじゃと!」


「はい、先ほど材料を貰って、初めて料理しました」


「スキルは、ありましたが、感謝と愛情を込めてつくりました」


「不味いかもしれませんが、召し上がってください」


僕は、満面な笑顔で、ダイトカイトおじいちゃんに、お皿と箸を渡す。


ダイトカイトお爺ちゃんは、手が震えながら僕の厚焼き玉子を食べてくれる。


すると?


「美味い――」


「初めて作って、これだけ美味いとは……」


ダイトカイトお爺ちゃんは、泣いている。


僕は、近づいてどうしたのとおでことおでこをあてて真直ぐな目で、見ると?


「いや、初めて作った物を、儂なんかが、食べて――」


「それも感謝と愛情だけのスパイスが、儂の心を掴んだみたいで、懐かしさのあまりに、泣いてしまった」


お爺ちゃんは、僕にそう話す。


これは、儂の為と言ったが、他の者にも食べさせて良いか?


「いいえ、それは、ダイトカイトお爺ちゃんが一人で食べて下さい」


「僕は、これから皆さんの分もつくりますので、僕の初めては、ダイトカイトお爺ちゃんが貰ってください」


孫に、そんな笑顔でいわれるなんて、儂は、幸せで涙を流しながら一噛ずつ食べて、美味しく頂いた。


「美味しかったのと暖かい気持ちになった、有難うと笑顔で笑う」


僕は、こちらこそ助けて頂いて、こんな事しかまだできませんが、またいつかダイトカイトお爺ちゃんの誕生日に、何かを作って食べさせたいです。


僕は、笑顔でそう言うと?


「有難う、そして良い孫が出来て、儂は幸せだ!」


お爺ちゃんのそんな言葉が漏れる。


食べ終わったお皿を受け取り食卓へと戻る。


後ろから、泣いているお爺ちゃんの声が聞こえるが、そっとしておく事にする。


食卓に戻り、今度は、ホットケーキを作りに、戻る。


お爺ちゃん達に、材料を伝えると、用意してくれる。


ここの食卓には、沢山の材料と香辛料や砂糖など色々な食材が揃っている。


僕は、油を引きホットケーキを作り始める。


すると、お姉様が近づいてくる。


「マリアなにしてるの?」


「えっと、料理?」


「マリア料理できるの!」


「作ったのは、さっき初めてですが、スキルは持ってます」


「それで、その甘いパンは、何?」


「ホットケーキと言う食べ物です」


「後ほど皆が食べる時に、お出しするので楽しみにしてて下さい」


「わ~~い」


「マリアの手作り料理が食べれる」


お姉様は、嬉しそうに、ソファへと向かい座る。


僕は、黙々とホットケーキを作っていく。


作っている所をお爺ちゃん達がみていて、冷めたらもったいなからといって、変わった箱をくれる。


この中に作った物をいれとけば出来立ての状態で保てると話される。


試しに、一番最初に作ったホットケーキを手で触れてみると焼き立てと同じ温度を感じる。


さすが、アーティファクトを作れる人達がいるだけあって、調理場は、凄い。


僕は、食べきれないだろうと思うくらいの量を次々作っていく――


「完成と呟き山ほどのホットケーキが完成する」


僕の一言前に、お爺ちゃん達の料理が完成し、とても良い匂いがする。


食卓に、人数分のお皿を聞くと?


持っておいておくからその箱に入った物だけ持っておいでと優しく言われる。


他のおじいちゃんに、バターと蜂蜜を頼んで、お姉様の居るとなりの席へと足を運ぶ――


左隣が、ダイトカイトお爺ちゃんで、右隣にお姉様がいる。


ダイトカイトお爺ちゃんは。少し目が赤いが、いつもの元気な顔に戻っている。


そう言えば、さっきでかけたシルフィーお爺ちゃんが戻ってきている。


そして、皆で頂きますと声を上げて食べ始める。


皆先に、お爺ちゃん達が作った肉とスープに、手が伸びる。


僕は、お姉様から受け取り、スープを飲むと何だか心から温まる。


今日の出来事も鮮明に、思い出す。


今日の事もあったし、明日からは、お爺ちゃん達に稽古をつけてもらい少しでも強くならないとと思いながらスープを噛みしめる。


するとお姉様が、僕に話しかける。


「マリア?」


「どうしましたお姉様?」


「さっき作ってたのは?」


「ありますよここに?」


「どうして出さないの?」


「えっとうっかりと言うかお爺ちゃん達の料理みてたら忘れてました」


お姉様は、食事中なのに立ち上がり声をあげる。


「お爺ちゃん達聞いてほしい事が!」


お爺ちゃん達は、可愛い孫の顔を見る。


「マリアが、私たちの為に、作ったホットケーキと言う食べ物がここにあります!」


「皆さん食べないのですか?」


「マリアちゃんが、作った食べ物!」


「孫のそれもこんなに、可愛い子が作った食べ物を食べずにいるなんて出来る訳がない!」


一斉にお爺ちゃん達が、僕を見る。


僕は、ゆっくりと箱をだして、食べ物の食べ方について説明をした。


すると箱の中から次々とホットケーキがどんどんお爺ちゃん達とお姉様に配られる。


ホットケーキに、バターを乗せると?


出来立ての様に、バターが溶けて、その上に、蜂蜜をかけるとよりいっそうに、甘い香りが部屋の中に広がる――


フォークとナイフで、綺麗に切って食べ始めると?


皆の手が止まる?


あれ、味付けミスかなと思っていると?


全員から――


「美味い!」


声がはもり聞こえる。


「これは、やばい食べ物だ、いくら食べても何故か知らないが手が止まらない!」


「初の孫娘が作った手作りの物がまさか食べられるとは!」


お姉様は、リスの様に、頬にいっぱいつめて、おいひいと言っている。


僕は、作ったかいがあったなと思った。


中には、何人かのおじちゃんが、ダイトカイトお爺ちゃんの様に、泣いている者もいる。


それでも、凄く暖かい夕飯となる。


すると、ダイトカイトお爺ちゃんが、マリアちゃんの手料理これで、二回目で、一日で、二回も味わえるとは、幸せだと呟くと?


周りから……


「えっ!」


ダイトカイト様今凄い発言があったのですが?


「いや、さっきお礼に、厚焼き玉子を頂いたのが初めて作った物だったらしい――」


お姉様が、動揺しながら、ダイトカイトお爺ちゃんがマリアの初めてを奪ったの!


なんか違う意味に聞こえるがあえて流しておこう。


そんな騒ぎが始まると?


僕は、一言言う――


「あれは、今日の出来事で、助けて頂いたお礼でつくりました」


「ダイトカイトお爺ちゃんを責めないでください」


少し演技をいれて、涙目になりながら呟く――


「ホットケーキも皆さんに食べて欲しいと思って、いつもの感謝と愛情をこめて作りました!」


「だから、喧嘩は、しないで、楽しくたべようよお爺ちゃん達とお姉様……」


僕の頬から、涙が少しこぼれるのをみると、辺りが静かになる。


そして、一斉に、皆が、僕に、話す。


「ごめんなさい、マリアちゃん」


そして、いつもの暖かい食卓に戻るのだった。


それから数時間が経ち、ご飯が落ち着くと?


不思議な事に、残ると思っていたホットケーキが全部なくなっている。


最後の一枚は、お姉様が笑顔で食べる事もあった。


それを見ていたお爺ちゃん達は、孫だし可愛いからとお姉様を見ている。


そして、食事もすんだところに、いつも道理甘いデザートが来る。


今日は、イチゴのレアチーズケーキだ、味は問題ないが、マリアちゃんの手作りの後だと自身がなくなると笑う。


僕は、そんな事ないです。


凄く楽しみですと笑顔を向けると何人かが、倒れる――


僕は、ある事に気づいた……


全開で、魅力を使っている事に気づく――


急いで、普通に戻ると?


お爺ちゃん達は、起きだす。


「いや~ マリアちゃんといい、ウィンちゃんといい、初の孫娘の笑顔は、心臓に悪いな……」


「あぶなくはぐしてしまう所だったよ?」


お姉様も隣で、頷いている。


この後の予定なんだが、遊ぶ方と学ぶ方どっちが良い?


僕とお姉様は、同時に、学ぶ方と答える。


今日の出来事で、自分の力量を知ったからだ。


稽古は、明日からと言う事なので、今日は、知識を学ぶと言う事になる。


僕は、ダイトカイトお爺ちゃんから旅先で手に入ったと言う本を受け取る。


龍退治をしていたら出てきた本だと言われる。


本を見ると?


グリモワール魔術龍魔法上位禁術の書と書かれている。


「ダイトカイトお爺ちゃん何と戦ったら、こんな凄い本が手に入るの?」


「なんか根城にしていた龍のボスがいてそいつを倒したら手に入れた」


「ほかにも武器とか手に入れたが、マリアちゃんは、本が好きだろうと思って渡した」


「ほかにもいくつか本があるが、さすがにその厚さの本は、今日読むので大変だろうから読み終わったら違うのを渡す」


そんな会話をする。


確かに、これは、普通のグリモワール魔術何十冊分なんだろう……


机の上に置きながら見ないと見れないや……


そこに、シルフィーお爺ちゃんが、難しい顔でソファに、座っている。


あの難しい顔をなんとかするにはと僕は、考える。


本をよいしょと持ち上げて、フラフラとシルフィーお爺ちゃんに近づき話しかける。


シルフィー爺ちゃん?


「お、マリアちゃんか、どうしたんだい?」


「僕このご本を読みたいのだけど一人だと大変だからお膝かりて、おじいたんの膝でよんでもいいですか?」


僕は、途中よくお姉様がかむ台詞を言ってみる――


もちろん満面な笑顔全開で、言うと?


僕を抱きかかえてくれて、膝に乗せてくれる。


凄く良い温もりを感じながら、笑顔で有難うですと言う。


シルフィーお爺ちゃんは、孫の頼みだし良いぞと笑顔で言ってくれる。


シルフィーお爺ちゃんの膝の上で本を読み始める。


それを見ていたシルフィーお爺ちゃんが、魔法をかけてくれる。


重さを軽くする魔法らしく、全然重さを感じなくなる。


僕は、ありあとうシルフィーお爺ちゃんと言う。


そして、温もりを感じながら寝る前まで本を読む。


もちろん途中なんどか、足し痺れてたりしませんか?


そんな事を尋ねると、孫と一緒に居られて幸せだから気にせず本をお読みと言われる。


そして、本が読み終わるとスキルに、追加された感じがした。


少し疲れたので、シルフィーお爺ちゃんの膝の上で少し眠るとポーションの効果が切れて、いつもの赤ん坊へと戻ると?


シルフィーお爺ちゃんは、ウィンちゃんにも声をかけて、僕をベットまで運んでくれる。


お姉様も僕の隣にならび一緒に眠るのだった。

「無邪気な少女の異世界冒険記」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く