運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.if 2話 真覚醒

 言い忘れていましたが、本Episodeは各EpisodeのTrueEnd後に続く話です。








 ー音無 零sideー

 俺はしなくちゃいけないことがある気がする。

 でもなんだろう、凄く温かい。

 このままずっとこうしていたい気分だ。

「、、、い、た、、、」

 誰の声だ?

 とても懐かしい、安心する声だ。

「は、、、きて、た、、、って」

 もう少し、もう少しでいい、この温かさの中に居させてくれ。

 その間だけでいい、眠らせてくれ。

「立って!」

 この声は、、、優希!?

 そうだ、俺は優希を助けるためにここまで来たんだ。

 ここで倒れる訳には行かないんだ。

 そう思った途端、徐々に意識が戻ってくるのを感じた。








「やはりお前には荷が重かったか、、、」

 そう独りごちるのは墜落星。今や彼以外立つもののいない部屋で感傷に浸っていた。

「偽りの仮面を被り、魔王を打ち倒す勇者を待ち望んでいたが、それをここまでのようだ」

 彼は話しながら、倒れる王抗命の元へ近づいた。

「勇者は現れず、魔王はその力を増し、世界は蝕まれる、、、。世は既に希望を無くしてしまった」

 彼が抗命の顔に手を近づけた瞬間部屋の扉が開かれた。開け放った後それはすぐさま零の元へと駆け寄った。

 そのあまりの速さに落星は思わず身構えたが、直ぐにその必要は無いと確信する。なぜならその正体は立花優希だったからだ。

 誰が見ても一瞬で零の命が危険な状態であることを見た彼女は、最上級の古代魔術完全治癒コンプリートキュアを唱えた。

 瞬く間に傷は癒されて行った。

「お願い、起きて!」

 彼女は零を強く揺さぶった。

「早く起きて、戦って!」

 彼女は悲痛な声を上げた。

「立って!」

 故に目覚めたのだろう。

 全身から光のオーラを放ち、彼は立ち上がって見せた。そしてその瞳の中央には優希の泣き笑顔が映し出されていた。

「ごめん、助けに来たのに逆に助け出されたよ」

「、、、いいんだよ、知ってたから。私なしじゃダメダメなんだってことくらいね」

「全くもって不快だな」

 不快感を顕にしながら墜落星は言った。

「時すでに遅し。勇者が現れたところで魔王は倒せはしない。大人しく倒れていればよかったものを」

 その意味深な発言に零と優希は笑いながら返した。

「違う、俺は勇者なんかじゃない」

「零は私の、私だけの救世主メサイアよ」

 言った後に零は神器である神剣クラウソラスを落星に向けた。

「俺はこの剣と共にお前を討つ!」


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