運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.3 6話 分離

 ー王 抗命sideー

 魔法についてそれなりに理解した頃別働隊から連絡が入った。

「、、、そうか。でもまだ耐えてくれ。今僕達がどこにいるのかを知られるのはまずい。せめて一時間は時間が欲しい」

 僕の通話で防衛が上手くいっていないことを察したのか、隣を走るミィナが話しかけてきた。

「もう少しで堕とされそうなの?」

 問いかける顔からは、作戦が失敗してしまうのではないかという危機感ではなく、仲間が死んでしまうという悲壮感が滲み出ていた。

(まったく、ここまで人は変わらないものなのか?どこまでお人好しなんだか、、、)

「安心しろって。僕達の仲間がそんな簡単に死ぬわけないだろ?それに僕達が奥に進めば進むほど奴らはこちらに戦力を割くはずだ」

 僕が言わなくてもミィナは分かっているだろう。多分だけど、今僕から発せられることが重要なんだと思う。

「ここで留まることは仲間たちをそれだけ追い詰めてしまう。だから、ここは彼らを信じて先に進もう」

 僕は言い終わってみなの顔を見回した。そこには、ミィナと少女、そしてメンバー十数人がいた。

「と言っても心配は心配だ。だからここからはこのまま進むのと、増援に行く班に分けたいと思う。このまま進む班のリーダーは僕が、増援班はソルがつとめる。君はソルについて行くんだ。後は適当に別れてくれ」

 実は連れていくと言った時から二手に別れることは確定していた。いくら戦力になると言えど無関係の人間を巻き込む訳にはいかないからだ。

 そして、その考えを少女に暴かれる前にその場をあとにした。

「しっかし、リーダーもわかりやすいっすね」

 別れた後直ぐにメンバーの一人がそう言った。それがトリガーになったのか次々に言い始めた。

「ほんとだよなあ。口では少女のためとかいっておきながらなあ」

「その実、一番気がかりなのはソルさんなんだよね」

「わかるわかる。本当に照れ屋さんなんだから」

「、、、お前ら知ってるか?そういう事言う奴から物語じゃ死んでいくんだぞ?」

 呆れながらそんな意味の分からない言葉を返した。でも私語は注意しなかった。

 もしかしたら今日でもう二度と話せなくなるかもしれないからだ。







追記:一部表現の訂正(2020/6/26)

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