運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.2 17.5話 準備②

   ースミスsideー

   会議室から出たオレはすぐに行動を開始した。他でもない長年に渡って願ってきた自らの誓いを果たすためだ。

「人類を抹殺する」

   今1度その誓いを口にしながら、決意を確固たるものとした。

   こんな目標を立てていながら今まで何故人に協力していたのか。それは少しでもオレが人である・・・・ように見せかけるためだ。

   あくまでもオレはスミス・・・という人間・・で、人類に協力的である・・・・・・ことを印象づけさせるための行動だった。

   しかし、もうその必要が無くなった。今人類の最高戦力である鬼滅団が「鬼を殲滅すること」ではなく、「未知の敵に対しどう対処するのか」という方針に転換しているからだ。

   今ならば多少鬼の動きがあろうと鬼滅団は無視するだろう。

   鬼滅団の他にもスレイヤーなる者たちが存在するが、問題は無い。なぜなら、鬼など所詮朽ちる寸前の悪魔・・でしかないのだからな。

   思案しながら歩いているといつの間にか城を出ていた。そして、辺りに誰もいないことを確認してから悪魔回帰デビルモードを発動した。

   するとオレの背中から禍々しいまでに黒い一対の羽が生えてきた。それを確認する前に力の限り跳躍した。

   約200メートル程跳んだ後羽を震わせ目指すべき場所へと突き進んだ。

   着くまでもう少しという所で出迎えがあった。そいつの特徴は全身が硬い筋肉で覆われた大男・・・・・・・・・・・・・・だ。そう何時だかオレの店に足を運び大剣を所望したやつだ。

   もう言わなくても分かるだろうが、こいつも悪魔だ。それもオレの右腕に匹敵するほどの。

「王よ、遂にその時が来たのだな」

   その問いに頷く事だけして、先を急いだ。言い忘れていたが、悪魔の中ではオレは王として君臨している。

   暫くして城、人間風に言うなら魔王城に辿り着いた。大男、グロスに上層部が至急地下に集まるよう呼びかけをしてもらい、すぐにある部屋へと向かった。

「すまない、待たせた」

「、、、待たせたこと以外にも謝ることがあるんじゃないの」

   不機嫌気味に答えたのはこの大陸では珍しい妖狐だ。そうして、彼女が怒っている理由は恐らく、いや確実にアレだろう。

「借りたものを壊したのは謝ろう。しかし、こちらとてやむを得ない事情があったのだ」

「ふーん。まあ、別に怒ってるわけでもないしね。いいわ、私の可愛いゴーレムちゃんを破壊したことは水に流してあげる」

「そうか、それは助かる」

「で?ここに何しに来たの。まさか謝るためだけじゃないよね?」

   どうやら、この狐にはある程度オレの思考が読めたらしい。

「そうだな。要点だけまとめて話そう」

   長いとも短いとも取れる時間で重要なことだけをまとめて話した。

「何それ、面倒極まりないことを押し付けてくれるじゃない」

「出来ないのか?」

   軽く挑発も乗せながら言い返してみた。

「そんな挑発に私が乗るとでも?、、、と言いたいところだけど、私の研究も一段落したところだしね。いいよ、付き合ってあげる」

   よろしく頼むと部屋を後にしたオレは誓いが必ず果たされるものだと改めて確信した。


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