運命には抗えない

あぶそーぶ

ep.2 19話 開戦

   大量の小船が宇宙船から出てきた事を確認したスミスは、各々の進路を確認した。

   よく見るとそれらは、今スミスと鬼滅団が立っているこの海岸ではなく、大半は各地に帆先を向けているようだった。

   これは事前にスミスが提案していた通りだったおかげか、団員たちは安堵していた。

「スミス卿、別地に向かった敵は本当に迎撃できるのですよね?もし、そうでなかったら、、、」

   そう問いただしたのは、鬼滅団第1師団総団長かつ、現地の最高司令官のグランブレイバーだ。彼の疑問は最もだぅたので、さっきまで安堵してした団員達は静まり返ってしまった。

「安心しろ。ここに居る者より遥かに強いもの達を向かわせてある。むしろここでお前らがくたぱらないかが心配なくらいだ」

   スミスの言葉が言い終わった頃、小船数十機が大砲の射程圏内に入った。それと同時に大砲二門を一班とした各班が砲撃を開始した。

   流石に全弾命中とまではいかなかったが、半分程命中した。撃墜できたのは十機足らずでも大砲が通用したという事実が団員たちの士気を上げた。

   だが、それも一瞬の出来事だった。なぜなら、沈没する寸前に1人だが、飛び出して来たからだ。

   それは、防衛線である海岸に着地したと同時に叫んだ。

「アハッ!イイねぇ、この戦場の雰囲気!思わず身震いしちゃうよ!!」

   その言葉には殺気とはまた違った恐怖を呼び起こさせるものがあった。感じたことの無いその恐怖に団員たちはその身をすくませてしまった。

   それが狙いだったのか1番近くにいた団員に斬りかかった。その団員はここで死ぬのかと想像したが、それは良い意味で裏切られた。

「登場早々意味のわからんことを言うな。皆の士気が落ちる」

   そう言いながら敵の攻撃を受けたのはスミスだった。

「アレェ?お兄さん邪魔だよ?早くそこの人をぶっ殺させてよ。それともお兄さんが死んでくれるの?」

   スミスの行動によって団員を殺せなかった少女らしき人物の機嫌を損ねてしまったらしく、少しだけ声が低くなった。

   そして、その少女の1合がきっかけになったのか次々と小船が上陸を開始した。引き続き大砲を発車しているものの、やはり当たっても数機撃破が限界だった。

「よし、各班持ち場につくんだ!大砲班も時を見て担当された場所へ!なんとしてもここで死守するぞ!」

「「「オオオ!!!」」」

   グランブレイバーのその掛け声によって戦いの火蓋が切って落とされた。

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