五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

鬼人リム(252歳)と天使アリス(510歳)朝の風景



本日7月22日 日曜日
魔王達が騒いでいた夜
つまり昨日7月21日の夜に全員の携帯電話にメールが入っていた


差出人はカライド
【緊急】
『実家の店がが経営難に陥ったのでしばらく帰ります。もしかすると夏休みの間に帰って来れないかも知れないので、何か武器が必要な場合は魔界までよろしくお願いします』
 

律儀に連絡をよこすあたり、まだ携帯を持てるのが嬉しいらしい
まぁ関係無いけど
と思いながらボサボサ頭の岩村はポイと携帯を枕元に投げ捨ててもう一度拾い直す
そのまま投げ捨てて眠ってしまいたいがそのメールを上司にあたる良樹に転送して今度こそはと眠りにつく














が5分程すると隣家の扉が勢いよく開く音にまた起こされる
それほど眠りが深くない岩村は毎度これに叩き起される




急げミリア!不良教師に直談判だ!!
ご主人様、直談判など言わず不意打ちで私が脅します!
よく言った!!出陣じゃー!!
待ちなさいアンタら!!追試受けに行くんでしょ!?
…!……!!








「うるせ…」
いっそう深く布団を被り今度こそはと目を閉じると
ツンツンと布団の端をつつかれる感触
見なくても分かる
自身と契約関係にある言葉を喋らない子供天使アリスが起こしに来たのだ。
「今日は寝る…健治の所で遊んでおいで」
『きょうもじゃないの?』
「生き物は毎日寝るもんだ……」
喋らないアリスは某アンパン男の磁気ボードで筆談を行うが岩村は見ずに答える辺り大体何を言われるのか分かっていたようで、アリスもそれだけ聞くと岩村を無視して冷蔵庫に向かう
冷蔵庫の脇には関根や美空、片瀬など生活力のある人間が常備菜や飲み物などを時々補充しておりレシートを置いておくと後から岩村が代金を渡すと言うシステムになっている
無論その中にはアリス用のお菓子やジュースも有り、冷蔵庫の中からペットボトルのオレンジジュースと冷蔵庫脇の菓子パンを手にトテトテと4人がけのテーブルに運ぶ
椅子に座り手を合わせプラスチックのコップにオレンジジュースを注いで1人の朝食を始めようと思った時
「アリスちゃ〜ん、ご飯食べましょ〜?」
コンコンコンと玄関がノックされリムの間延びした声が自分を呼ぶ
どうしようかと一瞬悩んだ末オレンジジュースを冷蔵庫に直しコップの分はサッと飲み干してから菓子パンを寝ている岩村に投げつける


「いて……ぐぅ」


アンパン男の磁気ボードを手に小さな黒い靴を履きガチャっと玄関を開け、デカデカと磁気ボードに書いた『おばちゃんおはよー』をリムに見せつける
「ま、まだおばちゃんじゃないわよぉ?」
玄関の鍵をリムが閉めてアリスの手をひきつつ1階下にある健治の部屋へと向かう





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