五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

魔人の憂鬱 5

「んじゃラーメン食って腹も膨れた所で今日は帰るか!」
「お前が自分から帰るとか言い出すのは珍しいな山口」
「色々と準備があるからな!」
準備?
「僕も水着買いに行かないと」
「誰もお前の水着なんて見てねぇからいいんじゃねぇの?」
「ならお前はブーメランパンツ一丁で女の子に声をかけるんだな?」
「なるほど…なら俺も買いに行く!」
「買ったところで結果は同じだろうけどね。カライドはどうする?」
「俺は良いや。帰って寝る」
「そっか!じゃあまた週明けに学校でな!」
「おう、またな」
店の前で2人とは別れ家路を辿る
暑い。この世界は湿気が酷い
けど家に帰ればクーラーが待っている
もう少しの辛抱だ




































































「何か、来たな」
「魔族か?」
場所は変わって再び学校
日は沈み、現在夜の8時
ジメッとした空気の中、保健室のベッドから起き上がったのは岩村
やや乱れた髪を整えながらスリッパを履いて窓から外を見る
暗い室内に人影は3人
岩村の寝ていたベッドに腰掛けている小さな少女アリスとテストが終わったのにも関わらず岩村に問題集をさせられていた関根である
「分からん。が、力の強い存在なのは間違いない」
「野良だったら良樹さんから連絡があるもんな。お登りさんかな?」
問題集を閉じ、岩村の横に並ぶ
学生でありながら正規の魔術師である2人は、異界関連の有事の際前に出る義務がある。
岩村は感覚が鋭く、不測の事態が起きる前後にこういった形で気付く事も多い
「どの辺りか分かるか?」
「塔だ」
「塔を使ったのか?」
「いや、使った訳じゃない。塔の中に自力で来た感じだな」
「偶然か?」
「いや、意図的にこちらに存在を知らせたつもりかもしれん」
「なら話し合いで…」
「その必要はない」
刹那、2人の後方から声が響く
視認もせずに振り向きざまに関根が殴りかかり岩村がペン立てを投げつける
「血の気が多いな人間」
関根の拳を片手で掴み威力を後ろに逸らせ、散らばりながら向かってくるペンをかざした手から歪んだ空間を作り出し飲み込む
「何者だ!!」
「カー君の気配を辿って見ればカー君は居ないし、わざわざこちらから出向いてやればいきなり攻撃を仕掛けてくる。私の知る人間は失礼な者では無かったぞ?」
「俺達は人間界の正規魔術師だ。害を及ぼす存在を排除するのは当たり前の事だ阿呆」
「我を阿呆呼ばわりか。頭が高いぞ人間」



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