五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

魔人の憂鬱 1

「はいやり直し」
『ぐぅぅぅぅぅ…!』
試験最終日前日。取調室のような空間に質素な机が3つ
それぞれ亮太、ミリア、俺ことカライドの3人で呻き声をあげる
「数Aってなんだよ!数学で纏めろよ!算数も怪しいのに出来るかこんなもん!!ぐぉっ」
亮太がバツ印の多い紙の上へシャーペンを叩きつけると後ろからアリスの槌が振り下ろされ、亮太ごと更に叩きつける
怖ぇ
ちなみに俺は古文、ミリアは英語の勉強をさせられている
「たわけが。勉強を教えろと言ったのはお前ら3人だろ」
そんな俺たちに面倒くさがりながらも教えてくれているのは岩村大先生様
「根っちは!?根っちはどうしたよ岩村!」
「アイツは片瀬がちゃんと見てる。安心しろレベルはお前らと似たようなもんだ」
『ほぼほしゅうかくてい』
白のボードにアリスが平仮名で書いてみせると何故かホっとする自分も中々悪いやつなのかも知れない
「あーもうやめだ!そもそも中卒のオレが高校の勉強する理由が分からねぇ!中3の授業教えろやクソ教師ども!」
「なら中学からやり直してくるか?」
「キィィィィィィィ!!」
子供のような規制をあげながら亮太は次のテスト用紙に筆を走らせ始めた。一応やるんだな
「ミリア、和訳で何故『あはれなり』って古文が出てくる。現代語に訳せ、と言うかヤケクソで書くな」
「うぅ…良いじゃないですか」
「良くねぇからそこに座ってんだろうが!」
ペシっと音が鳴りハリセンがミリアの頭上に振り下ろされた。
この世界の住人じゃないから少しは容赦してくれているんだな
「カライド、お前は落ち着いて文章をゆっくり読め。焦って先へ先へ読み進めるから意味が理解出来てないんだ」
「おう」
なんと俺にはハリセン無しだ
ただ岩村の言うように焦って読んだ結果間違えている問題は採点の時にハッと気付く事もあった
ちゃんと見てくれてるんだな
「甘いからってすぐ寝させてもらえるなんて思うなよ?お前ら50点取るまで解放しねぇからな」
『グギギギギギ』
あと何回悲鳴をあげればいいのやら
「夏休み、遊びたいんだろう?」
『遊びたい!』です!」
「なら必死こいてやれ!!俺も寝たい!!!」
『ウォォォォォォ!!!』


「頑張ってるー?差し入れのおにぎり持ってきたわよー」
問題を読みながら重要な所にチェックを入れていると部屋の扉が開き………
バタンッ
「今やる気出してる所だから邪魔してやるな。いや、俺も辛いんだだが!今休憩させるのはこいつらのためにならない。すまんがそこに置いてくれ笠木」
「あ、そっかごめんね。ミリー頑張ってねー」
「嘘つけ今のタイミングなら止めても良かっただろォッフゥン!?」
椅子から立ち上がった亮太にまた槌が振り下ろされる。こいつは学習しねぇなぁ

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