五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

ラノベの主人公かよ 5

授業の内容はこうだった
自身の魔力を発現させ、それを武器に纏わせる
RPGで良くある属性付与
ゼロから魔術を習う人間の基礎力を養うための訓練
武器に纏わせたあとはそれを維持、可能なら武器から魔術を発動させる
これがスムーズに行えるようになれば魔力の扱いが多少は出来るってとこだな
「難しい事やるのなー学校って」
みんなが頑張ってる後ろでオレは手のひらに魔力を集中させている
1人遅れてる分だけ片瀬ちゃんに個別で見てもらう手筈になっていたらしく、2人で腰を下ろして訓練しているように見せかけているだけなんだけど
そんな傍ら健治は口で説明するとは思えないが周りのクラスメイトに指導?らしきものをしている
「魔力が無くなったって本当だったんですね川元君」
「うん、置いてきちゃった」
もちろん先日同様魔力が急に湧いてきたりする訳もなく
「でも分けてもらえば使えるから」
「あ。それも聞いてますのでどうぞ」
と言いながら片瀬ちゃんは自らの使っている杖を渡してくる
受け取るフリをしながら片瀬ちゃんの小指に触れる
「ちょいと失礼」
失った分を補うため。そしてこの学校で生徒として過ごすために考えた秘策
「美空と片瀬ちゃんが友達で良かったわ〜」
「お役に立てて何よりです」
触れた指先から片瀬ちゃんの体内を巡る魔力を吸い取る
ひんやりとした水のような感触がオレの体内に流れ込むのが分かる
「ちょっと慣れるまで時間がかかりそうです。力が抜けると言いますか…」
「魔力って生命力そのものみたいなとこあるからねー。ほいオッケー」
パッと手を離すと右の手のひらにだけ魔力が宿ったのが分かった
何となく指先にゴルフボールくらいの水の球を作り、スッと引っ込める
大丈夫、使える
「あ、色変わりましたよ川元君」
「おおう、目立たねー位置だ。上等上等」
つんつんと指された部分の髪を手に取ってみると、内側のほんの一部分が青色に染まっている
「何とか今日くらいなら誤魔化せそうだ」
「それは何よりです。この量なら私も全然大丈夫なのでまたいつでも声かけてくださいね!」
「根っちに怒られそうだから頻繁にはお願いしないから安心していいぜ」
「んなっ…」
「いいねぇ青春!リア充は」
腹立たしげに舌打ちをしてオレは立ち上がり片瀬ちゃんから少し離れたところで準備運動
身体が小さくなって体重も軽くなったからか凄く軽やかに動けるなぁ
「まさかまだ何の進展もしてません、なんて事は無いよな?」
「いえその…」
棒術ってどうやるんだろう。モップで拳銃持った相手を制圧するアニメも見たことあるしただの棒よりモップの方が良いのかな?
「まだ私と関根君にはちょっとその、ね?早いと言いますかなんと言いますか」
「言い訳は聞きたくねぇんだよクソッタレェェ!モジモジしてんじゃねぇよぉぉぉぉ!?」
よし、準備運動終わり!
片瀬ちゃんいじめも終わり!

コメント

コメントを書く

「コメディー」の人気作品

書籍化作品