五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

ラノベの主人公かよ 1

「川元亮太15歳!季節外れのインフルエンザでダウンしてたけど復活したんで皆と同じ教室で勉強する事になりました」
「はい、という訳で川元君は今日からこの1-Dの新しい仲間になりまーす」
真新しい制服に袖を通した少年が教卓の上で大きく頭を下げている
担任の教師が面倒くさそうに簡単な説明をすると小さく拍手が響く
それを聞き真っ黒の長い髪をサラサラと靡かせ亮太が顔を上げるとクラス中からの好奇の視線が刺さる
(そらそうなるわな。ラノベの主人公かよ)
ケッと心の中で悪態をつきながら全体を見回す
「はいはい!川元君本当に15歳?」
「おうよ。ピチピチの高校生だぜ」
「それにしては小さくない?もしかして女の子?」
「男だよ!?何だったら脱ごうか!?」
「はいストップストップ」
「ぐぇ」
青い制服を脱いだところで担任の制止が入り拳骨が脳天に降りてくる
「そんな訳だから適当によろしく。授業始まるからそろそろ移動開始、委員長は案内でもしてやってくれ」
それだけ告げると担任はぼさぼさの頭を掻きながら教室のドアを開けどこかへと行ってしまう
「別に委員長じゃないんだけどなぁ…」
「まぁよろしく頼むよ委員長」
委員長と呼ばれた生徒は亮太に歩み寄るとため息を吐きながらこっちですと誘導してくる


























































この状況から遡ること5日


「オレは高校生魔術師川元亮太。幼馴染でも何でもない知り合いを助けて放浪していると全身緑色の気色悪いタコを目撃した!戦闘に夢中になっていたオレは病院で点滴を打たれているとある異変を感じ気が付いたら!」
「身体が縮んでいた、と」
「川元亮太が誰かに知られた所で別に何の支障もないためオレは医者のおっさんに名前を聞かれて咄嗟に…」
「川元亮太とちゃんと名前は言える、と」
「小さくなっても天才なのは変わらない!サラサラストレートの超絶美少女高校生!ねぇどうしよう先生⁉︎めっちゃ縮んでるよオレの身体⁉︎」
「小さくなっても中身は同じ、と」
「何でもない知り合いって酷いわね」
「最低です亮太さん」
「それは言い過ぎたごめん二人とも!」
両手を合わせて謝ろうにもブカブカになった患者衣の袖から上手く手が出ねぇ
てか声も高ぇし
「心配すんな息子、昔にもそんな症状の奴が1人居たしそいつは時間が経てば元に戻った」
「つまりほっとけば治るってこと?」
「そういう事だ」
窓際で煙草に火をつけた親父が紫煙を吐き出している
なんだ、気にすることねぇのか
「んじゃあどうでもいいしオレ寝るわ。腹減ったし」
「明日元気になったらまた検査しようか、何も無ければそのまま学校行っていいよ」
「うーっす」




と、その日はそれで終わった



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