五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

帰還と変身 3

「腹減ったなー」
「さっき食べたでしょ」
「あんなもんで満たされるかよ」
空気を読んでか亮太さんがそう呟く
まともな栄養を摂っていなかったようで普通の食事をすると胃が受け付けないかもという事でお粥や消化の良い物を少しだけ食べていましたがやはり足りなかったようですね
「美空の作った弁当が食いたい」
「元気になったらね」
「あの、亮太さん。私も多少は作れるようになりましたよ?」
「おーそれは楽しみだ!吐くまで食ってやるからな」
そう言って私の頭を乱暴に撫でてくる
久しぶりの感触
思わず涙がこぼれそうになります








と言うかこぼれました
「おいおい泣くなよ〜」
「泣いてませんが」
「亮太がいなくなってさんざん泣いたのにね」
「何で泣いてたんだよ?帰ってくるって言っただろ?」
「あの状況で帰ってくるなんて言われても死亡フラグにしか聞こえなかったわよ」
「それはまぁ…なぁ。でも本当にサラッと言葉が出てきたあたり死亡フラグ建てるヤツは無意識なんだよきっと」
クシャクシャになった髪を整えながら涙を患者衣の袖で涙を拭いてもらう
随分待たされたんです。少し位我が儘を言っても許されるはずです
「少しだけ我が儘をよろしいでしょうか?主様。」
いけない。声が震える
「お?珍しいじゃん。どしたん」
「……です」
言うのが凄く恥ずかしい。でも我慢出来ない
「会いたかったです。寂しかったです。死ぬほど寂しかったです!もうどこにも行かないで下さい!あとギューさせて下さい!!」
「HAHAHA。もちろんださぁ来い!」
そう言った亮太さんが両手を広げた瞬間
涙で視界が歪み何も見えなくなりました。
くしゃくしゃの顔で亮太さんに手を伸ばし顔に触れ改めて存在を確認し首に手を回す
「いてて…グェ」
「あ!ミリー駄目駄目!!」
「亮太さん亮太さん!ご主人様ァ!」
「おぉ…お嬢さんまたお強くなられた様ですな首がねじ切れそうだ……」
「いや亮太死んじゃうから!ナースコールするよ⁉︎」
「あー美空よいよい、死にはせんだろう」
「主様ァァァァ!!」



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