五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

帰還と変身 2

「メシ!ごはん!食事!」
「診察が先だ阿呆」
車を走らせ辿り着いたのは総合病院でした
生きてるし手足もちゃんとあり、身体も随分と汚れてはいますがお元気そうなので大丈夫だとは思いますが…
「では川元亮太さん、まず身体測定から始めましょう」
「けっこう伸びたぜ?モデルぐらい」
ハッハーンと髪の毛をかきあげながら診察台に登った亮太さん
採血の時びっくりするぐらい暴れてましたが良樹さんとソラも一緒になって無理矢理抑えつけて完了です






















「身長が182センチ体重が60キロ。ちょっと痩せ気味ですね、しっかりご飯を食べましょう」


「むしろそんなもんで済んでんのが驚きだわ…」
息子驚愕と呟きながら亮太さんは院内のベッドに横たわっています


診察の結果、これと言った重大な疾患は無く軽すぎる体重を指摘するのみ
後の話は良樹さんが1人で聞くそうで、私たち2人は個室で亮太さんが逃げないよう見張っていろという事になりました
「大事をとって今日と明日は入院と先生は仰ってましたよ?」
「んな大げさな…」
「ヒョロヒョロのくせに強がってんじゃないわよ」
「いてっ」
ソラにチョップをされて大人しくなってしまいました。ナイスです
「それにしたって2年か。もっと長い時間を生きてきたつもりだったんだけどな」
「確かに大人の顔になったわね」
「そんなに老けてたのか。全然分かってなかったわ」
時刻は既に午後8時を過ぎました
窓の外に視線を向ける亮太さんの横顔が自分の知っているものと比べ物にならない位大人になっていて戸惑いを隠せずにいます
「言いたい事がいっぱいあり過ぎて何から話せば良いのか分からないんだけど…」
「そうだなー」
ベッドの足元に腰掛けたソラが亮太さんと同様にぼーっと外を見つめている
何となく私も外を眺めてみても暗くて良く見えない
ああ、多分2人とも何話せば分からないんですね



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