五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

4人集まれば 9









「アリスも連れて来たのか?」
「お前が帰ってくるから一緒にいじめてやろうと思って」
「責任持って連れて帰れ」
GOホームと反対側を指差すがその指より直角に岩村が空を指さすとそこには黒と白の混じった塊がフワフワと風に流されるように動いている
「アアアアアアアアアアアア!」
「叫ぶなうるせぇ。それに今すぐじゃないから安心しろ」
「嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「出発」
健治に腕を捕まれ大空へと連行される
大粒の涙を目に溜めているがまずは目の前の敵をという事で一旦落ち着きを取り戻す
目標はタコの頭上
「もう嫌だ本当に」
「無駄口」
ポロッと泣き言を言っても健治は無表情のまま一蹴してしまう


先程から話に出ているアリスとは
「2年で少しはデカくなったのか?あの『天使』」
「不変」
「それはそれで可哀想だな。まぁ岩村と同じ食生活なら成長しなくて当然だな」
自身の頭上を行く黒と白の天使アリスを見つめながらハハハと笑う
「飯はちゃんと食べてる」
「なら後は運動と睡眠だな!」
亮太達の斜め前方向に見える『天使』はやや振り向いてこちらを確認するとその場で静止する
手に持った小さな玩具のピコピコハンマーを掲げると一気に膨張していき、ポイッと魔族の元へ捨てる




















「よし、行くぞ」
「え?だから何すれば良いの?」
「もう1回あいつひっくり返せば良いって言ってんだろシンプル馬鹿」
バチバチと音を立てる岩村の横で未だオロオロとしている関根に檄を飛ばす
「そう?じゃあ」
と言った瞬間グッと膝に力を込めて高く跳躍
みるみるうちに亮太と健治に追いつく
その横に岩村も並びタコの胴体に突っ込んでいくように移動を開始し
「足掴め!」
「はいよっ!」
掴むと言うより拳を埋め込むように正拳を突くと触手付け根の芯部分をグッと握る
その関根を岩村が掴み、アリスの落としたハンマーがタコの頭にブニョンと直撃する
「やっぱり面の打撃は通りづらいな」
岩村が1人愚痴るがそれでも意識をそちらに向ける事には成功したようで動きが止まる
「行くぞ」
その瞬間関根と岩村が一気に上昇
タコの身体がまた反対を向く
「行け亮太!」
「任せろ!!」
力を出し切って浮遊が解けたらしい岩村を触手を掴んだ左手と逆の右腕で掴んだ関根が叫ぶ
当初の予定通り無理矢理反転させられたタコは全足を広げ普通にボイルされるタコのようになってしまう
「離してくれ健治ぃ!」
何も言わず亮太の手を健治は離し毒々しく光る緑色のバスケットボールのような物の真上から落下していく
「超狙いやすい位置!」
剣を真下に向け一直線に落ちていくがギイギイと鳴き声が聞こえたかと思うと核の周りにいた魔族が亮太に向かっていく
「やべっ、忘れてた!」
錆びた剣を一度引き近寄ってくる敵へと振るう
ガチンと金属のぶつかる音が響き刀身が半分ほど割れる
「ジーザス…」
「あのボケッ!」
「岩村さん暴言ばっかり辞めてくれる!?傷付くわ!」
そうこうしている間にも小さな魔族が亮太を取り囲んで行く
魔力を手足に込め氷の刃をは生やして振り回すが数を減らす事は出来ずに応戦で手一杯となっていく
「意外と強っ!」
あたふたとするがサポートに健治が飛んでいこうとするが間に合う距離では無い


「一度仕切り直すか!?」
「このタイミング逃したら後はもっと面倒だ!決めさせるしか無い!」
「…ゾー…」
「ん?」
「あっ」
「いくぞー」
「来た!」
「投げろカライド!」
「行くぞおおぉぉぉ!!!!」
後方、下の方、ボートのエンジン音が聞こえ始めた関根と岩村がハッと振り向くと茶髪の少年が棒を大振りで投げ放った瞬間であった


投げられた物を目で追うと三股に別れた槍であることが分かる
真っ直ぐ亮太の所へ向かうとザクッと魔族の1体に刺さる
それに気付いた亮太が槍を引き抜くと大きく振り回して魔族を振り払う
「カライドか!?」
「何か分からんが行け亮太!!」
ボート上から叫び親指を立てる茶髪の少年カライドの応援を受け返事もせず下を見据える
「フィナーレといこうじゃねぇか!!」

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