五つの世界の端々で

とっとこクソ太郎

4人集まれば 3

自身の体重と剣の重み
更にブーツに仕込まれたブースターでの加速
小細工なしのただの突撃
遠くの方で亮太がカッケーなアレ!などと騒いでいるがそれが聞こえた頃には先程氷柱が届いた目に突き刺さっている
ザックンと音がしたあと緑色の液体が更に吹き出し巨体を大きく動かして痛みに悶える


「無理」
誰かに聞かせるわけでもなくそう呟いて刺さったままの剣から手を離して離脱する
「上出来だ健治!ミリア!!」
「はい!」
ピッと親指を立てて健治を賞賛した後ミリアにフォローをさせるため近くに呼び寄せる


その間美空に透明の石をもう少し渡すよう頼み、4つをまた飲み込む
「少しならこれで戦えるかなー」
「亮太!」
手首辺りを美空に捕まれ振り返ると触手が一つの束になって迫ってくるのが見える
美空と触手の間に割って入り空いている右手を前にかざし、わざと触手に叩かれる
その瞬間触手と手のひらが触れている部分を氷の魔力を使い凍らせる
「フン!」
錆びて切れ味の無くなった剣を柔らかい触手に刺し、地面まで貫通させて固定する
「固定出来てりゃいいけどなー」
と呟いて触手に乗り上げて本体に向け走っていく
ヌルヌルの体液を足の接触部分のみ凍らせて滑らないようにしながら駆け上がっているとミリアが追従してくる
「付け根まで行って下から見上げたいんだ」
「分かりました!」
胴体と足の根元付近で触手から離れミリアに左手を任せる
今度は落とさないようにしっかり掴む
が、上昇は出来ずに滑空すると言った感じで胴体の下に入り込む
夕日も半分ほど沈み、光も一切入ってこないそこは真っ暗な空洞のようになっていた
「生き物としての器官が存在してないな」
「亮太さん」
おかしいと呟いて周りを見回していると上を見てくださいとミリア
視線をタコの頭に向けるとバスケットボール位の緑色の玉が目に入る
「あれだな」
先程と同じように指を差して氷柱を飛ばしてみるが玉の周りに何かいるようで弾かれてしまう
目に見えていない敵がまだいる事を認識し、どうしようかと考えていた時急に高度が下がる
「すみません!何か来てます!」
「かまわねぇ、1回逃げよう」
気配で何かを察したミリアが滑るように足の間から外に逃げる
光に目が馴染むまで数秒時間がかかったがまだ何かが追ってきていることには気付いていたため振り返って姿を確認する
「魔族の残党ですか!」
タコと亮太が現れるまで戦っていた鋭い爪の魔族が数体残っていたようだったが、少し雰囲気が違う


亮太が仕留められなかったのは単なる威力不足だけで無く、その魔族の爪が明らかに他の個体よりも大きく、黒い色をしていた
「上位種ってとこだろ」
追撃の氷柱を数本飛ばし牽制を仕掛ける

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