脳内電脳ゲイム

月神

第六話 囚われの怪物

「アキ?、いますの?。」


 キルは問う。


「ん?、ああ、いるが。」


 アキは答える。


「この前の戦闘でアキが受け取ったその武器、いまいちど考えてみたんですの。」


「考えてみたって…?。」


キルはアキの持つ武器を強い疑問を抱いていたようだ。


「私は姉様のツッコミでその武器に関して『武器倉庫にあった』という表現と似た様な事を言いましたわ。」


「ああ、そうだな、『姉様…ありましたわよ…。』的な事言ってたな。」


「私は、姉様がゲーム世界の確認…及び、このゲームがまだ生きてた時代にあの城の武器倉庫の管理を行っておりましたわ、ですが…。」


「ですが?…。」


「よくよく考えてみればアキの持ってるその武器は無かったはずなんですの。」


キルは、そう豪語する。イルの言った事はそう間違いでも無かったようだ。


「無かった…!?。」


「私も見せ所ありましたね!!!。」


イルが顔を見せてきた。


「姉様…まあ、その武器は私達が所持してなかった剣だったのですわ。」


「じゃあ…この武器は一体…?。」


「伝説と謳われた武器、無限のインフィニティーソード。」


「誰だ!?。」


突如として現れたのは黒ドレスの銀髪の少女だった。


「さあ…?そのうち分かるだろうね。私を助けさえすれば、」


冷静さを保ったその少女の声は、少しだけ悲しさが混じっている様にアキ達は思った。


 謎の少女にアキ達は疑問に思いながら冒険という『アイズ』からこのゲームを取り戻すための旅をしていた。


「それにしてもあの少女は結局何だったのにゃ?。」


「分からない…。」


「でも…『助けさえすれば』って…言ってた…って事は…『助けてくれ』…って言ってるのと…同じでは…無いでしょうか?。」


奈瑠が知恵を振り絞って言った。


「奈瑠。それは一理あるな。俺の感だが恐らく彼女は何者かに囚われてるんじゃ無いか?。」


五真が感づさせて言った。


「そしたら何故私の前に現れたのですか?。」


「それは…多分、彼女は何らかの物を操っているんじゃ無いか?。例えば幽霊とか…。」


五真はかなりの怖いもの好きなのだ…。彼曰く心霊現象とかにかなりの興味を抱いているようだ。だからこういった表現は彼にとってもはや得意な物なのだ。


「そっそれはやめてにゃっ!!。」


それに対してるるは怖いものが苦手なのだ。見るだけでも動けないらしい。


「五真、いい線行ってるかも知んない、あれ、」


アキが指で指した先にはワープ地点があった。


「どうやらここから行けるらしいわね…。」


「一体何があるのでしょう…。」


「入ってみないことには始まらない。行こう。」


と言ってアキは入ってしまった。あとに続いてイル達も入った。


 入った先はとても綺麗な庭園だった。様々な種類の花が咲き誇り、何分か前にいた世界とは全く違う風景だった。


「随分と私に似合う場所ですわね〜。」


「キル、その為に来たわけじゃ無いから。」


「こんな綺麗な場所の何処にさらったんですかね。ん?。」


歩いた先に違和感を感じたイルはとっさにに振り向いた。






しかし、






手遅れだった。






「たぁすけてくださぁーい!!。うぐっ。」


イルが地面に飲み込まれたのだ。やがてその身体は見えなくなり、完全に地面の中に入ってしまった。


「ヤバいっみんな!地面の下だっ!入れっ!!。」


アキが指示した瞬間だった。そこにいたアキ達も地面に飲まれたのだ。






 地面に飲まれたアキ達一行は、施設のような場所に行き届いた。


「ここは…。」


「恐らく地下研究所とかじゃないかしら。」


キルが言う。


「俺等が地面に飲み込まれたのは女神さんとほぼ同じ場所、…なのに何故女神さんがいない…?。」


「それは…。」


「べつの道をたどって来たんじゃ無いか?。…んでその後、彼女と同じ場所に囚われてるんだと予測する。」


五真が自信満々気が言った。


「キル…お前の暗黒魔法で女神さんの居場所を特定出来ないか?。」


「ええ、出来ますわ。ですが…。」


「ですが?。」


「体力消費が酷いのです。その魔法は。」


「って事は…MPが減って力が無くなるっていう解釈でいいのか?。」


「そうですわ。」


キルは、一個一個の魔法はとても強力なのだが、MP消費が大きい為、とても早い攻撃は出来ない。MPが無くなり、動け無い時に攻撃を食らったら、被ダメージが大幅に上がるだろう。


「…。分かった。特定はしてくれ、闘うのは俺等がやる。MPが完全に回復したら戦闘にうつってくれていい。」


「分かりましたわ、やりましょう。






______ゲーム世界の象徴、永遠なる女神 イルは何処だ?______。」


たちまち、イルの居場所に通じる道が照らし出された。


「この道だな、進もう…。キル、大丈夫か?。」


「え…ええ、だい…じょう…ぶ…ですわ…。」


先程の暗黒魔法でMPが尽きてしまって動けない身体を五真が持ち上げている。






「いてて…こっここは何処ですか!?。」


「……ここは、監獄。」


「貴方はあの時の!。」


「私の霊は貴方達に行き届いていた様ですね。」


 イルはあの地面に飲まれた時、何故か監獄に来てしまったみたいだった。


そしてそこに居たのはあの謎の少女だった。


「私を…助けに?。」


「その為に来たつもりでした。ですが、仲間とはぐれてしまって…。」


「仲間って…もしかして…無限の剣のマスター?。」


「恐らく。…そもそも無限の剣って何ですか?。」


「それは…。」






「それは今から20年前に遡る。ちょうどゲームが開発され、盛んになった時代だ。それと同時にこのゲーム世界が出来た。」


「そうですね。私ももうそこの時点でイルという名前でこのゲーム世界の女神をしていますからね。」


「そして、今にでも語り継がれる伝説のゲームがあった。伝説のゲームと言われた理由はこうだ、そのゲームにはある人しかゲット出来ない伝説の剣があったとか、その剣は、ステータス的にも強く、何に関しても最強の剣だった。今ドキのゲームの武器にも、強い武器は沢山あるが、それでもその伝説の剣は勝っていた。そのゲームの創設者は『無限に続く史上最強の剣』という意味でその剣を『無限の剣』と名付けた。…これが無限の剣に関する情報。」


謎の少女は頭の中にある無限の剣に関しての情報を全部話した。


「そうでしたか…んでその主が、アキと?。」


「はい。」


「そう言えば名前を聞いていませんでしたね、私はイル。このゲーム世界の女神をやっています。」


「私は…ニア。」


「ニアさんですか。そしてどうしてニアさんはこの監獄で何をしてるんですか?。」


「私はですね、ずっとここで捕えられてたんです。」


「それは可哀想に……。」


「それで何がここを抜けれるきっかけが欲しかったんです。んで私は、伝説の剣、無限の剣の存在を知り、所持している人間まで知ってしまった。だから助けて貰おうと思って貴方達の前に霊として現れました。」


「ここを管理しているのは誰なんですか?。」


「それは…『アイズ』とかいう…なんか…集団だった様な…。」


ニアは次々と話していく。


「『アイズ』!?こんな事まで…。」


「とにかく私を助けて下さい!!。」








「うおりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!。」








 突然響いたその声は、アキの声だった。天井を貫通して来たらしい。


「アキっ!!。」


「これが無限の剣の主…。」


「今すぐ上へ行こう!!。」


こうしてアキ達は元の世界に戻り、休んだ。


「どうしてあそこが分かったんですか?。」


「それは…キルが…。」


キルの方を見ると五真に寝そべって寝ていた。


「頑張ったんですね…ありがとう…。」


「そして、女神さん、この子はこの前の子ですか?。」


「はいっ!。ニアと申します!!!。」


無限の剣の主、アキに向かってとても明るい声で話しかけたニア、イルは、『イメージと違う…』という驚きの表情を見せていた。






______囚われの怪物______






あとがき
ども、月神です。ネタがどうしても思いつきませんでした!!すいやせんっ!!最近ちょっと不幸な事の連発だったので…
今回はニアという新キャラが出現しました!!
そしてこの第六話、なんかいつものなら2000文字ぐらい書いてるんですけど…なんか今回だけ3000文字以上書いちゃってましたw
ではまた次の第七話で!!

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