脳内電脳ゲイム

月神

第三話 魔法、展開します。

 新キャラ達を集めたアキとイルは、また、赤く染まった月の下、休憩を取っていた。何となく人数が合わないように思えるが、仕方がない。先程来たRPGの世界でアキのゲーム上のキャラから貰ったのは、ほとんど強いキャラがかぶった物。この三人は、あのゲーム上では誰しもが使ってる強いキャラなのだ。実際アキもそのキャラを使っている。


「それで、キャラが集まったのですけどどうするつもりなんですか?。」


興味深々で問いかけて来るイルに、アキは覚めた顔で、


「そんなの、レベル上げに決まってるじゃないですか。」


といった。ゲームでは当たり前の事を理解していなかったイルは、アキに、


「ゲームにおいてレベル上げは基本中の基本中ですよ?…もしかして…分からない…ですか?…。」


と、またまた遠目から"馬鹿"を言ったアキは早速、この世界でのレベルを上げる方法を探していた。何もない世界だが、何かしらレベルを上げられるじゃないかとそう思ったのだ。


 それからずっとレベル上げの方法を探していたアキは、とうとう諦めモードだった。そもそもこの世界は支配されているし、戦うキャラが居ないので、何も出来ないのだ。


「どう…すれば…。」


「…お困りのようですわね。」


そこに現れたのは黒いドレスが特徴的な金髪の女性だった。あまりにも初対面にしては鼻につく言い方だが、その見た目からしたらしょうがないのだろう。


「…今更、どうして現れたのですか、キル。」


「あら、キルは姉様を心配して来たのですわよ、それとも姉様、キルは姉様の妹じゃないのですか?。」


突然始まったこの空気について行けないアキとるると五真と奈瑠は、頭にクエスチョンマークが浮かんでいた。アキの頭の中の電子機械にもクエスチョンマークが写っていた。


「女神さん、一体何ですか?…。」


「まさか…世界一可愛いるるより可愛い子が居たなんて…屈辱…。」


「るる…いいから。」


「はぁい…。」


「じっ…実はですね…。」


「キルからお話致しますわ、キルとイルは兄弟なのですわ。」


イルには兄弟が居た事実、アキ達はびっくりした。


「で、キルさんは、何をしに来たのですか?。」


「キルは、姉様について行こうと仰っているのですわ。」


「とんでもない!キルに危ない事をさせたくないのです!。」


「キルは、姉様と共に行く事を断られた後、暗黒魔法を練習致しましたわ。どうしても無理と言うならば…。


キルと手合わせ願いますわ。」


突然の手合わせ、アキ達は黙って見てるしか無かった。どうしてか、それは、イルと手合わせがしたいと告げたキルの目は、真っ直ぐで、イルと手合わせがしたいという信念を何を言われても貫き通す。そういう様な目だった。


「傷つけたく無いのだけれど…しょうがないですね…キル、手合わせを許可しましょう。」


 何分か経ち、イルとキルは手合わせの準備が出来た。二人共、本気のようで、


「キル。本気で来なさい。私は、ゲームの女神として、戦いは本気でやりますよ。」


「ええ、キルもそのつもりですわ。」


そして、魔法の勝負が始まった。イルが天界魔法、キルが暗黒魔法だ。


「はあああぁぁぁああっ!。」


ガッッツツツツッッシャン!


大きな音と共に、光を放った手を出し合った。


「なっなんなんだ…女神さんとキルさんは…。…でも…キルさん…結構…いけるかも…。」


「キル!あなたの暗黒魔法はそれくらいですか?。そんなんじゃゲームの女神である私を振り向かせるのは到底不可能ですよ!。」


「ぐっ……姉様。キルは決めたのですわ。絶対にこの勝負に勝ち、姉様と一緒に行くのですわ!。」


そして本気の戦いの末、イルとキルはいまだに決着が着かず、アキ達も見飽きていた。


 そして、だ。


「ぐっあああああああぁぁぁぁぁああああっああっ。」


キルはイルの強力な天界魔法により、苦しい悲鳴と共に倒れ込んだ。


「たっ…倒れ…た…。」


「大丈夫です。キルの事はお気になさらず。」


「ねえ………さ…………ま……っ。」


すると、キルは起き上がった。よくみて見るとキルの傷が治っている。イルは回復魔法をキルにかけたのだろう。


「これで思い知ったでしょう。キル、あなたはまだ早いのです。大人しく城へ帰って下さい!。」


と言われ、自分の無力さに気づいたキルは、自分の住む城へと戻る事にした。いざ、帰ろうとすると、


「キルさん!。」


アキに呼び止められたのだ。


「何ですの?キルにはあなた達と一緒に行くという資格がないのですわよ?どうして呼び止めるのです?。」


「キルさんが気に入ったからです。」


「アキ、どうしてですか?。」


「キルさんのその暗黒魔法、早いし…なんか…こう…親近感が湧くんですよ。」


キルはアキの方を見た。一瞬『どうして…。』という目をしていたが、すぐに直った。


「俺が、許します。キルさん、どうか俺達と一緒に『アイズ』を倒しましょう。」


「ちょっ待って下さい!!。アキっ。」


イルが間に割り込むように話しかけた。だが、今のアキにはそんなのは無視だ。


「いっ…行きましょうですわっ!アキさんっ!。」


「ありがとうございます、キルさん。良いですよね?女神さん?。」


「…っ…こうなったのも仕方がありません…手合わせは私が勝利しましたが、付いていくことを許可しましょう…っ…。」


イルは悔しそうに言った。


 こうして、キルが加わり、仲間の数も合うようになった…。




______魔法、展開します。______






あとがき
月神です!更新遅れました…(汗)
テストがあってですね…。。。大変でした…まああらかじめ不定期更新とは言ったので大丈夫だろうとは思うのですが。。。来月もテストがあるので更新遅れるかもです。すみません…。
次の話も宜しくお願いします!

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