学園のアイドルと同居することになりましたが・・・

seabolt

すれ違い


―――退院の日

今日、私は退院した。めぐみ君が来てくれることを期待していたけど、空振りに終わったんだけど、仕方がない。私はそれを望んで入院したわけではないのだから、さてと、紗耶香が迎えに来てくれて、身の回りの荷物を持ってくれた。

「めぐみ君に退院のこと知らせた?」

「知らせていない」

そんなたわいもない話をしながら、病院を出て近くのバス停に向かっていると目の前を救急車が通り過ぎて行った。病院に入院していると毎日のように救急車が入ってくるから、見慣れた光景だった。そうこうしているうちに目の前にバスが止まって、私たちは家路についたのだった。

「めぐみ君どうだった?」

「いつも通りだったよ」

「そう…」

妹の言葉にすこしがっかり・・・もうちょっと気にかけてくれてもいいようなものを…

「どうしたの?」

「別に…」

「けど、毎日、お姉ちゃんの様子を聞いてきてたよ」

「そうなの…」

何気なくやり過ごしているけど、心の中ではガッツポーズ

―――そうじゃないと、本当は直ぐにお見舞いに来てくれないと…

などと、妄想を膨らませていると紗耶香が現実に引き戻してくれた。

「お姉ちゃん…大丈夫?」

「あ…大丈夫よ」

「ふーん」





家に着くと誰もいない。めぐみ君もペイペイちゃんもお母さんも亮さんも…あとの二人は日ごろからいないからいいけど、不安がよぎる

まさか…

ペイペイちゃんがめぐみ君を連れてどこかでデートしているなんてことないわよね。焦りが募っていくと

「ただいま~」

玄関からペイペイちゃんの声がした。

「おかえり…」

私を見た彼女は軽く私をハグした。

「よかった~元気になったんだ」

「ええ…この通り…」

「これで、正々堂々と勝負できるわね。ところでめぐみ君は?」

「あなたと一緒じゃなかったの?」

「私と?今日はちょっと用事があって…」

めぐみ君がいない。私たちは、彼の部屋である和室コーナーへ向かった。

めぐみ君がいない…

ペイペイちゃんも知らないときている。そして、私たちはあることに気付いた。里奈がちょっかいを出しているのではないかと…慌てて里奈に連絡を取ると後ろでカラオケの音が流れていた。

「めぐみ君?学校で別れたわよ」

「そう…」

横からは彼女の友達たちの声がしている。ということは、めぐみ君はそんなところにはいくはずもない。(勝手にそう思っているけど)

「めぐみ君見なかった?」

「きてないよーー」

後ろのみんなが声をそろえて言っていた。そこまでして里奈は嘘はつかない。ということは、めぐみ君はどこへ行ったんだろう?

するとその時だった。

今時珍しい固定電話が鳴り響いた。

「もしもし…」

「立原恵さんのお宅ですか」

「はい…」

「○×病院の者です。実は、立原恵さんが事故にあわれまして…」

「はい?」

電話の主から言われた内容が理解できなかった。



コメント

  • 月夜雷都

    次の話しが気になってしまう!
    次も楽しみにしています!

    0
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