学園のアイドルと同居することになりましたが・・・

seabolt

事なかれ主義

翌日、俺達は先生に呼び出しを受けて、説教を受けるのかと思ったらとんでもない言葉を言いだしたものだから驚いた。

「「はぁ?」」

「だから、このまま夫婦ということにしておいて、やり過ごしてくれないか?」

あまりにひどい提案に俺たちは呆れるしかなかった。

「どうして?」

俺が聞きなおすと

「これ以上、騒ぎを大きくしないでほしいんだ……」

「先生!!俺達、結婚したわけでは……」

「だから!!頼む!!このまま…結婚していることにしてくれって言ってんだ!!俺だって、嫌なんだ!!しかし、お前たちが反論すると、この騒ぎはさらに大きくなるんだ!!だから、このとおり」

「だったら…」

「別に立原たちが悪いことをしたわけじゃないんだから、堂々としていたらいいんだ」

「でも、どうして先生たちは違うといわないのですか?」

すると教頭先生と校長先生がやって来て

「これは極めて高度な政治的な判断だ」

言っている意味が分からない。なぜ?ここで政治的な判断になるんだ?俺が睨んでいると教頭はイラついていたのか

「なんだ!!立原、文句あるか?」

3人の先生に囲まれては文句は言える状況でもない。すると、沙織さんの口から驚きの言葉が出てきた。

「わかりました。けど、私たちの学校生活に口出しはしないでくださいね」

「「「もちろん!!!」」」

「しかし、騒ぎが大きくなるとこれ以上学校としては、何か対策をうたないといけませんので、そことところをよーく肝に銘じで置いてくださいんね」

「わかりました」

先生の最後の一言が気になったんだけど、廊下に出たら沙織さんは無言のまま歩き始めた。俺が質問するのを拒否しているかのように

「沙織さん」

俺の呼びかけを無視して、ずんずんと歩いて行った。




教室に戻ると里奈さんと亜里沙さん、佐久間と本田を中心にかなりのクラスメートたちが残っていた。

「さおりん…どうだった?」

「学校側も認めたわ」

そう言うと沙織さんはみんなに向かってVサインをしている。どういうこと?と思っている俺をよそに、周囲の連中から歓声が沸き上がった。

うぉおおおおおお!!!

「やったね!!さおりん!!」

「おめでとう!!」

祝福の嵐が俺たちを待ち受けていた。

ちょっと待て?ということは、一体…





あとで知ったことなんだけど、沙織さんは、この日、覚悟を決めたようだった。というより前から決めていた。それを決定づけたのは、俺と一緒にお墓参りに行った時、お墓の前で家族を大事することを誓っていて、これまでの行動からそうすること分かっただった。だから、時々、沙織さんは俺を試していたのだった。そして、自分のことを大事にしてくれると判断した彼女は、その寂しさを紛らわすために、学校での偽装夫婦の道を選んだのだった。










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