私の大切な人です

話は少し遡って、休み時間に入って里奈が沙織に話を聞き出そうとしていたのだった。

「さおりん・・・立原君のこと好きなんだ」

「りーな・・好きとは言ってない。大切な人と言っただけよ」

沙織にとっては、大切な人に違いない。しかし、自分の行動は、確実に立原君が恋人ですと宣言しているとみんなが勘違いしていることにすぐに気が付いた。

「でも、さおりん・・・この間、思いっきり振っといて、そのあと激怒げきおこだったもんね」

「だから・・・」

りーなにも完全に勘違いされている。一緒の家に住んでいて、しかも、彼が義理の息子だなんて言えるはずもない。逆に付き合っていることにした方が現実を隠すことが出来るかも、そんな安易な発想が頭の片隅にあったのは、まちがいない。少し考えていると

「ほらほら・・・やっぱ・・好きなんしょ。でないとあんなに激怒げきおこしないって」

「・・・」

どうしようか？と黙ってしまった瞬間

「あ・・沈黙？ってことは認めたわね。すべての謎は解けた。ずばりあなた達は付き合っている」

りーなのコナン病がはじまった・・・

「でも？どうして、私に相談なかったの？私達親友よね？」

今度は、不安症が出てきた

「あ・・・だから・・まだ・・・」

「そうなの！！まだ。告ってないの？ってこの間振ったのに・・・でも・・そうよね・・」

ぶつぶつと何やら考えている様子をりーなが見せているその時だった。堀川が沙織の前に走ってきた。二度と現れないでと言ったはずなのになぜ？と彼女が思っていると思わぬ言葉が飛び出してきた。

「立原が・・立原が・・」

立原の名前を聞いて思わず同様する沙織

「た・・立原君がどうしたの？」

「クラスメートに囲まれている。多分、水樹のことを聞こうとしてるにちがいない」

思わず沙織は立ち上がり、気が付いたら走り出していた。

「堀川君、ありがとう！！」

すると沙織の姿を見送った里奈は

「愛・・・ってすごいわね」

そう呟いた。

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