錬金魔王~虐げられし者達を救うため世界を征服する~

キユラ

第1話~悲劇~

 ある集落で一人の子が生まれた。

 母親は妖魔・・・父親は人間・・・

 俗に言う‘‘ハーフ’’である・・・

 その集落はハーフ、またはその家族が隠れ住む計数十名の集落だ。

 その集落では質素な生活で有りながらも、皆幸せに暮らしていた・・・







 だがある日、見つかってしまった・・・

 集落にいる人々も自らの大切な者を守る為に抵抗を試みた・・・

 魔術が飛び交い、剣と剣とがぶつかり合い、怒号と悲鳴が響き渡る・・・

 そんな中、妖魔と人間は自らの生まれて間もない生後半年にも満たない子を家の地下室へと子を隠すことに決めた・・・

 そこは、書庫兼倉庫であった。魔術、武術、歴史など、様々な素材、拾ったもの、買ったものまたは自ら書いた、採ったものが置いてある。

 そこに我が子を置いた・・・最後にして最大の愛情を持って別れを告げ・・・自らの思いを音の魔石に記録し添えた・・・

 父親たる人間は魔術師であった。彼は魔術の制御に優れ、人間だけでなく、妖精やエルフ、魔人をも上回る圧倒的な頭脳を持っていた・・・しかし、圧倒的に魔力量が少なかった・・・

 妖魔である母親は武術に才があった。しかし、筋力が他の妖魔に比べ圧倒的に足りなかった・・・だが、魔力量だけは他に随時を許さない程高く、それで筋力のなさを補っていた・・・

 そこで、母親たる妖魔の持つ膨大な魔力を使い自らの人生のなかで培った経験を活かし、思いつく限りの魔術を使った・・・

 隠蔽、気配遮断、魔力遮断、結界、擬態、気薄etc・・・愛する我が子を守る為、二人は全ての魔力を注ぎ込んだ・・・










 二人は魔力が枯渇した状態で見つかり、拘束され尋問を受けた・・・







 あの膨大な魔力を使い何をしていたのか・・・







 爪を剥がされ、骨を砕かれ、肉を削がれ、焼かれても決して二人は口を割らなかった・・・







 そして二人は最後まで我が子を思い・・・








 息絶えた・・・



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