エグザイル・ウォー 盈月の薔薇

ザクキャノン

ヤマトの国を地獄に染めよ!

      福岡県 芦屋市
    女工作員リ・ペンミは航空自衛隊の佐官に近づいた。佐官はちょうど課業を終え、1人で居酒屋の町を歩いていた。
   「そこの人、航空自衛隊の隊員かしら?」
   リ・ペンミは声をかけた。
   リ・ペンミは清楚系で顔も日本人顏で美しくスタイルもモデル並みに上出来だった。それに日本語も日本人と同等の言語力で周りから見れば街中で見かけるいいお姉さんの姿そのものである。しかし裏の顔は日本に浸透した高句麗人民連邦の女スパイでテコンドー有段者で実戦となれば立派な殺人マシーンになったも同然。持ち前の美貌で身近な金持ちから金銭を巻き上げ何割かを諜報活動の資金へ当てていた。警察官僚の情報もハニートラップを使って盗み出し彼らの悪事を突き止めて弱味を握り脅迫して裏金と情報を得ていた。そして人民武力部の偵察総局を伝って航空自衛隊佐官クラスを買収して行った。
   芦屋基地や築城基地付近の土地は半島人や中国人に買収されていき一部の質屋や居酒屋も高句麗の工作員潜伏中継基地になっている。
   
    高句麗人民連邦 
    高句麗人民連邦軍の科学技術部隊はEMP(電磁パルス)兵器を準備して日本の主要都市を麻痺させて攻め込む準備を開始した。
    兵士の武装は98式自動小銃と呼ばれるソ連製AK74のコピー生産仕様で口径は5.45ミリで一番最初のAK47より口径が縮小されている。半島統一されてから旧韓国国産のK2自動小銃にアメリカ製のM4A1やM16シリーズを鹵獲して使用している部隊も編成されていた。
   海軍は韓国軍のフリゲート艦やイージス艦、空母を再利用しており揚陸艦を多数保有している。
   
   高句麗捕虜収容所
   捕虜収容所内には統一前の紛争で人質に取られていたアメリカ兵と旧韓国軍の兵士が収監されていた。この収容所はほとんどがアメリカ人で全員、デジタル迷彩の戦闘服や海軍の制服を着ている。
   捕虜のアメリカ兵達は国際的な面を考慮して生活は保障されていた。
   「アメリカ政府は俺たちを助けてくれるのかな?」
   フライトスーツ着たアメリカ空軍パイロットは恋人の写真を片手に見つめながら問いただした。
   「さすがに死ぬまでここにおらされるのはさすがにないだろ。奴に戦争ふっかけた訳じゃないし」
   制服姿のアメリカ兵はパイロットを励ました。
   広い面積に周りは鉄条網が張り巡らされていて外周には茶褐色の軍服を着た兵士がAK47をいつでも撃てる状態にして警備していた。入口のゲートは車両が出入りするため設置されておりそこにも警備兵が受付などをしていた。収容所内の捕虜に与えられる食事は豚キムチや牛肉ステーキなどのメニューが出され基本的に野菜が多めになっている。捕虜のアメリカ兵を餓死させて国際世論から指摘されないようにするためであった。党委員長の鋼将軍も世界を敵に回すほど頭脳は馬鹿ではない。おかげさまで食料不足問題も見直され一部、同じ社会主義国では一目置かれるようになってきていた。
   ヨーロッパのNATO加盟国も軍資金滞納が問題になっている上、親露派テロ組織や武装勢力との戦いで高句麗を相手にしている暇はない。アメリカ政府は高句麗問題もそうだが石油が取れる中東にダイヤなどの原石がとれるアフリカ大陸に目が引きつけられていて政治家も頭を抱えていた。
   高句麗国内は戒厳令により軍隊が巡回しており居酒屋やクラブ付近でも拳銃装備の憲兵が違法行為を働くヤクザ達をしらみ潰しに取り締まっていた。
    
   北九州市 門司区
   一眼レフのカメラを持った男ともう1人の男は関門橋と海峡の写真を取り始めた。男は高句麗の情報機関の工作員で九州を攻め落とす際に万が一の事が起こった際に関門橋を爆破して本州と九州をつなぐ経路を断つ事も視野に入れていた。
   福岡県内で暴動が起こりつつあることに乗じて暴動に対する治安を見直さない政府に市民の怒りが奮起してさらに暴動が起き悪循環になっていった。必ずハロウィンでトラブルが起きる渋谷や六本木や派手な輩が多いと比喩される大阪、米軍反対を叫ぶ民衆が多いことで問題になっている沖縄でも暴動が伝染していった。関門海峡を含む門司区内は毎年日本人、外国人問わず観光客が多く海峡ドラマシップをはじめとして関門海峡で獲れる海鮮物料理や昔からの名物である焼きカレーが最も評判がよく人気を上回っている。しかし国際化が進んでいることから税関や海上保安部の警備管理は徹底しており表立って侵入するのは難関であり不本意に潜入を試みれば任務失敗につながる。
   関門海峡の水平線には海上保安部の巡視船が巡回しており過去にも韓国マフィアと武器取引していた暴力団が摘発されて逮捕されている。
   高句麗工作員きっての天才ハッカーであるポー・スンウェイは北九州市管轄の警察官僚の個人情報システムにハッキングして情報収集を開始した。
   「占めた!これぞ、待ってたのは!」
    ニヤニヤしながら侵入データを眺めた。
    ハックしたデータには過去の表に出てない悪事や愛人関係、地元暴力団との繋がりを調べ上げ家族構成と愛人の取り巻きや家族構成を調べ上げあげて統一後、国家情報員から国家情報調査部に転送した。
   早速、手を引き上げようとしたところ情報調査部からメッセージが来た。
   「同志よ!よくやった!任務完了だ!」
   というメッセージだった。
   「おまわりの大将さん!あんたには悪いが人民のためにこれは手柄をもらってくよ。」
   警察官僚を小馬鹿にしたように小言を言ってノートパソコンをしまってその場を離脱した。
   ノートパソコンは旧韓国製で工作員が不正に流した代物で日本に潜入している連中もそれらを利用していた。実際に北朝鮮時代から健在だったサイバーネット部隊も運用を始めている。
   共産系の日上り新聞社にも高句麗人民連邦軍通信を傍受してやり取りできる電話がとある場所で発見された事件もあり今現在でも見えぬところでやり取りが続いている。
    公的には日本と高句麗は敵対している反面、裏では意思の疎通が通じ合っている部分がある。それは左翼と社会主義共産主義の意思である。左翼系団体も武器を仕入れるために高句麗の工作員に多額の金銭を流し革命に備えて日本政府と戦争する準備も着々と行われていた。
   
   福岡県 宗像市
   カン・ヴィンスは日本赤軍の思想の下に動く左翼系の人間を集めて宗像大社から離れている山間部に連れて行き背乗りで連絡員が乗っ取った民家に行き武器を取り出した。木箱にはダイナマイトやTNT爆薬、手榴弾が入っており迷彩のアウトドアバッグから東南アジアからの密造銃や3Dプリンター銃、アメリカ製のM16アサルトライフルを取り出した。M16は旧式のA1と呼ばれるベトナム戦争の時に米軍が使用していたタイプで日本人を含めたアジア人には少し大きい銃器である。そんな武器でも取り扱えるようにするのが北朝鮮時代からのやり方だった。いつまでも祖国のAK47が助けてくれるかというとそうではない。弾薬がなくなり使い物にならなくなれば仮想敵が持ってるM16を鹵獲して扱う。それが本当の戦のスタイルだった。
    「米帝のM16A1か。随分の年代物だが」
   左翼系団体の構成員が小言を言った。
   「どんな武器を使ってでも勝つこと意義がある。ベトコンのゲリラも旧式の武器で米帝を退けたんだ。」
   カン・ヴィンスは小言を言う構成員に戦の定義を口にした。
   「弾は徹甲弾か!しかも5.56ミリ弾。これならフル武装のSATを相手にしても怖いもの無しだな。」
   ガンマニアの構成員は目をキラキラさせていて喜んでいる。
   「それとあんたらもご存知の通りの3Dプリンター銃。こいつはその場危機に応じてここぞというところで使え。1発か2発で限界だから考えて使え。」
   カン・ヴィンスは1人ずつに銃器の取り扱いのマニュアルを渡して念押しに伝達をした。
   構成員のほとんどは茶褐色の作業服やミリタリー服を着ておりそのもの一着であるならどこぞかの作業員としか見えず万が一に警察とすれ違っても疑われることはない。基本は1人か2人ペアで行動をするようにして怪しまれないように活動することも施した。
    カン・ヴィンスは「注目!」と叫んで構成員メンバーを注目させた。
   「同志達よ。来るべきのために我々は何年も待ったのだ。我が人民だけではなくあんたらもさぞかし同じぐらい辛くもどかしくひもじい思いをしてきた事だろう。米帝の手先と自己満足な世界に制裁を与えよ!ヤマトの国を地獄に染めよ!」  
   カン・ヴィンスは目を鋭くして誓いの言葉を唱えた。
   「後に続きます!」
   「よろしくお願いします!」
   「お供します!祖国と人民のために!」
    構成員達は一例をしてカン・ヴィンスに一言伝え始める。
   宗像市は海沿いまであり海水浴場があるため古賀市に続いて工作員の上陸は白昼には出来ない。海水浴に来た住民に通報されては大問題になりかねないからだった。福岡寄りの地域より比較的田舎町が多く山間部を辿っていけば隠密に長距離を移動する事が出来る。
   カン・ヴィンスが宗像市に足を運んだのは北九州に直結出来る福岡市にも勢力を拡大する事を視野に入れた軍部の命令により共産主義思想に染まった連中を集めて潜伏する事になったのだった。
    福岡市内でも同志達が今日も明日も戦っている。仲間が集まれば巨大な組織も潰す事が出来る。戦いは団結力に限る。

   福岡県 東区 新宮・和白近郊
   深夜になり会社帰りのサラリーマンの姿も少なくなってきた頃になったこの時間帯ではまさしく夜と言える静けさが際立っていた。
   三苫浜地域の緑で茂った山近くの海岸に難破船を座礁した。船から降りた男達は緑色の迷彩服を着ており人数はおおよそ20人はいた。船の大きさからしてみれば窮屈なぐらいだった。ボックスから色あせた迷彩ベストと特殊部隊向けの消音器付きのAK74SUと呼ばれる自動小銃を取り出して装備して仲間同士でチェックを始めた。頭はカーキ色のニット帽を被っており顔は左上から斜めに線を書くように緑と黒のドーランを塗って海沿いで山籠りを始めた。
   三苫浜に上陸した特殊部隊の指揮官はホン・ギョンホ。階級は中佐でデスクワークより現場で戦う事を好む軍人の鏡とも言える。北九州に潜入していたジョン中佐とは旧知の仲であり特殊8軍団時代の同期でもあった。
   防水ポーチから地図を開いた。
   「次の日はここ、三苫浜中央公園に迎えのバンが来るからその車両に乗車して千早にある機動隊を襲撃する。質問は?」
   ホン・ギョンホ中佐は説明の後に隊員に質問がないか尋ねた。
   「無し!」
   隊員は一斉に答えて睡眠の準備をして仮眠に入る。
   翌朝、隊員は身支度を始めてホン中佐の後に続き迎えのバンに乗り込んだ。予定通り移動を始めて機動隊前を走行して門に入って行った。出入り口付近に近づいて特殊部隊員は降りていき警備中の警察官をホン中佐がM9ハンドガンで殺害して事務員を部下が射殺した。
    監視カメラの映像を見た警察官が複数で駆けつけて銃撃戦になり巧みなホン中佐部隊の戦術により殲滅され訓練帰りの機動隊員が立ち向かうも肉弾戦であっけなく制圧されてしまった。
   監視室に2人の兵士が突入して銃撃して制圧をして無線で完了の報告をする。階段から降りてくる機動隊員や警官を拳銃で射殺して階段に休憩で集まっている隊員に向かって手榴弾を転がして爆殺して生き残った隊員を人質に取った。
   
   福岡駐屯地
   駐屯地の門を警備している警衛隊が業者や出勤に遅れてくる営外生活の自衛官を立ち入り検査して出入管理を行っている。工作員は観察できるポイントと侵入できるポイントを探っていた。警衛隊勤務で正門を立哨している自衛隊2年目か3年目ぐらいの陸士がぼんやりしながら立っており車や人が来ない間は暇そうにしていた。詰所では雑談を楽しんでいる警衛の司令が3曹とツーリングの話をしておりモニター監視と詰所内から目視して出入者に敬礼する陸士の隊員は今週の休日何するかの話をしていた。
   「志賀島あたりとか釣りの穴場らしいぞ。」
   「あそこは人が少なければ良いんですけどね。」
   司令と3曹が楽しそうに会話していた。
   「俺は彼女とデートだぜい。しかもCAの女の子で同い年!」
   「マジか!でも俺は近くの徳信会病院のナースと合コンするよ。」
    詰所内の陸士は今週のデートと合コン計画の話で盛り上がっている最中に正門前に黒塗りのバンが停まって扉が開くと同時に黒い服を着て武装した男達が迅速に降りて消音器付きのサブマシンガンで立哨している隊員を前蹴りで倒して射ち殺した後、詰所に他の男達が銃口を向けながら近づいた。男は黒い服に黒い帽子を被っており「動くな」と言って銃口を突きつけた。
    CAの彼女とデートすることにのろけていた陸士の自衛官がボールペンを持って隙を見て襲おうと企んでいると入って来た男はギロっと視線をそっちに移してハンドガンで自衛官の膝を撃った。
    自衛官はうずくまり断末魔の叫びをあげていた。
    バンはいたるところから現れて同じ服装をしたような男達が降りて来て駐屯地に入っていき司令部を含めた各施設に移動を開始した。
    各施設に移動してすれ違いざまに職員や自衛官、技官を射殺していき施設内で業務をしている自衛官や職員、事務官を人質にして会議室や教場に押し込んだ。
    県警のパトカーが正門付近に停めて警官が降りると待機中の武装した男が拳銃を発砲して脚と首を狙い撃ちして射殺した。武装集団の1人が警官のホルスターから拳銃とポーチから予備弾薬を抜き取り手持ちのバッグに入れた。
   正門の門にクレイモア地雷とピンを使った即席爆弾を設置して警察や他駐屯地の自衛隊が入ってこれないように要塞化させている。
    当直司令室を占拠した武装集団は外部とつながる電話線を破壊して逃げ出そうとする事務官や保険外交員を拳銃で撃ち殺す。
   各隊舎の屋上には携行式ミサイルであるスティンガーを持った兵士が立っており警察や自衛隊のヘリをいつでも攻撃できる状態に臨戦準備をして行っていた。

   高句麗人民連邦 ソウル
   統一後のソウルには新生宇宙軍が設立されそこにはスペースシャトルや打ち上げ用のロケットに人工衛星まで揃っていた。かつての韓国製技術も取り入れ日本のJAXAから盗み出した技術も混同させて宇宙開発を行なっており月面付近には軍事用の代物まで飛ばされている。
    高句麗宇宙軍が極秘に開発しているパルス粒子砲と呼ばれる地球にむけて発射することにより対象の国の都市を電磁パルスによって麻痺させる兵器が採用されて始めていた。一時期は核ミサイルによって高高度核爆発による電磁パルスを用いるかサージ電流で攻略するか会議が行われていたが宇宙からインフラ攻撃をすることによる効果をダメ元で確かめてみる必要性を直視して宇宙開発中に研究され韓国地図に載っていなかった軍事基地を実験台にして試してみたところ、実際に停電や家電製品の故障を引き起こすことが出来て成功したも同然だった。
   敵国に潜入している工作員はほとんど2人バディか単独で銃火器もレーダーサイトやドットサイトなど機器で扱うパーツは使わず携帯電話や無線機も使えなくなって連絡が取り合えない状態でも任務がこなせるように特殊訓練を受けておりもはや文明に囚われない戦いというものを熟知している要員がほとんどであった。
   ソウルの街並みは居酒屋やレストランなどで賑わってはいるが裏では秘密警察による違法営業や闇市も取り締まられており組織暴力団などが粛清されていった。
   罪状は社会反逆罪という罪が成立して逮捕された組員などは平壌にある強制収容所に収監された後、土木作業を強いられたり軍事施設の道路整備などに駆り出されて指示に従わない者はその場で射殺されるか撲殺されている。
   高句麗人民連邦軍は水陸両用車両や垂直着陸式の航空機も取り入れてアメリカのオスプレイをライバル視した軍事競争を始めフリゲート艦の艦数も1700隻に増加させているためほとんどの高句麗領海は軍艦だらけの海になっていた。とある国はその海を「人食いザメも近づけない海」と呼ぶようにして貿易船以外立ち入らせないようにしていた。
    過去にロシアの海賊が侵入したことにより高句麗海軍に殺された事件もあり海さえ要塞化してるも同然だった。
   高句麗人民連邦に改名されてからは統一後の国を見に観光客が訪れるがほとんどは旧ソ連圏のヨーロッパ人が多く西と東の武器を使いこなす軍隊や警察、ロシア寄りの経済発展に興味を示す人が訪問することが多い。中にはスパイ容疑で逮捕された朝鮮系アメリカ人やブルガリア人も多くおり何ヶ月も拘束されてしまうという事件が起こって国際問題になったものの根拠となる証拠もなく結果的には釈放されたが敵国のアメリカや日本と文化共有をして逮捕された人々は未だに増えており国連からも目をつけられている。
   
   釜山 チンへ
   かつてアメリカ海軍の基地があったチンへ基地には出撃態勢を取った年代物の貿易船が停泊しており船内には米軍からの鹵獲車両と旧韓国軍の軍用トラックやジープが数えたくないほど積み込まれており中には花崗岩迷彩服を着た高句麗兵達がくつろいでいた。
    高句麗兵は装具の確認をして弾の量を確認して自動小銃に装填を始めた。装備は旧韓国製のK2自動小銃で口径は米軍のM4A1や自衛隊の89式小銃と同じで弾薬も同等の物を扱っている。
   「日本にいる人民同志もフクオカの自衛隊を袋叩きにしてるんだからそんな奴らに出来たことが俺たちに出来ないはずがない。」
   中年の曹長はタバコをふかしながら同僚にキッパリと言った。
   「世界的な軍事力を誇るとはいえ所詮、奴らは戦争の素人であり愚民どもだ。俺たちを笑うのも今のうちさ。」
   同僚であり同じ曹長の軍人が笑いを浮かべながらナイフをハンカチで拭いている。
   甲板では血の気の多い兵士が徒手格闘の訓練をしており早く戦争がしたいと言わんばかりの威勢の良さを保って四六時中鍛錬を続けていた。
    青瓦台通りでは高句麗人民連邦陸軍の装甲車や機動車が走行しており兵士達は出迎えようとする市民に敬礼をして通り過ぎ日本侵攻に出兵するために釜山に向かっていた。
   釜山にいる兵士達にも日本侵攻の招集がかかり家族と団欒を過ごしていた兵士、恋人と貴重なひと時を過ごしていた兵士全員が集められた。兵士が集まった広場には家族や友人、恋人達が着ており出征の見送りを始めた。
   「10分時間を与えてやる!愛する者達との時間を有意義に使い別れを惜しめ!」
   赤いベレー帽を被って茶色を中心とした迷彩服を着た士官と思わしき軍人が大声で言った。
   「心から愛してる」
   「必ず任務をやり遂げて男になってくる!」
   「生き延びたら結婚しよう!」
   若手の兵士達は家族や恋人に最後の言葉を告げて船に乗り込んだ。
   「お前らはこの場でなだれる時間があるのか!我が愛する祖国と家族、恋人のために英雄になるのだ!戦場は泣いて生き延びるほど甘くはないぞ!」
   赤ベレー帽の軍人は相変わらず怒鳴っていた。
   赤ベレー帽の威勢の良さはまるで戦士として模範的過ぎてごく普通の一兵士から見れば恐怖である。幾たびの戦場を渡ってきたスーパーソルジャーのようだった。
   
    日本  某所各地
  日本全国に浸透している工作員達は決起を起こし近隣住民の殺害や交番爆破、警察検問を襲撃して日本全土に牙を向け始めていた。
   AK47自動小銃で武装した工作員達と警察官達が渋滞している交差点で車を遮蔽物にして派手な銃撃戦を行なっていた。
    日本政府内では警察庁と警視庁が会議を始めて日本中に混乱を起こす工作員をどう退けるか提案をしあっていがみ合っていた。
    「福岡県警察の機動隊が奴らに倒されたんですぞ!他の県警からSATや銃器対策部隊を寄越せば良いだろうが!」
   警視総監は本性をあらわにして机を両手で叩いて怒鳴った。
   「こちらがSATを送る前に奴らは我々の動きを先読みしてる。ピンチをチャンスに変えるというやり方だ。平和ボケした我が国がもたらした結果だろう…」
   警察庁長官は落ち込んだように言って頭を抱えている。
   SATは日本警察のエリート特殊部隊で機動隊を中心に交番勤務の警官やパトロール警官から募集を募っており選抜基準は寛大な体力、忍耐力、精神力、戦闘力、判断力が求められ格好良さからの憧れで簡単に入れる部隊ではない。日本警察用語では特殊急襲部隊と呼ばれ過去のハイジャック、テロ、強盗事件をきっかけに創設された。モデルはドイツの国境警備隊や警察の特殊部隊であるGSG9で側から見れば日本SWATとも言われている。隊員のほとんどがFBIやドイツのGSG9、アメリカ警察のSWATで対テロの研修も受けており技能も警察では貴重な重宝物となる。そんな隊員を工作員達は先手を突いて撃退したのだ。いくらランボー並みの強さを誇る高句麗の特殊部隊出身とはいえどの次元でも日本警察も一般人も彼らの強さを甘く見ていた結果がこれだった。

   月面 高句麗人民連邦衛星
   高麗人民連邦宇宙軍はパルス粒子砲の準備をして日本の首都である東京に首都圏を標的に狙いを定めていた。衛星は極秘裏にスパイ衛星まで用意しており東京都民の生活の状況を調査をしており、いかに都民を困難に陥れるかが課題になった。
   
    日本某所 
   工作員達は各アジトに潜入してコンピュター等、IT技術を利用して日本国内の各インフラにハッキングを始めた。
   デジタル機器で動く防犯、防災設備、通信、パーソナル関係、水道、交通などの動きを妨害して混乱に陥れることで都民が混乱を起こし一般生活に支障が出るように行動を開始する。
   「高句麗人民連邦万歳!」
   工作員達は一斉に復唱した。
   様々な銃火器を手に取り、普段大人しくしていた仮面を剥ぎ取るかのように立ち上がり各都道府県の県民に牙を向け始めた。
    宇宙軍によるパルス粒子砲は首都圏に発射され、関東地方の電気は全て停電を起こし水道は止まり家電製品や医療機器の動きは止まった。
   
    東京
   歩行者天国と呼ばれる109あたりの交差点の信号を始めあらゆる交通信号が消えてしまい追突事故や衝突、人身事故が一斉に起こり都内はパニックになった。
    大通りの道路は渋滞を起こし交通警察や白バイ警官が車に乗っている運転手を落ち着かせるように安全を確保している。
    「只今より大規模停電による信号が切れてしまったため大変混雑しております。」
   交通機動隊の隊員が子連れの乗用車のドアに向かって言った。
   交通機動隊員のすぐ前を大型のマニュアル車が突進してきて交通機動隊員は突き飛ばされた。  
    大型マニュアル車からは武装した男たちが降りてきて周囲にいる警察官を射殺をし始めてパルス粒子砲の影響で動かなくなったオートマチック車などからは大量のドライバー達が降りて逃げ始めて周囲はパニックに陥り道路は混沌とした地獄絵図に変わってしまい現地警察も収拾を掴むことができずにひたすら工作員達の派手な乱射に巻き込まれて隊員の多くにも死者がで始めてしまった。
   
   
   

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