宇宙の星くず

春田 よぎり

38話目 傷の数だけ

人は
はたして本当に
人の気持ちを汲んだり
わかったりしているんだろうか
だって
顔色が悪いとか
ほとんどわからないし
声色とか
隠されたらわからない
カーテンの向こう
ベランダにたたずむ君を
僕はわからない
だって一緒じゃないもの
ひとつじゃないもの
なんて
言い訳かもしれない
けれど
先生が
相談していた僕の目を見て
「努力する人は、希望を語り
怠ける人は、不満を語る」
って言った
あの衝撃で
僕の感情は狂った
あれでこりた
欲しい言葉は
なかなか貰えないものだし
なのに
僕をひどく傷つける言葉は
軽く
ぽんと僕の手のひらに乗る
長い間人を見てきた人間さえ
僕の心臓のすくみを
見ることは叶わず
傷つけたことに
気付きもしない
君を知りたいと
解りたいと
思う上で
怖がって
ステージに立たない
僕がいる
漫画みたいに
苦しくて嬉しくて
一生懸命に生きられる人は
きっと
何も知らなくて
だから清い
卑屈で
卑怯な
僕のことを
想像もできない
清い君を
僕は信じてやれない
醜い僕を抱きしめてやれない
動けない
カーテンの向こうを
覗きもしない僕は
いつまで経っても
1人なんだろう
こんなの全部
全部たまたまならいいのに
もう
痛いのは嫌なのだ

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