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魔王に連れられ異世界転移〜魔神になった俺の敵は神と元カノ〜

龍鬼

悪意の邂逅

『けどまぁ、やけにあっさりと消えたな……。ま、その方が都合がいいが』

 恭兵を消滅させた龍は、その呆気なさに違和感を覚えながら呟く。

 相手は天使と転生者で、シンクロ率百パーセントの状態。そんな相手がこうもあっさりと消滅したのだから、疑問に思うのも無理はない。

『さてと、それじゃさっさとこいつ返しにいくか』

 そう言いながら龍は【魔力探査】を行う。魔力探査とは自身の魔力を円状に広げていき、それに触れた者の魔力を測るというもの。時雨の探査魔法と違うのは、かかった者が移動する様子も観測できるというところ。

 時雨の探査を音を使ったソナーとするなら、龍のはさしずめ海の中での水流感知と言ったところだろう。

 早速龍は自身の魔力を街全体へと展開する。すると即座に一般市民の魔力、それらより強い冒険者達の魔力、そしてそれを遥かに超える人間のものではない強大な魔力を見つける。

『でけぇ魔力だな、周りに弱った魔力も多数あるし、これが燈で間違いないだろ』

 燈の居場所を知った龍がそこに向かおうとした瞬間、燈とは別の巨大な魔力の存在に気付く。反応は二つ、人間の魔力でありながらその大きさは上級悪魔に引けを取らない程のものだった。

 本来ならば無視して燈の所へ向かい、さっさと退散するのが正しい選択なのだろう。だが龍はなぜかその魔力に胸がざわつき、それの正体を知りたいと思ってしまう。

 タイムリミットが迫っている現状、正体を確かめに行く選択は間違いだ。それを頭では理解しているのに胸の奥ではその正体を知りたい、知らなければならないと感じる。

『成る程、これは俺の意志じゃなく仁の意志ってとこかねぇ。こいつの魂が惹かれるなにかがあるんだろ。しゃあねぇ、さっさと確かめてこのざわめきを静めるとすっか』

 そう決めた途端に、二つの魔力に向かって走る龍。約三キロの距離を、家屋の屋根を飛び駆けて猛スピードで対象に向かっていく。

 魔力の方も龍に向かって移動していることもあり、数分で接触するものと彼は予測していた。だがしかし、その二つの魔力との接触は予想を裏切る速さで実現する。

 龍が対象に向かって駆けていると、観測していた魔力が突然消える。驚き身構えた次の瞬間、それは目の前に現れ叫びながら篭手を纏う右手を振り下ろす。

破壊ブレイクッ!!」

 突然振り下ろされた手を右に飛んで躱し、反撃の為武器を作ろうとしたその時、別の気配を背中に感じる。

天使の恩恵・武翼エンジェルギフト・フェザー!」

 気配に気づき振り向くと、背中から巨大な梟の翼を生やした少女が、その翼で龍を挟み撃ちにしようとしていた。

 龍は右から迫る翼に触れ左にずらしつつ、自身は右に飛び彼ら二人と距離を取る。

『おいおいおいおい、いきなり襲いかかってくるとかなに考えて……』

 突然現れ自分を襲った二人組、その顔を見て、龍は思わず絶句した。それと同時、怒りで強く歯噛みする。

 襲撃者の正体は男女の二人組。片方は淡い水色の髪の少女、年齢は十八歳頃で黒と金のオッドアイが特徴的。白いブレザータイプの制服を着ている彼女は、髪と目の色こそ変われど、仁を愛し仁に愛された梅木優香その人だった。

 仁の中で魔神の魔力が解放された際、魔神の魂とそこに記録されていた龍には、彼の記憶が余すことなく流れ込んだ。故に知っている、彼女との日々にどれほどの幸せを感じていたのかを。故に知っている、望まぬ別れを迎えた彼のその後を。

 更に龍を驚かせたのは二人組のもう片方、男性の方だ。衣服や装備こそ違えど、その顔は仁に瓜二つ。双子の片割れと言われても疑うことはない程に、彼の顔は仁に似ていた。

 そしてその二人が並ぶ様を見た瞬間、彼女の隣に仁に似た青年が置かれていることに納得する。あぁ、彼は代わりなのだと……。仁がいない席を埋めるための代用品なんだと……。それと同時に、仁の心にダメージを与えるための一刃(ひとは)なのだと。

『俺の時は親友で、こいつの時は彼女かよ……。くく、くは……あははははははは!! あぁ~あいつ、あのクズ、相変わらずくだらねぇこと考えやがるな……』

 突然の笑い声は警戒心を、言葉尻の怒気を含んだ低い声は緊張感を二人に抱かせた。互いに初対面のこの状況、深い因縁などあるはずもない状況下であるにも関わらず、相互の間に漂う空気は淀み、殺意に満ちていた。

『お前らに恨みは無い、が残念ながら殺さなきゃいけない理由ができた。悪いがここで殺させてもらうぜ』

 そう言うと彼は右手に大剣を、左手に長太刀を創造する。戦闘可能時間は長く見積もって五分程、時間が無いこの状況下では短期決戦を狙う他に無い。

 故に無茶はせず、退くべき瞬間には即座に退くことを頭に置きながら、龍は戦闘の流れを頭の中で組み立てる。

「お前になくとも俺にはある。この世の悪魔は全て殺す、魔王だろうと、魔神だろうと、俺はこいつと共に殺してみせる! 行くぞ、ユカ!!」
「私は翼、私は盾。ジン君が望むなら、私はどこまでだってついて行く!」

 互いを信頼し合うような様子と、力強い言葉。龍は、それが仁に届いてないことを祈りながら刃を握る手に力を込めた。

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