異世界生活物語

花屋の息子

販売用の軟膏完成

 香草の配分を決めたら乾燥を魔法で済ましてしまう、木の乾燥とは違い、ズタ袋に詰めて行なわないと、吹き飛んでしまうので、袋の中で均一に乾燥できてきるのか、確認が取りづらいのが難点になる。


「このくらいかな?」


 袋を振って、カサカサと乾いた音がするので、乾燥はできているだろう。
 小さな袋でも作れたら良いのだが、大きなズタ袋に入れた香草を、いちいち確認して乾燥させるのは、効率が悪い。


「こっちは良いけど、やっぱりあったか」


 少しだけ太い茎をした草は、完全に乾燥しきれていなかった。
 均一乾燥させるためには、この辺りも揃えなければならないみたいで、次には、太さ毎に分けた方が良さそうだ。
 再度乾燥をさせると、次は葉だけを取り、手で粉々に砕いていく。
 粉になった物を更に揉み込んで、完全な微粉末にまで細かくしたら、香料は完成となる。


「こっちは固まっていないな」


 チョンと触っても、もう熱さは感じられないので、油だけを別の鍋に移す事とする、ここに香料を加えて攪拌するためだ。
 香草を加えて練ると、途端に香りが立ち上り、納屋にアップルパインの香りが、ふんわりと広がった。
 人口香とは違い自然な香りなので、香料嫌いの人でも良い香りと思って貰える事だろう、天然香は良い香りの中に、それを引き立てるような、くすんだニオイが混じっている。
 このニオイ成分のお陰で良い香が際立つのだが、これを無くしてしまうと、途端に香水ベタ付けのスメラーに落ちてしまうのだから、香は奥が深いモノだと思う。これをウェインなど後進に譲る時にも、『スメラーにはなるな』、と念を押す事を忘れないようにしよう。
 脂が固まってクリーム化する前に、空気を含ませるようにかき混ぜる、細かい気泡の中に香りが充満して良いかな?と思いついた方法だ。
 軟質の方は白く固まって、軟膏として良い状態となったので、次に硬質だった方に取り掛かる、油脂化した後はどちらも、違いは認められなかったのは幸いだが、分けたのでこちらは薄いミント風の香りだ。
 こちらも粉末化した香草を、入れてクリームに練りあげる。


「硬くなった脂は、性質が変わると思っていたけど、特に変わりは無さそうだな」


 自分の二の腕で、パッチテストをしてみたが、変化は見られない、変化が無いのは喜ばしい事だ。
 練り上げたクリームは、そのままにして、夜まで枡とまげわっぱを増産しつずけて今日の仕事を終える、労力的には大した事は無いが、面倒な作業のため、飽きるのが問題なところだが。
 そうして、夕食を取ると飽きによる精神ダメージの回復のため、さっさと眠りについた。


「疲れていたのかしら?」
「朝早くから頑張っていたからな、それにしても良くやるものだ」


 父と母が、納屋に積みあがった木工作品の山を見ながら、子を心配する夫婦の会話をしていた事など、知らぬうちに。
 さあ、明日からは頑張って売るぞ~

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