異世界生活物語

花屋の息子

香りにも

 油は大きなゴミと汚れが水に沈み、上澄みにはそれなりに綺麗になった油が浮いている、面倒ではあるが、これをもう一度鍋を変えて、さらに不純物を取り除く、柄杓や匙の変わりに今作ったまげわっぱを、使ってみようと思う。
 これは、形状記憶のようなものが、万が一にも中身のせいで解けてしまわない様にとの、試験をするためだ。けして持ってくるのが面倒だった訳ではない。
 恐る恐る油の中に器を入れてみるが、取分けてすぐに変化はしないようなので、一安心した。
 形状記憶合金のように、お湯をかけたら元に戻ってしまうのでは、入れ物を考え直さなくてはとも思っていたからだ。
「水とお湯も入れて様子見た方が良いな、ダメなら縫い合わせるか他のを作るか、出来ればこのまま行きたいけど、頼むぞまげわっぱモドキ」
 まげわっぱモドキを見ながらそうつぶやいた。
 再度水を替え油の精製をする間、香草の調合をする事にした。前回軟膏を作った時に使った物は、良い匂いのモノを適当に入れたが、今回はより香りにこだわってみようと思ったのだ。
「薄荷系の爽やかなモノ?と、甘い系のモノが良いかな~」
 薄荷っぽいモノは、どうしても地球のミントとは違って、そのスッキリした香りの中に濁った土のようなニオイが混じるので、あまり多くは入れられない。
 甘い系は、リンゴとパイナップルを混ぜて薄くした香りの草と、微かにブドウっぽい香りがする香草の、二種類だが、どちらも香りが薄いのが難点で、帯とたすきと言うよりも、髪ゴムに短し輪ゴムに長しと言った感じだ。要はメチャクチャ短いじゃないかと言う事だ。
「蒸留器でもあれば、こんなんでも一気に解決するんだろうけど、構造も知らないしな~」
 昔、知り合いに銅製の蒸留器をインテリアにしている人がいたが、こうなる事が解かっていれば、もっとしっかり見ていただろうが、興味も無かったので蒸留器ってこんな風なんだな程度にしか覚えていない、当然内部の構造など何一つ知らないのだ。
「まったく10年前の俺を殴ってやりたいぜ」
 香りの研究はこれからも、継続して行かなければならなさそうだ。
「完璧にはまだまだって事だな」
 今回は小売用は、アップルパインの香りとミントも二種類で香りを付ける事にして、鍋の方に目を移すと沸騰している、カマドの燃え残りと炭を掻き出して火を落す、さて冷めたら調合だな。

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