異世界生活物語

花屋の息子

入れ物

 さて入れ物を作る前に用意しなければならない物があるのだ。
 それは入れ物を入れる入れ物・・・地球で言ったら輸送用段ボール箱とでも思って欲しい、これが実験と実用を兼た、今回一番の代物なのだ。
 と言っても、ほぼ木箱なのだが、少しだけ細工がしてある物を考えている。
 薪に軟化をかけて厚切りの板を何枚か作って、底板用に溝を掘り込む、さらに5cm程度空けてもう1つ、これが今回のミソになるのだ。
 横面は、枡を組むのと同じように凹凸を付けてはめ込み型、底に底板をスライド式にはめ込んだら、チャチャラチャッチャチャチャン、吸魔石~、これをジャラジャラと入れる、そして二つ目の溝にはめ込むのがパンチ穴のように穴を開けた二重目の底板、魔素の性質は理解していないが、穴があった方が洩れ易いだろう。
 開けてあった側面をはめたら外装の箱の完成だ~
 本命の入れ物も、前回は枡を使ったが、今回は少し趣向を変えようと思っている。
 とは言っても、大口納品になる軍用は、枡のままにするしか無いので小売用だけなのだが、まさかバケツ型にするわけにもいかないだろう。
 小売用で今回やろうとしているのは、『まげわっぱ』いやなんちゃってまげわっぱと言った方が正しいのだろうが、軟化で柔らかくなった薪をナイフで剥ぎ取り、太い枝を同じ要領で輪切りに削ぐ、剥ぎ取った薪の薄板にナイフで薄っすら後をつけたら、そこに輪切りをはめ込んで巻く。
 本物は、桜の樹皮で縫い付けたりするのだが、これをさっき作った箱に入れると・・・入れると・・・おっ、何と言う事でしょう軟化で抜けた魔素が、吸魔石から出る魔素を吸って再硬化する、すると溝にきちっとはまった底板が、ストッパーになって戻りを邪魔する。
 軟化だけでも一度形を決めてしまうと、再硬化時には戻りは感じられずに、元からその形だったかのように、その形を保ってくれるのだが、底板が無ければ入れ物にはならない訳で、丁度良かったというのもあるのだ。
 しかし、これも全く問題が無い訳ではない、魔石箱に入れてから硬化するまでに、おおよそ20秒~25秒程度かかるので、現状作っている量なら問題はあまり無いだろうが、これがもっと増えてくるとなると、入れ物作りだけでも結構な手間になりそうな気がする。
「とは言っても、ウェインには軟膏のほうに専念して貰いたいし、いくらなんでも8歳の姉ちゃんにやらせるのもな~、丸めるまでやったら箱の中で持っていて貰うだけでも頼むか」
 しばらくは面倒事だったりするこの作業も、行く行くは夫婦でイチャイチャやっていく事だろう。
 そうなって欲しいと思う5歳児であった。



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