異世界生活物語

花屋の息子

Re:製造

 朝食を取り終えると、納屋に戻っての作業再開だ。
 土を叩き上げて掘るだけと簡易カマドは、水を使わないのですぐ使い始める事が出来る。金剛力士像のような男がバシバシ固めた物は、水など使わなくても、使う分には支障ない出来のモノが、完成するのだ。
「大きい鍋から使えるように作っておいたぞ。これからで良いのだろ?」
 鍋の使用順に関しては話していなかったが、そりゃでかい方から作るわな。
 別段壁に目が。などと言うつもりは無いが、キッチンの方からモワモワっとした、気配と言うかが漂ってくる、明らか母と祖母の発する気だろう、そしてこれが父達が働く原動力でもあるのだろうが。
「ありがとう、僕の方も準備始めちゃうね」
 仕上げを残すだけになっているカマドは、俺がやる事は無いので、獣脂の準備をする事にした。
 細かな肉クズや血管を取り除いて、硬質な部位と軟質部位とを選別してみた、前回にはゴミ以外はごちゃ混ぜで作ったが、鎧化している部位とノーマルな脂身とでは、やはり出来上がった物にも、違いが出来そうだったからだ。
 選別が終わった物を、川で予洗いして残った血やゴミを洗い流すと、ぷるんっとした脂身は、何だか美味しそうに見えてしまう。
 天秤棒も身体強化を上手く使えるようになってからは、大人用の桶でも問題なく満タンの水を運べるようになっていたが、吊るす綱が恐ろしく短いのは、この子供の体のせいなのだから、お笑いに見える。
 納屋の横には焼き上げの裏で父に、運び込んでもらった切り株が転がっているが、これこそ今回の秘密兵器、臼(加工前)だ。
 それにちょんと触れながら軟化をかけて、中をナイフでくりぬいていく、ハッキリ言って雑にもほどがあるやり方だが、餅をつく訳ではないので中もギザギザのまま、そこに脂身を入れるといっしょに作った杵で突き上げていく。ナイフや包丁で細切れにするよりも、力任せに潰した方がてっとり早いかと思ったのが、このやり方だったのだ。
 軟質なに脂身が潰れるさまは、鮟鱇の肝を潰して作る、どぶ汁を思い浮かべてしまう、硬質の方は流石にペースト状とはいかないが、ギザギザな臼に杵で擦り付ける事で、柔らかくは出来た。
「カマドの方は良いと思うが、使ってみるか?」
「お昼食べてからかな、水だけ入れておくよ」
 鍋をカマドにかけて水を入れるがびくともしない、金属製の鍋から焼き物に変わった事で、容積が増えた事、その重量も比例して増えていたので、もしかしたらと思っていたのだが、全く問題はなかった。
 ふたりともありがと。

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