異世界生活物語

花屋の息子

窯出しの朝

 盛大な火遊びにはやはりオネショは付き物という事で、俺の寝床はまたしても堆肥用に供される事が決まってしまった。
 折角の釜出しの日になんともしまらない話だが、心は大人でも、深層心理と言うか耐性的な部分で、大きな火を恐れる部分があるのだと、子供な自分に苦笑は禁じえない。
「寝床は帰ってから作ってやる、今日は大事な日なんだから、つまらん事は忘れて胸張って行くぞ」
 父にそう励まされて、曇った心が少し晴れた。
 しかしまだ焼きあがりを見た訳ではない、前回のように粉砕していない保障はどこにも無い訳で、野焼きを行った原っぱまでの道のりは、今までより遠く感じられた。
 原っぱまでの道は、関係した家の者が総出でその結果を見ようと、花見に向かう江戸の町人画の様相を呈していた。
 俺にはその道中の話を聞く事ができなかった、どこぞの主人公補正なるモノを持っている訳ではない、失敗の可能性を否定できない以上、大勢の苦労を吹き飛ばす事もありえるのだから。
 さすがにえ〇り君口調で、「そんなこと言ったってしょうがないじゃないか」と言うお気楽さは持ち合わせていない、緊張で吐きそうなくらいだ。
 自分でも今の顔色くらいは解かる、確実に青ざめた表情をしているだろう、これが上に立つ恐怖というものか、今にも押し潰されそうだ。
 そんな事を考えながら歩いても着く所には着いてしまう訳で、やって参りました灰の山、首元まで埋まるほどの高さに積もった、灰の山が俺を待ち構えていた。
 俺は当然のように俺は灰の山へと、背中を押されて近づけられてしまう、昨日はあれほど熱かった物が、触れる距離まで来ても熱を感じる事は無く、灰の山は完全に冷えきっていた。
「エドワード来たな、お前が来るのを待っていたんだ」
「やっぱりお前が掘り出さねえとな」
 プレッシャーに押し潰されそうである。
 恐る恐る灰に手を入れると、その冷たさにハッとするほどだった。
 そこからは無我夢中で、ダイブしてでも掘り起こしたい衝動に駆られた。まるで今までのプレッシャーが消えたみたいに、自分の意識は焼き物に集中していくようだった。
 俺の1手目が合図になったのか、周りの大人たちも外周の灰に手をいれて、それをかき分けてはザルに採っていた。流石に灰をただ捨てるほど御大臣をする人はいない、灰も立派な資源なのだ。
 そうして直線的に中へと掘り進む俺、灰を片付ける大人たちになりながらも、数分でお目当てのモノへと行き着いた。
 指に当たるカ~ンと高い音?あれもっと鈍い音を想像していたぞ。

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