異世界生活物語

花屋の息子

説明

 作業は夕方近くまでもくもくと進み、俺が限界を迎えたところで今日はお開きと言う算段になった、早々にリタイアしたルヒノラ婆さんにかわって、軟化の術を施した俺は流石に疲労していた、いくら魔力効率は良くても数をこなせば疲れるのは当然なのだ、そんな俺を待っていたのは大人たちの容赦の無い質問攻めだった。
「エド坊、んで、あれはどうやったんだ?」
「何かコツがあるのか?」
「俺たちも使えるようになるのか?」
「あれが使える様になれば、これからの伐採は楽になるな」
 ガヤガヤと俺を囲んでの汗臭いおっちゃんズ団子、見ているだけでもむさくるしい、しかし華麗なスルー技術など持ち合わせていないついでに、スルーなどした日には家まで押しかけられて添い寝までされそうな状況なので、渋々疲れた体に鞭打ってイヤイヤながらに説明する事にしたのだ。
「え~、まず軟化は魔法ではありませんでした」
 ・・・・なに言ってんだこいつみたいな顔をするのは心底やめて頂きたい、お前らが説明せいって言ったんだろうが、納得しながら聞きやがれってんだべらぼうめ~。
「魔法なら、魔力を火なら火みたいに魔力から何かを出すものです。木を切る時に使っているのも魔力で筋肉を多くするのに使っているでしょ」
 近頃は小難しい言い回しでもあまり反応しなくなったが、流石にどこぞの講義みたいな言葉回しは使えないし、これで説明は骨が折れそうだ。
「でも軟化は魔力をそのまま使うのです。これは叩こうが触ろうが蹴ろうが何をしても良いみたいなので、とにかく魔力を外に出せれば良いので、自分のやり易いやり方で大丈夫です」
 口で言うは簡単だがそれを実行するのは少し難しい、普段から魔法を使っているせいもあるだろうが、どうしても深層心理みたいな所が無意識のイメージ化をしているので、純粋に魔力を放出しろと言われても、それはどんなものかと思うところに問題があるのだ。
 技術的には魔法に変換しないだけで、魔力の放出は魔法の発動時に行っているのだから、出来るんじゃないかと思うのだが、事はそれほど単純では無いようだ、それの証拠にそこいらに落ちていた枝を実験材料に、軟化を試しているが案の定出来ている者はいなかった。
「なかなか上手く行かんな」
「ルヒノラ婆に教わった時よりはマシだろう」
「あれは教えるんじゃなくて、怒られるって言うんだよ」
「何故解からんのじゃ~って言われてもな」
 おいおっさん、まだルヒノラ婆さん帰って無いんだぞ。
「こん、バカタレが~自分が出来んのを人のせいにしおって~」
 車座になって愚痴っていたおっさんの脳天一発杖が振り下ろされていく。
 あ~あ、悪口は言わない方が身の為ってね。



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