異世界生活物語

花屋の息子

魔法拾得も一騒動・後

 一言で言おう、この人は教える事に向いていない。
 出来たからやっていると言う、感覚で魔法を使うタイプの人だからだ、パッシブブーストをしているミファと同じ人種なのだ。
「はぁ~やっぱり、坊でもダメだね」
 5本目に魔法をかけて、ルヒノラ婆さんの体力的にも午前中の魔法は限界を迎えた、火をつけた時のように持続させているものでも無いからとも思ったが、単純に歳から来るもののようだ。
 それにしてもさっぱり解かりません、煮ている訳でもなければ薬品処理している訳でも無い物が、柔らかくなる訳無いじゃん、まあだからの魔法なのだろうけど。
 俺の方の魔法拾得は一向に進まないが、その間作業を遅らせるわけにも行かないので、硬い木を切り割している男衆は、コツコツと作業を続けている。
 皆自分達にも出来なかったので誰一人として文句を言う人はいないが、俺の気持ちはどうしても申し訳無い物でいっぱいになるのだ。
(みんなゴメンね)
 ちなみに俺が試しているのは木本体ではなく、ルヒノラ婆さんの指示で切り落とされた枝の方、これでも問題は無いとの事だったのでこちらで試している
「ルヒノラばあちゃん、ウチのばあちゃんは魔法使う時頭の中に思い浮かべてやりなさいって言ってたけど、木が柔らかくなるのが想像できないんだよ、どうしたら良いの?」
「そうじゃの、ワシも昔々の事で何故出来るようになったのか覚えとらんし、今では先に見せたようにしか使っとらんからな」
 どこぞの武芸者じゃないんだから、見取り稽古で技を盗めみたいな事言われても出来ないよね、かと言ってこれを逃すのは勿体無さ過ぎる魔法だし・・・
 俺の魔力量がもっとあれば乱発して試すのもありだったのだが、そんな膨大な魔力は無い訳でその手は使えないし、なんとしてもイメージの部分を解明するしかないのが悲しい所だ。
 俺の中で思いついたのは、魔法をかけた時に起こった木のヘタリから、オートミールのように粥をイメージした型、杖で小口を叩く所から魔力衝撃は型の二つだった。
 交互に何となくの理屈を考えながら魔法をかけるが、これといった手ごたえは感じられない、ほかに理屈に辺るものが思いつかない以上これで押すしかないのが頭が痛いところだ。
 ・・・押す?・・・
 もしかしてと思いおもむろに近くの枝に魔力をこめたデコピンを放った。
 ズルズルっと土をこする音と共に、細かい枝で地面に接地していた物がその自重を支えられなくなり、倒れ込むように横たえた。
「は、は、は出来た~」
 思わず大声を上げた事で皆の視線が俺に集まる、その視線は最初は大声によるモノだったが、俺の目の前でおひたしのようにヘタッた枝を見ると、驚愕のモノへと変化して行った。
(これは出来ない訳だわ)
 普通も魔法との違いが大きい事が使えなかった理由なのだ、だって魔法じゃないんだもん。

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