異世界生活物語

花屋の息子

エドの保健室

「綺麗に水で洗って、土とかゴミを綺麗に落として下さい」
 お昼直前に俺の診療所は、異様な賑わいを見せていた。
「汚い水で洗っちゃダメですよー、しっかり洗って下さいねー」
 兵士だけで無く木こりに来ている、おっちゃん達の傷をも見ているからだ。
 と言うよりも、手当の仕方を教えた方が早かったので、応急処置の講習会にしてしまった。消していちいちやるのが面倒だで、一斉に済ませるための、講習会ではない、ないのである。多分
「洗えたら軟膏を傷に塗って下さい」
 傷の洗い方に不足が無いかを確認しながら、次の指示を出す。
 まあ多少雑でも、この世界の大人は抵抗力がパ無いので、感染症になる事なんて心配しなくて良いのかも知れないが、同じ事を子供にされたら怖いので、そこは徹底的にやっておく。
『こう言う事手を抜くから、子供が死ぬんだ』
 子供が増えたら森を切り畑を広げれば良い、地球と違っていくら切ろうと延々と雑草のように超回復するんだから、子供が増える事命長らえる事の方が圧倒的に優先度は高い、自然淘汰学説なんてクソ喰らえだ。
「傷が隠れる程度に塗って下さい、それだと少な無すぎます」
 用法用量は重要だからな、と言ってもほとんどパテ埋めに近いんだけど。
「これで後はお昼休みが終われば治ってますよー」
「回復魔法だと気持ち悪くなったりするんだが、これは気持ち悪くならないし、何だか良い匂いがするのが良いな」
「どっかで嗅いだ事あるような匂いなんだがな、思い出せん」
「お前の頭でも覚えてる事なんてあるのかよ」
「んだとこら、てめえに言われたくねえよ」
 匂いとかの記憶の方が残りやすいって聞いた事があるけど、あれは何かに関連して無いとダメなんだっけ?どっちにしろいくつかのハーブをブレンドして、尖らないようにしてあるから特徴が無くなって思い出せないのかもな。
 匂いか、お盆のカサブランカの匂いは忘れられないんだよな~
 小学校の頃にはいつもお中元代わりにオヤジが、お世話になったウチに盆用の花を配って歩いていた、流石にお盆の間際に市場から仕入れるとなると、通常の倍以上にもなってしまうため、少し前に仕入れて盆まで置いておくのだが、その頃は切花メインではなかったために、冷蔵ストッカーなんて物は無く、一番風通しが良い俺の部屋に置かれていた。
 それがお盆が近づくに連れゆっくり開花して行き、カサブランカの香りが部屋中に広がるのが、毎年の恒例行事だった。
 この世界に来てからというもの、あのように強い香りのモノを発見できていないため、少し寂しく感じている、夏の暑いこのような時期にあんな匂い嗅いだら泣いちゃうかもだけどな。



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