異世界生活物語

花屋の息子

笑顔に覗く眼光は鋭く

蛇ににらまれたカエルのように、余計な事を言うなと視線を送られる警備のおっちゃんが、視線を背けながらそさくさと持ち場に戻る、俺としても聞いてみたい事柄なのだが、じいちゃんとしてはあまり触れて欲しくない事のようだ。
聞きたいけど聞けない、空気が読めるお歳が中に入っている子供としては凄く気まずい、カチャカチャとプラスチックと金属の中間音が聞こえたのは、そんな何ともいえない空気が流れたときだった。
「今戻ったぞ、見張りご苦労、何か異常は無かったか?」
「隊長お疲れ様です、異常はありませんが、クライン殿がお見えになっています」
詰め所の中に居たので気付かなかったが、この時マリオネルの顔は尊敬する先輩に会えると、少し上気したものだった。
「クライン殿ようこそ、今日はどうされました?」
「今日は孫の御付じゃ、それと先日は助かったぞ、礼を言わねばと思ってな」
若干お付という言葉に疑問符が付いた顔をされてしまった。
「いえいえ礼などと、南の守りがわれわれの仕事ですので、・・・確かエドワード君だったかなではキミが私に用があるのかな?」
「危ない所を助けていただいてありがとうございました、今日はこれを試してもらいたくて持ってきました」
ゴトッと音をたてて置かれたものは、中身を知っているものでなければ、ただの小さな木箱にしか見えない、その蓋がずれないように縛っていた蔦紐をほどき上蓋をはぐった。
「エドワード君、キミの丁寧な言葉はいつ聞いても驚かされるよ、それでこの白いものは何なのだい?」
「軟膏と名付けました、これは傷に塗りこみ使う回復薬とお思い下さい」
思ったとおりだ反応は芳しくない、回復魔法があるのだ何故こんなものが必要といった顔をしている、まさに想定していた通りで、プレゼンのしがいがあるってものだよ。
「う~ん、キミも回復魔法は受けた事があるんじゃないのかい?それならこれが必要かどうかは解ると思うのだが?」
「もちろん回復魔法は受けた事があります、でも一日に何度も受けることが出来るかと言ったら、遠慮したいですね」
「そうだな2回も受ければ魔力酔いで動けなくなる」
「そこでこれです、あまり大きな怪我は治せませんが、多少の傷であれば回復魔法に頼らなくても良くなります、常に万全の体制で魔物と向き合うことが出来るのは、魅力だと思いませんか?」
「たしかに、それでこれを使って、私に何をさせたいのかな?」
「調合法と引き換えに、伐採の警備をお願いします」
優しい笑みの後ろに含む所のある目を、エドワードに向けるマリオネルは、流石は権力の近くにいる男と言った所かもしれない、鋭さを持っていた。

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