異世界生活物語

花屋の息子

出し惜しみの弊害

「はい、これお願いね。」
 納屋に向かおうとしていた俺に渡されたのは、カイバクの穂を束ねたホウキ、すなわち掃除道具だ。
 半日以上を費やして、焼き物つくりを行った結果、家事の停滞を招いてしまった、食事すらそっちのけでやっていたので、流石の男性陣もこれ以上はといった顔だ。口には出さないが。
 そしてそのシワ寄せは、このホウキを持った俺に、ウチの面積はちょっとした豪邸くらいに巨大だ、それを四歳児の俺が一人で掃除だと、可笑しくはないか、姉も料理の手伝いをしている訳で、手の空くのは俺しかいない訳だが、何だろう悪いのは誰だ論と同じかもしれないけれど、ハンドクリームなど開発したのがいけないのか、それとも量産化を足止めした近所の奥様が悪いのか、掃除をやっておいたと言わない父達が悪いのか、はたまた押し付けてきた母が悪いのか、この感情は怒りではない、絶望だ。
 ワンルームで一人暮らしをしている人間からしたら、サイズだけは夢の邸宅に見えるかもしれないが、家がでかい事はそのまま掃除が大変という事に繋がる。なぜに田舎の家と言うのはこうもデカイのやら、ホウキ掛けをしていくだけでもガッツリ時間が掛かる。
 別段机を移動させての掃除では無いが、そもそもの体のサイズ的に、それほど効率が上がる規格ではない。
 これも手を抜けば多分やり直しになるだろうから、85点は取るつもりでやら無くてはならない、キツイよこれ。
 セカセカ掃除を進めても本当に終わらない、3部屋終わった段階でようやく姉が手伝いに入ってくれた。
「お姉様、有難う御座います」
「なにやってんの?」
 最敬礼で援軍を迎えたら、意味の分からないポーズで出迎えられた姉は、なにこいつみたいな顔をしていた、俺からしたら絶対終わらない掃除という、敵軍を一人で迎え討っていたのだ、そのくらいするさ。
 二つ上の姉が入るとやはり効率が違う、ホウキ一回のストロークの長さが違うのだから、当たり前といえば当たり前だが、本当に助かった、なにせまだ6部屋もあるのだ一人でなどそもそも終わらない、姉が手伝ってくれる事は前提だったといえば前提なのだ。
 キッチンスペース以外のすべての部屋を掃除し終え、やっとの事で夕食にたどり着く事が出来たのは、いつもより大分遅い時間になっていた、ちなみに父達もサボっていた訳ではなく、買い物に行かされたり下準備を手伝わされたりと、結局は俺の出し惜しみの犠牲にはなっていたのだ。
 これは少し本気で完成を急がないと、地獄の行軍になりかねない、次で決めなければと強く決意したのだった。



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