異世界生活物語

花屋の息子

そうは問屋が卸さない

「え~、この度クリームを作ったエドワードです、あのクリームを作るのには問題があって、今すぐには作れません」
 ウン予想どうりの反応、空き缶とか無い世界でよかった、って言うか子供にその指すような視線とともに、ガヤガヤ言うのはどうなんですか?。
「問題さえ解決できれば作れますので協力して下さい、それさえ協力してもらえれば、すぐにでも作れますから」
 よかった、少し目線が落ち着いたようだ、どうせならこの世界にも、こちらを見て仲間になりたそうにしている、とか無いもんかね?
「何を協力すれば良いんだい?」
「一番の問題は鍋です。ある程度の大きさの鍋が無いと、作るのはもちろん、最後の人まで行くのには、カイバクの収穫が終わる頃まで掛かりそうなので、そこで皆さんには赤金虫を少しづつ分けて貰いたいのです」
 もうこうなれば、一から鍋を作るのか一番早いからな、皆さんはクリームが、俺は鍋が手に入るとなれば、ウィンウィンの関係じゃないですか。
「それはかねの鍋じゃなきゃいかんのかい?」
 40を越えたくらいだろうご婦人が口を開いた。
「金の鍋以外に鍋があるんですか?」
「死んだ曾バア様のそのまたバア様が、まだここいらが森だった昔に、泥をこねてこしらえた鍋を使っておったと、昔語りに話してくれてな」
 ・・・焼き物って有ったの?こちらに来てから、器は木製だったし、鍋や何かは金属で、焼き物の類いは見た事が無かった、かめなども無かったので、てっきり無い物だと思っていたよ。
 廃れたのかその辺りは分からないが、昔は使われていたのなら、金属性に比べて使い勝手は、悪くなるけどそれでも良いか。
「始めて聞くわね、泥なんかで鍋を作っても、水を入れたら溶けちまうんじゃないのかい?」
「泥の鍋をそのまま使うんじゃないのさ、焼くと溶けない鍋になるらしいんだよ」
 うわ~焼き物一択の流れだな、それでも良いとは思ったけど、俺専用金属製品はお蔵入りかな。
「エド坊、それでもできるのかい?」
 スゲ~ウソ吐きたい、どこの家にとっても金属源は重要な物だから、詐欺って奪うのも違う気がするし、ここは焼き物で涙を飲もう。
 出来があまりにも悪かったら改めて、金属供出をお願いすればいいのだし。
「それでも出来ると思うけど、薪とかもかなりの量が、必要になるけど大丈夫なの?」
「「そんなのは旦那達に取りに行かせれば良いさね」」
 皆で口をそろえて言う事かね、って言うか旦那さん達ご苦労様です。

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