異世界生活物語

花屋の息子

悲劇は突然に

 これはどうした事だ。
 昨日植えたカイバクは、三つの内二つが枯れる寸前と、言った感じに萎れていた。この見た目なら間違いなくこのまま枯れる。
 残った一つは昨日と変わらないのだから、原因は間違いなく撒いた物だろう。
 枯れそうな二つには、あの黒スープを撒いていた。
 量が多すぎたのか、それとも黒スープ自体がダメなのかは、何度か試してみないと解らない、それにしてもここまで即効で駄目になるとは、地球の除草剤も真っ青だな。
「何でこうなったかな???」
 ひとりごちながら、早速植木鉢代わりの枡をひっくり返して、中のものを取り出してみた。
 地球の植物の根と同じでカイバクの根は、普通に白い訳なのだが、黒スープを撒いたカイバクの根は、染色したように黒かった、本当なら骨ペーストも抜いてみるべきなのだが、それはケチケチ根性がストップをかけてしまう。
 黒スープと骨ペーストの混合区も同じく、カイバクの根は真っ黒く染色されていたので、原因は100パーセント黒スープだろう。
 黒スープを使った枡自体には、変化が見られないのでリサイクルする事にして、今日分は骨ペーストの分だけを作る。
「こんな事なら、早起きする必要なかったな」
 三個のために早く起きたのに、その製作は丁寧に作っても40分強、手伝いの事も考えて畑からカイバクを、運んできても朝食前には作業が完了した。
「さて骨ペーストは良いとしても、黒スープは希釈すれば良いのか?」
 もし希釈してもダメならそれはそれで、取り敢えずは10倍くらいに薄めてみる事にしよう、明日も同じなら50倍とか?、それでもダメならこの実験は中止にすれば良いだけなので気楽なもんだ。
 100倍とかにしないのか?って、そんなに薄めなきゃ使えないとなれば調整がシビアすぎて、使えません。
 朝の作業をひとまず片付けたので、忘れないうちにロウソクの点灯実験の方もやる事にしよう、と言ってもやるのは、日時計で大まかに現在の時刻を測って明日の同じ時間まで燃やし続ければ良いだけの簡単な実験だ、燃え尽きてしまったらそれはそれで失敗なのだが、そこはやってみなけりゃ解らないって事で。
 風の影響を受けないように、場所は納屋のカマドの中に決めた、今日も納屋の作業場を使うのは俺だけだろうから、誰かに消される心配も無いし、カマドの中なら他に燃え移る心配も無い、我ながら何といい場所を思いついた事か、エッヘン。
 火のサイズもロウソクと変わらず、見ていると心が落ち着く良い火だ、明日の今頃まで晴れていて下さいよ。

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