異世界生活物語

花屋の息子

○○3日クッキング 2

 抽出2日目の朝は早い誰よりも先に起きて納屋えと急ぐ、鍋を見てみると昨日の油が鍋の表面に浮かび上がって固まっていた、匙を差し込んでみると以外に厚みがある、下のスープは飲みたいとも思わない色に濁っていた。
 油かすみたいなものでも取れるかと思ったのだが、肉部分など欠片程度しかなく、あれをこのスープから掬って食べようなどと思う人間はまずいないだろう。
 その固形油分だけを掬い取りザルに移しておく、スープと欠片肉は庭先の垣根の栄養になってもらうとしよう、多分害は無いはずだたぶん・・・。
 新たに汲んで来た水で鍋をすすぎザルに移した油を戻したら、少しずつ水を入れて混ぜて馴染ませてしく、これを何度か繰り返して乳液状になるまで繰り返した物をもう一度煮立たせて、油の中に残った余計な成分をさらに取り除く、これで綺麗にならなかったらもう一回だ。
 燃やすだけなのだからそこまでしなくてもと思うかもしれないが、一部母えの贈り物もこの油を使うので手を抜けないのだ。
 母への贈り物は馬油モドキを考えている、昨日触った時に発見したのだが、この油は人肌で溶ける、それもベタベタしないでさらっとした油だった、指先に付いた物を伸ばしてみても、なかなかのハンドクリームと言っても問題なさそうな品質だった、ニオイも無い、可燃性も心配したがカマドの薪をいじっても着火しない辺り安全性もクリアしている。
 本当は最初に考えた物は石鹸だったのだが、しかしそれはすぐに諦めた、この世界に石鹸なんて物は存在しない、この油取りを何度もやっている内に偶然などならまだしも、一回目でいきなり作ってしまったら、その知識はどこから来たのだとなるだろう。
 それに発展途上国などで廃食用油の、リサイクル石鹸をそのままパクって作る事は出来るが、時間的な制約が有る以上は、石鹸を作るのは俺の油作りが市民権を得てからだ。
 そんな事で馬油なら手に付いた物を、偶然発見程度で押し通せるし、実際その通りなのだからそこを突っ込まれてもどうしようもないのだ。もう一つ言えば、このまま渡せば良いのだから、間要らずで楽チン。
 それでも対人安全性のチェックのために、昨日の夕方からこの油を手に塗っている、ニオイ、肌への変化、体調への変化などが起きないかの試験で、今の所悪影響は無いし手の具合はしっとりしているから、昨日と比べたら塗っている、今日の方が良いくらいなので十分な効果が出ていると思う、これで2~3日使ってみて害がなければ、母にプレゼントすることにしよう。
 いつも灰をぶち込んだ桶での洗濯を見ている俺としては、自分の事にばかり異世界知識を使っているような気がして、少し気が引ける部分もあるわけで、少しでも洗いものが楽になってもらえればという親孝行心もある訳で・・・すいませんウソです、これで鍋が使えるようになればという下心です。
 まあ理由は何であれ、良いじゃないか母もハッピー俺もハッピー、ウィンウィンの図式が成り立ちさえすれば。

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