異世界生活物語

花屋の息子

肉屋の騒動 2

 無理なタカリの様に集団で騒いでいる前で、いつもと変わらないおっちゃんを目にすると、ここはなんと言うかスーパーおっちゃん降臨てっ感じで、バカ共一掃して欲しいなんて思ってしまうが、現実にはそんなことが起きるはずも無い。
「そんなに言うなら君たち、この肉食べて見ると良い」
 覇気こそ感じなかったが、カウンターに置かれた兎をガッと掴んで、奥の解体台で覇気が出てればカッコいいのにと思うほどの手さばきで、モモの部分の肉を剥ぐとカマドでローストしていく、あんちゃんズは俺達の兎がってブツクサ言っていたが、そんな事に付き合わされたこっちはたまったもんじゃない、大渋滞のレジでクレームを付けるバカや、小銭を出そうとしてチマチマ出していくが結局は足りなくて札を出すバカと同じ、後ろに並んでいる方からしたら、どちらも大迷惑なのだ。
「これってまだ掛かるよね?」
「そうね」
 母と二人ため息しか出てこない、一般的な戦士団はテンプレ冒険者と違って真面目な人間が多い、狩猟だけとか護衛だけとか得意分野しかやらない訳ではなく、オールマイティーに荒事をこなすため、荒くれ者のイメージを付けたく無いからなのだ、町の兵士が警察なら、戦士団は自衛隊といったところだろうか、まあ㈱自衛隊といった方が良いのかもしれないが。
 しかしそんな中にも例外はあって、それが目の前のあんちゃんズだ、多分彼らは大規模戦士団には入れなかった者達だろう、大規模の所には教官に当たる人が居てにらみを利かせている、しかし個人パーティのような所にはそのような人はおらず無法を行なう者も居る、あまりな事をしなければ兵が出張る事も無いが、悪戯が過ぎるとしょっぴかれるし、戦士団のイメージを守るために大規模から粛清部隊が出て来る事もある、その辺りも逮捕や軍法裁判と言い換えればどちらの世界にも似たような物があるものだなと感じた。
 そうしているうちに肉が焼けたのだろう、皿に盛られたローストチキン状の兎肉が兄ちゃん達の前に置かれる。
「さ、食べてみなさい、食べれば買い取れない訳がわかるから」
 肉屋のおっちゃんが出した肉は、はた目から見たら美味しそうに見える、俺にもダメな理由がわからないほど良い感じに美味そうだ、当然兎をズタボロにした兄ちゃんズにダメな理由がわかるはずもなく。
「「こんなに美味そうなのにどこがダメなんだ」」
 お、ハモった、怒気を篭らせた声で二人が、おっちゃんに文句を言った声がハモった事に、笑いそうになってしまった。
「いいから食べて見なさい」
 そう言いながら、おっちゃんが皿の上の肉を切り分けて串を突き刺した。

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