異世界生活物語

花屋の息子

魔力が上がらない?、いや金利並みには上がったらしい

 曾祖母の魔素吸収が出来た感覚は、心臓に突き上げるような流れを感じるものだそうだ、それに対して俺のそれは、乾いた体にポカリ○エットとでも言えばいいだろうか、染み渡っていくような感じだったのだ。
 まあ個人差なのかも知れないが、やった事があるのが二人という統計学にも、引っかからない程度の精度しかない訳で、一般的にはどうとか他の人がどうとか言えないのだから、異世界転生でお馴染みのステータスなどがあれば、前後の見比べで判断も出来るのだろうが、あいにくこの世界にそんな便利な物は無かった、調べる事すら出来ないのだ。
「一回でそんなに上がる訳でも無いからぁ~、言い切れるものでも無いけどぉ~、それがあなたの魔素吸収の感覚かもしれないわねぇ~、出来なくて元々だったから驚いたわぁ~」
 あれ?期待されて無かったって事?何気にショックよそれって、いじけちゃうよ。
 それに普通わかんないのも当然だよ、深呼吸したら『取り込んだ酸素で脂肪燃焼してるでしょ』なんて言われてもピンとこないのと同じだろ、魔素にしたってこの世界じゃ空気の一部なんだろうから、魔素の無い空間にでも入らない限り、それを体感することすら出来ないじゃないか、それがわかるのならこの世界の人は、皆が皆大魔道師にでもなっているだろうよ。
「どのくらい上がるとかって、」
「わからないわよぉ~」
 そんなかぶってまで言わなくても、それより微増とかだったら転移魔法使うのなんて夢のまた夢で、何年かかるかわかったもんじゃ無いじゃん、魔素吸収の終わった収魔石をコロコロとしながら凹んだ。
「私の時は何年もかけてやっと上がった事を感じれたわぁ~、」
 やばい、それって成長してるのと大差ないって事なんじゃないか?、このまま行けば転移魔法を使えるようになるまで、何年かかるかじゃなくて、何十年になっちゃうかもしれないじゃないか、せっかくの異世界魔法の定番が、前世と同じかそれよりも年をしてからしか、使えないなんてありえなさ過ぎるぞ。
「もっと手っ取り早く上げる方法とかって無いんですかね?」
「そんな物があれば誰も苦労はしないわぁ~、エルフ族に伝わるこの魔風穴を使った魔力増強法もぉ~、それこそ大昔から行われてきた方法なのよぉ~、一朝一夕にできるならそれが伝わっているわよぉ~」
 それもそうだとは思うが、エサを前にした馬鹿犬と同じで、今すぐ食べたいのだよ俺は。







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