異世界生活物語

花屋の息子

魔力向上に向けて、領主のお屋敷は残念

「リード遊びに行こうぜ」
「それがよ、親父に薪割りやっとけって言われてさ、悪りっ今日は無理だわ」
 後に積みあがった木の山を親指を刺しながら、リードは気だるそうにそう返してきた、伐採自体はいつもより収量が多かったのがその一因なのだが、リードにはその分不運として回ってしまったかな。
「そうか、仕方ないな、また今度な」
 そういってリードを誘うのをあきらめた俺は、リアムやウェインと近所のうちを回ったが、皆薪割りに精を出していて遊び相手は見つからなかった。
「ウチはじいちゃんがやってるからな~」
 割った薪は積み上げて乾燥させてから使う、その為子供がゆっくり割ったところで薪が尽きる訳ではない、その為農作業より優先度が低く大人の手を使うより、鋤など子供の力では扱えない農作業は大人が、薪割などは子供がやるのが一般的なのだ。
 俺はまだ斧が持てないからやって無いだけだ。
「ばあちゃんに頼んで曾ばあちゃん家に連れてってもらうか~」
 開発が先になったがそもそもは、伐採が終わったら魔法修練のために曾祖母の家を訪ねる予定だったのだ、順番は逆になったとはいえ現状の魔法力では、せっかくの魔法もあまり意味を成していない、本来なら早々に曾祖母を訪ねたかったのだが、技術改革もやりたいしで後回しになっていたのだ。
 俺のスキルアップのために覚える魔法は、お腹いっぱいご飯が食べられる環境整備と違って、後回しにして良い事ではないからな。
 遊びに行くのは良いのか?何てツッコミは無しだぜ!
 遊び相手が見つからなかったからと言う訳で、訪ねるのもどうかとは思うが、向こうも会いたがっているのだから、さほど問題では無いだろう、どちらかと言えば祖母の都合の方が余程問題で、今日は無理となったら、俺の予定がまるまる開いてしまうのだ。
 大急ぎでウチに戻ると、祖母を探し回り曾祖母のウチに行きたい旨を伝える。
「伐採が終わったらって言ってた曾ばあちゃんとこ連れってって~」
「そうだね~、まあ今から立てば昼頃には着くから、行ってみるかい」
 そう言うと手見あげだろう小物を手さげに詰め始めた、こんな時代だろうと親類の家を訪ねる際のマナーなんかは、変らないものだ、今と変るのは、酸っぱく無い梅干みたいな果実の塩漬けや、バイネル王の実やベリー系をハチミツで漬けた物、まあ自分ちの漬物が一般的と言うところだろうか、行くといっていた為か漬物類などは、すでに小分けにされたのを詰めるだけになっていた事で、すぐに出かけられた。
「夕方には帰るから後頼むよ」
「ママ行ってきま~す」
「いってらっしゃい、お義母さん、おばあさまによろしくお伝え下さい」
 どうも母は曾祖母が苦手なようで、行きたくは無いが悪印象も与えたくないといった感じが、祖母との会話から読み取れた。
「伝えておくよ、それじゃ行ってくるよ」
 曾祖母の家まではそれなりの距離がある、俺が住んでいる東区画の反対側、西区画の最も西側になるらしいのだ、この東区画ですら見探索地域の方が多い、大体二割くらいしか探索できていない、もしどこも区画の
 大きさが変らないとすれば、目的地までは6~7キロくらいあるということだ。
「頑張って歩くんだよ」
 曾祖母から言われるが、まあ異世界生活は歩きが基本なため、日本にいた頃より余程足腰には自信がある、前世より歩いたとしても問題は無いのだ。
 しばらく歩いて集会所を過ぎ大き目の川にかかった橋を渡っても景色と言う物は変らない、畑畑畑、どこまで行っても見えるのは田舎の田園風景から、電線や車といった現代の物を取り去った風景が目に映るのみだ、体力的には問題が無くとも、視覚的な目新しさが無いのは少し辛い、異世界ならゴーレム農法とか召喚獣農法とか、そういったものを期待したが一切なく、ウチと同じ事が行われているだけだ。
 唯一目新しい物は領主館が見れた事だろうか、それでも立派な宮廷でもなければ、城というわけでもない、石積みの塀に囲われた巨大な家といった感じのそれは、文明レベルの低さを感じさせるものだった、はっきり言って古い寺などにはもっと大きな物は数あり、京都に修学旅行した人間からすれば、巨大と言うには言い過ぎかもしれないが、このあたりの平均からしたら巨大と言う事でとらえて欲しい物だ。
 領主館には流石に門兵が槍を構えて配されていて、入り込んだりは出来なさそうだ、別に入らないけど。
 西側にも橋が架かっていた事から、この川自体は堀のような役目で作られた物なのかそれとも、元々あった中州に館を築いたのかは解ら無いが、造りとしたら後な可能性のほうが圧倒的に高そうだ、それからも変らぬ景色と戦いながら、祖母の家を目指す。
 ほぼ半分は来たまだもう半分だ・・・・長いな。

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