異世界生活物語

花屋の息子

異世界金属、ボク虫捕り頑張る

 午前中に粗方の作業を粗方終わらせてしまったので、午後はかんなり暇だ、大人達からは離れられないし、この体じゃ走力の問題で森にも近づけないしでヤル事が詰んだ・・・この辺りは切り株だらけの為、つまずかないよう下草も綺麗に刈られていて、薬草探しすら出来ない。
 俺のご希望の品は、三つほどちょうど良い形のものがあったので、長さを指定して切ってもらい、一便目の大八車に積み込み済だ・・・午前中やりすぎました・・・、ウェインの忠告に「へ~い」とか言って舐めた態度取っていたやつを殴ってやりたい、俺なんだけど。
 ああそう言えば、昔仕事始めた頃言われたな~、やりすぎてもやらなくても駄目だって、やらないのは勿論論外だけど、やりすぎて周りを息切れさせるのも、結果的に全体の効率が悪くなるから、頑張るなら105パーセントくらいにしとっけって、う~ぬ~反省だなこれは。
 さて、俺が出来る事を考えなければサボる訳にもいかないしな、う~ん・・・オヤジ~助けて~。
「パパ、何かすること無い~?」
「そうだな~、最初のやつと一緒にうちに帰るか?」
 イヤイヤイヤ、そう言う事じゃなくて、やることの指示を下さい。
「エドワード、やる事が無えならさっき切った切り口に、赤い虫が居ないか見て回って、この中に捕まえて来いや」
 そう言って祖父から渡されたのは、俺の頭がすっぽりと収まるほどの木の壺だった、虫には引っかかるけどナイスフォローだよじいちゃん、これでやることが出来たよ。
「赤い虫?そんなのどうするのじいちゃん?」
 俺が住んでいた長野県には至る所で食べられる虫が、佃煮として食卓に乗せられるが、こっちでもまさかの佃煮?じゃないですよね???
「赤い虫は、『赤金虫』と言ってな、鋤や斧なんかの刃はこの虫から出来とるんだ」
 おお~佃煮は回避したが、明後日の方から変化球が飛んできた感じだ、まさかの虫が金属源とは、鉱山開発で地域住民ともめる事は無くて良いけど、これは異世界過ぎるんじゃないか?
「集まってきとるな、こいつが赤金虫だ」
 祖父が朝一作業を始めた切り株まで行くと、ひょいっと持ち上げた虫は、赤金の名前通りのメタリックレッドに輝くコガネムシだった。
「この黒いのは要らん、お~お白もおるなこいつは何が何でも捕まえんだぞ、後は青もだな捕まえるのは赤、青、白の三色だけでええ」
「何でこの黒いのは要らないの?」
「こいつはかねの毒でな、混ぜるとかねが脆くなって、使い物にならんくしてしまうんじゃ」
 黒いこいつも金属源には成るみたいだ、混ぜなきゃ使える事は使えるのかな?、白はじいちゃんの反応から見るとレアアイテム系だな。
 言われた通り切り株の樹液を吸いに集まったコガネムシを、ひょいと捕まえて壺に放り込んでいく、カブトムシは生前の小さい頃に親にねだっては、夏の夜に水銀灯の下を、夜回りに出かけてまで採った記憶はあっても、コガネムシを採るなどこちらの世界にでも来なければやらなかった事だろう、虫好きとかじゃなきゃやりませんよね。
「白は最初の一匹だけか」
 他の色をしたコガネムシは採れたが、白だけはどの切り株を見てもサッパリいなかった、レア出現率低すぎるがね、俺が虫取りにいそしをでいる間、どんどんと伐採がされた木材が、集会場の広場へと運ばれる、切り株を7割方回って、やっと壺いっぱいにまでコガネムシが集まった、途中からは俺には重すぎて、壷まで虫を運ぶなんって効率の悪い作業と化したが、小人だもの仕方が無いじゃ無いか。
 一つ壺目をいっぱいにした報告をしたら、ええ次の壺を渡されたのはお察しの通りでございます。
 二つ壺目は白が数匹捕まえられた、その喜びを上回るのが赤の多さだった、一壺目もそうだが8割くらいが赤なのだ、これは青銅らしき金属が使われるのもうなずける。
 しかし、このコガネムシからどれ程の金属が採れる事やら・・・まあ多量に採れるなら、そもそももっと銅製の道具があっても良い訳で、刃先だけ金属を付けた鋤を使っている訳が無い、それでもまあ雀の涙も勘弁して欲しいけどな。
「じーちゃん、全部採ったよ~」
「良くやった、こっちも今切ってるんを積んだら帰るから少し待っとけや、おーいウェイン、エドが採った壺回収しとけ」
 流石は未来の婿殿だ、じーちゃんも父も将来の義兄扱いで、いろいろと言い付け安いのか、事あるごとにウェインウェインと用事を言い付けている、あれもこれも仕込んで置こうという事なんだろう。
 まあ、何でも出来なきゃ生きていけない世界だから、当然と言えば当然なのだけど。
「ウェイン、悪い、流石に持ち上がらなかった」
「な~にこのくらい良いさ、イヤ、『やり過ぎる義弟を持つと義兄さんは大変です』、って言えば良かったかな?」
「義兄さん、イジメナイデクダサイ」
 ウェインに壺を運んで貰いながら、下らない掛け合いを楽しんだ。

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