高校生の平凡な日常

ノベルバユーザー86613

運の無い休日

土曜日の午前10時。彼は起床した。
彼の計画では8時に起きて時間を有効活用するつもりだったはずが予定よりも2時間も遅れている。この事実は彼の心を曇らせた。それを嘲るかのように蝉の鳴く声が聞こえた。そこで窓を全開にしてどんよりとした感情を追い出した。入れ替わりに新鮮な空気とプラスαが入ってきた。正体は件の蝉で彼を嘲笑うことを辞めない。それは彼の部屋を半周ほどして退出した。まるで諦めの早い自分のようだ。彼は自分は蝉と同等、それ以下なのではないかという思考に陥った。ああ、気分転換もクソもない。
今日はカラオケにでも行き、気分を晴らそうか。彼はそう心に決めた。
12時。彼はファストフード店に来ていた。
ハンバーガーとポテトを頼み、ドリンクにお茶を頼んだ。彼にお茶という存在は愛人に等しく、朝食を除いて毎食、お菓子にもお茶。一見組み合わせが悪く見えるハンバーガーに合わせるのは彼にとって当然のことだった。
飲み物に口をつけた。鼻には至高の香り、口には何物にも劣らない素晴らしい味が...
広がらなかった。
代わりに彼の口を支配したのは甘い何かだった。咄嗟に彼はストローを介してそれを戻した。決して甘いものが苦手な訳では無いが、食事にはお茶。これを徹底しているので他の何かを飲むわけにはいかなかった。
店員を呼んで甘い何かとお茶を交換してもらい一息つくことにした。あまり良い気分ではなかった。
13時。昼食を終えて、彼はカラオケ店に来ていた。ちなみに彼は店の常連であり、会員カードがひとりでに輝く程であった。いつものように手続きを終えてパーティルームとは一回り小さい個室に案内された。さて、日々のストレスを発散しようか。取り敢えず景気づけに盛り上がる曲を2曲ほど選択しデンモクに入力した。大音量で音楽が流れ始める。彼は歌う。
ウォーン。ウォーン。ウォーン。部屋の中で何かが鳴っている。初めて耳にする音だ。何だろうか
直ぐに店員が駆けつけた。お客様?大丈夫でございますか?
「ああ、はい。」
何が起こったのか分からぬまま質問され、素っ気ない応答をする。間もなくして男性数名が部屋の中に入ってきた。彼は取り押さえられた。
「君、未成年だよね?煙草はダメだよ。」
店長と札を下げた男が言った。
「なんのことでしょうか。」
「とぼけてもダメだ。じきに警察が来るよ。」
厄介なことになったようだ。
10分後。
彼は弁解の余地もなくやって来た警察に突き出された。30分程の取り調べを受けた。
その間に部屋の検視は終了したようだ。
「タバコの吸殻が見つかった。キミのものだろう?」
「いいえ。私はタバコを所持したことも吸ったこともありません。前の客のものでは無いでしょうか。」
その後。清掃担当が仕事を怠っていたことが明らかになり、彼は解放された。去り際に言われた言葉はごめんね。の一言であった。

彼は空を見上げた。カァカァと黒い鳥が飛んでいた。ふと、烏も親の元に帰って食事をするのだろうか。そんなことを思った。日も沈みかけており早く帰らないと母に心配をかけるだろう。
彼はスマートフォンを持っていないので公衆電話から連絡をとることにした。
ボックスを見つけ、10円玉を投入...財布がない。彼の慌ただしい一日はまだ終わらない。

~完~

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