ガンスリンガー

限界集落村人

18

「全員気合いを引き締めていけ。そして絶対に死ぬな。俺からはそれしか言えない。」
後方からは野戦砲の轟音が鳴り響いていた。
正面では敵が野戦砲の射程内に入ったという事だ。だが4門で100万の軍勢にどれだけの被害を与えらるかは高が知れている。あとは現場の判断次第だ。
「中尉、敵が見えました。約1キロ前方多数接近中。」
「マグス、狙撃の準備はできてるな?」
「はい!」
「任せたぞマグス。」
前方からは多数の敵がゆっくりとこちらに進撃してきた。
距離がどんどん近づいて行く中、700m程になった瞬間に銃声がなり、敵が崩れ落ちる。
そして次々と敵は倒れていき、敵は前面にごつい盾を持った槍兵を出してきた。
だがそんな盾を軽々と貫通する。ダネルNTW、有効射程1500強のこのライフルを前に、敵は手も足も出ない。
敵はすぐに後退を開始し、1キロ付近でなうのうと拠点を作り始める。
「マグス、あの連中にそこは安全じゃないと教えてやれ。」
俺はマグスに狙撃を指示し、マグスは1キロ先の敵を攻撃し始める。敵はさらに距離を取り、とうとう丘の向こうへ逃げてしまった。
30万の大軍が、二十人を前にして逃げるというざま。こちらはその1パーセントにも満たない数しか殺していないのに、敵は慎重になりすぎている。だが1キロ先に拠点を作り始めたという事は、おそらく敵は俺たちの実力を、他より強い精鋭軍だと勘違いしていたのだろう。実際に実戦で銃を拝めた敵は全て俺たちに屈している。だから今の王国の連中は実力を理解していないのだ。
敵は次の日まで全く動きを見せず仕舞いだった。その間砲撃の音は絶えず聞こえていた。
「中尉、敵に動きはありませんが、念のため援軍を要請するべきです。」
「俺もそうしたいのは山々なんだが、大佐のご命令なんだからしょうがないだろぉ…。」
「しかし……。」
反論する気持ちはよくわかる。だが俺にはなにも言えない。大佐は俺の気持ちをよくわかっている。俺は戦いたかった。
知らず知らずのうちに大佐に俺はマインドコントロールされているのかもしれない。
暇を与えてからのこの仕打ち。俺は究極的にたまらない事だと思う。今の俺は餌を我慢した犬状態。大佐にご褒美を貰うために忠実になり、褒美を貰って喜んでいる。なんで俺は変人なんだろうか。

翌日、俺は10名で敵の拠点を襲撃した。
敵は圧倒的な数にもかかわらず、敵は逃げ惑うばかり。
30万の軍勢が俺たちに反撃してきたのは翌々日だった。
丘を越えた30万の兵は一斉に橋に向かい走り出した。それも玉砕覚悟の突撃。前方にいる数万の兵士は武器を持っていなかった。なんたる愚かな行為なのか。
だがまずいことになった。あの量を相手にたった20人でなにができるのか。
だが、橋を渡れるのは横に並んで実質10名。大軍が一斉に攻勢に出ようと、何の問題もなかった。
俺はLMGを橋に配置し、敵に備えてさせ、橋に差し掛かるまで発砲しなかった。
そして、敵が橋に足を踏み入れた瞬間から、一斉射撃を浴びせた。
玉砕覚悟の敵は次々と橋で倒れていき、永続的な射撃の末、橋には死体の壁ができていた。
敵はそれを登ろうとしては死に、ついには足をすくわれて橋から谷底へと落ちた。
結局敵は二時間の戦闘の末撤退し、再び丘に戻った。
俺たちは死体の山を片付けながら、次の戦闘に備えた。
敵はすぐに現れ、今度は騎馬隊の軍勢が1万程現れた。
俺たちは小隊分にしては異常な量の弾薬を4割も消費していた。
敵は既に万単位の戦死者が出ている。その結果、橋には人で石垣が作られ、騎馬隊は石垣まで接近して降りてそれを登る始末。
騎馬隊は20分もしないうちに壊滅状態だった。被害は少ないのにも関わらず、逃げ出す兵が後をたたなかったのだ。
「撃ち方やめ、撃ち方やめ!」
俺は全員に射撃の中止を命令した。
今一番困る事態としては、長弓兵による攻撃。
弓の射程内に入れれば俺たちは矢の餌食となる。だが、敵は30万の軍勢にも関わらず、偵察部隊の報告によると弓兵は確認されておらず、この規模の軍勢に組織されていないのが不思議だった。
だが、予期せぬ事態が発生する。
「900m先、敵部隊少数接近。」
マグしの報告を受け、俺が数を確認すると、敵の数はたったの100前後。これでは勝つ気がないとしか思えない。
俺はすぐに射撃を命じるが、800m地点で敵は停止した。
すると敵は持っていた杖を振り出し、そして次の瞬間杖から火の玉を繰り出し、それは橋付近に着弾して爆発、炎上した。
俺たちに損害はなかったが、かなりの威力で、マリが使っていた魔法とそっくりだが威力が違った。
その後敵は何度もそれを放ったが、命中精度は最悪だった。
マグスの狙撃により殲滅され、それから敵の動きは1日なかった。

夕暮れごろ、本部から連絡があり、正面の敵軍は瓦解し、12地区、13地区方面へ第1歩兵大隊、第2歩兵大隊、が攻勢に転じているとの事。クーパーとイーライの小隊が俺の隊と合流し、橋を防衛する事になった。
「どんな状況だ裕一?」
「1.5キロ先の丘の向こう側に敵陣地がある。シーフォースツーの報告によると、敵は半数が撤退を開始し、12地区方面へ向かったとの事。残る敵は約2万5千。」
「かなり減ったな。大佐の指示じゃ、可能ならこのまま15地区に入り、首都周辺の村を制圧するように言っていた。」
「なら、車列を編成して陣地攻撃して、シーフォースと合流して村を制圧しよう。」 
「武装したハンビー6輌、6分隊で陣地攻撃、陣地を制圧後、二手に分かれて北にある二つの村を制圧しよう。」
イーライの部隊を橋に残し、クーパーと俺はハンビーに乗り込んだ。 
陣地攻撃の指揮はクーパーがとることになった。
「全員よく聞け、今から俺たちはあの丘の向こう側にいる連中を殲滅する。武器を持つ者は全員殺せ。俺たちは今この瞬間から精鋭の殺戮部隊となる。完全武装した俺たちに敵はない!分かったら車輌に乗り込め!」
俺たちはハンビーに乗り込み、敵陣地に向かった。

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